サステナブル

記事公開:2022.4.15

なぜ、木材を選ぶのか / サステナブル×森未来#1 

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木の効能×森未来

環境に負荷をかけない考え方が徐々に社会に浸透してきました。皆様の中にもご経験のある方がいらっしゃるかと思いますが、建築の世界でも、施主様が「サステナブル」や「SDGs」をコンセプトにしたご依頼をするケースが増えてきています。

森未来では、総合的な視点から設計士の皆様に最適な木材をご提案し、施主様への説明ストーリーも含めて一緒になって考える木材コーディネートを行っております。
このコラムでは、「サステナブル×森未来」と称し、サステナブルな木材のご提案について全3回にわたって特集します。

第3回は「木の効能×森未来」。

実は、木材には五感に働きかけ、集中力を高める効果があることが最新の研究で分かってきています。

■視覚

木材は反射光をコントロールし、やわらかな明るさをつくり出す天然の調光機能を持っています。目や肌に有害な紫外線など波長の短い光は吸収される一方、赤外線など赤系や黄系の色をもった波長の長い光に対しては反射率が高く、「温かみ」を感じさせる空間に演出できます。

■聴覚

無垢の木には高音・中音・低音をバランスよく吸収して、ほどよい残響音を残すという特性があります。音を聴きやすく、まろやかに、自然体に演出してくれるのです。コンクリートや金属のような 固い材料では音を反射しやすく、一度でた音が壁や天井にぶつかってはね返りながらいつまでも残り、小さな音でも残響となって”うるさい” と感じる音になります。

■嗅覚

木材の香りをかぐことにより、前頭前野活動は鎮静化し、脳がリラックスします。

■触覚

木材への接触は、脳活動ならびに自律神経活動の両面から、体にリラックス効果をもたらします。

■集中力

無垢材を内装に使用した空間が副交感神経活動を亢進させ、集中力を高め、単純作業や創造作業の能率向上をもたらすことを示唆した研究結果もあります。

出典:2016,西村 三香子,伊香賀 俊治,平田 潤一郎,土屋 遼太「睡眠の質と日中の知的生産性を高める住宅内装木質化率に関する被験者実験」空気調和・衛生工学退会学術論文集(2016.9.14~16(鹿児島))

この研究では、木質化率が違い(木質化率0%と50%)、広さ・方角・天井高は等しい2つの部屋の比較が行われました。各部屋で作業を行い、その正答数・有効回答数と自律神経の覚醒状態を表す交感神経活性度を計測。 結果は、上のグラフのとおり、ヒノキ無垢材を使用した木質化率50%の部屋の方がリラックスでき作業ミスの減少につながっているというものでした。

日本には昔からこのような木材の効能を経験的に活かす文化があり、文字通り適材適所で木材を使いこなす知恵が受け継がれてきました。

森未来はこのような木の知恵を知り尽くした全国の材木屋さんとつながりがあり、また様々な活用事例をご紹介することができます。ご興味を持っていただけましたら、是非お気軽にご相談ください。

また、弊社が主催したトークイベントeTREE TALK vol.3では、株式会社乃村工藝社の鈴木恵千代様や有限会社加藤木材 加藤政実社長をはじめ、香りが際立つ木である尾鷲香杉の製造元、畦地製材所の畦地様にもご参加いただき、香りが際立つ木の事例についてもお話していただきました。当日の様子をレポートにまとめたので合わせてご覧ください。

[eTREE TALK vol.3] Part 1 /「これは本物だ」奇跡の杉との出会い

このような木材の効能を知り、木材利用を推進していくことによって達成できることがあります。

その一つは、森を守ること。
日本の森林の約40%は人口林です。
人工林は人の手入れが必要で、十分に手入れがされない森林は木や地表の草木が健康に成長できず、災害も起こりやすくなります。
戦後の復旧や高度経済成長の中で、木がたくさん伐り出され、その後に植えられた木が成長してきました。つまり、今、まさに伐採して利用するべきタイミングになっている木がたくさんあるのです。これらを製品として利用するためには、その需要を作り出すことも重要です。これらが利用されずこのままの状態で年月が経つと、将来年数が経った太い木ばかりになり、若い木が育たないため、森林の働きが十分ではなくなる恐れもでてきます。
適切に管理された森を増やすことで、空気や水がきれいになり、それが災害防止にもつながっていきます。
木を使う事が、森を守る活動につながります。

二つ目は、地域を守ること。
現在、日本の山や森は危機的な状況にあります。その危機的な状況の原因は、過剰な木の伐採ではありません。
逆に、木を切らないことが、山や森を苦しめています。
安い海外産の木材が多く流通するようになり、国産の木材を使うことが少なくなっています。
また、林業に携わる人の減少、後継者の不在などから国産材の供給にも問題があります。
そのため、山や森を維持していくための保全に多くの税金が使われているのが現状です。
また流通過程をシンプルにしようとすると、均一の品質の商品を全国的に使用する為、県産材や地域材を使用する機会が少なくなります。
地域に根付く材を使う事は、地域の木材業者の仕事を増やす事につながり、ひいては天然素材をうまく活用できる業者の存続に寄与します。

※引用文献:ぎふの木ネット協議会HP「ぎふの木ネットとSDGs」
      URL: https://gifunoki.net/gifunoki-sdgs/

第2回のテーマは「地域産材×森未来」。木材の中でも地域産材をテーマにしたマテリアル選びによってアピールできることや地域産材を考えるうえで大切なポイントをお伝えします。

第2回の記事はこちら
「地域産材」使用が持つ特別な意味とは / サステナブル×森未来#2

第3回の記事はこちら
「地域産材」使用の落とし穴 / サステナブル×森未来#3

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