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商品紹介

2023.3.8

木繊維断熱材STEICO(シュタイコ)

eTREE編集室

みなさんは木の繊維を原材料とした断熱材をご存知でしょうか。ドイツの断熱材市場は、EPS(ポリスチレンフォーム)が50%シェア、次いで木繊維が30%前後を占めています。日本で主流のグラスウールについては、廃棄や製造にかかるCO2排出の多さなどから、シェアは高くありません。

日本における木繊維断熱材シェアは1%弱ですが、徐々に断熱先進地である欧州の動向が影響してくると予想されます。

森未来ではイケダコーポレーション様と連携し、資料カットサンプルなどを取り揃えています。

モデル住宅としてCOP26でも採用されました

2021年11月1日に開催されたCOP26(第26回気候変動枠組条約締約国会議)において、脱炭素の次世代住宅としての木造のモデル住宅「COP26 Beyond Zero Homes」が建設され、断熱材としてシュタイコ木繊維断熱材が指定されています。

参考:STEICO

部位やその詳細は以下の通りです。

部位詳細
22mm無垢板張り
シュタイコ木繊維断熱材フレックス40mm厚充填
透湿性OSB
シュタイコ木繊維断熱材フレックス140mm厚柱間充填
シュタイコ木繊維断熱材DUO Dry80mm厚(防水強化付加断熱)
透湿防水シート、胴縁、外壁材
U値0.14W/(㎡・K)
熱遅延時間16.3時間
炭素貯蓄量2,355㎏
屋根無垢板
透湿性OSB
シュタイコ木繊維断熱材フレックス200mm厚タルキ間充填
シュタイコ木繊維断熱材DUO Dry80mm厚(防水強化付加断熱)
透湿ルーフィングシート(通気層)
屋根材・U値0.14W/(㎡・K)
熱遅延時間15.7時間
炭素貯蓄量2,604㎏
シュタイコ木繊維断熱材フレックス200mm厚
パーティクルボード
ラドンバリヤーシート
シュタイコ木繊維断熱材ユニバーサル52mm厚
シュタイコ木繊維断熱材フレックス50mm厚
無垢床材・U値0.13W/(㎡・K)
炭素貯蓄量1,916㎏

健康的で快適な生活とともに、COP26が掲げる2050年省エネ性能の実現が建築における重要なキーワードとなっています。Beyond Zero Homesでは、シュタイコ木繊維断熱材に6,875kgものCO2が固定されています。これはシュタイコ木繊維断熱材の製造時に排出されるCO2の約2倍の量になります。

今後は、2020年に実施されたパリ協定「2050年までにCO2を世界全体で半減、先進国80%削減」が追い風となって、先進国を中心に需要が増していくと思われます。これらの情勢は日本においても例外ではないでしょう。

木繊維断熱材シュタイコの特徴

続いて木繊維断熱材シュタイコについての特徴をご紹介します。

夏の暑さにも効果的

木繊維断熱材の最大の特徴は、冬の断熱効果だけでなく夏の暑さ対策にもなることです。メインの製品である「シュタイコフレックス038」は熱伝導率0.038(W/m・K)と、他の断熱材比較して特段優れた性能ではありませんが、熱容量が2,100J/Kでコンクリートに匹敵するほど大きくなります。

熱容量とは、物体を1℃上昇させるのに必要な熱量で、この数値が大きいほど熱しにくく冷めにくい材料となります。すなわち、シュタイコフレックス038は外気温が高い日中の暑さを内部に伝えにくく、外気温が落ち着く夜に外部に放熱することで室内の暑さを緩和させてくれるのです。

シュタイコ社の試験によると、外気温が35℃になった14時においても室内は16℃前後に保たれ、室内最高気温は21℃という結果が得られています。これらは、四季を伴う日本において蒸し暑い夏や冬の激しい寒さを緩和させ、快適に過ごす重要なカギとなるでしょう。

材料密度
(kg/m3)
熱伝導率
W/m・K
熱容量
J/kg・K
熱拡散性
cm2/h
シュタイコ フレックス038500.038210013
シュタイコ デュオドライ1800.04421005
シュタイコ ゼル500.038210013
スタイルフォーム断熱材400.040138026
グラスウール300.03580053
ロックウール200.0408090
セルロースナノファイバー550.040194013
参考:STEICO

呼吸する断熱材で梅雨も真夏もサラサラ快適 

シュタイコフレックス038は、材料の湿度移動のしにくさの指標である透湿抵抗106ng/m・s・Paであり、壁面の内部結露のリスクを抑えることができます。一般的なグラスウールやロックウールといった断熱材とは異なり、物理的だけでなく化学的に湿度調節してくれる点も特徴です。

実際に、シュタイコフレックス038を採用した調布市内の住宅において、放射型の熱源装置を上下階に1台設置することで、エアコンの稼働を抑え、1年中快適に生活できる空間を実現しました。

図書館並みの静かな室内

遮音・防音性能においてもシュタイコフレックス038は効果を発揮します。あらゆる部位への密着性が高く隙間をなくすので、効果的に外部音を遮ることができます。その効果は、大通りに面した室内でも35 ㏈にまで騒音を遮ることができます。

有害化学物質の無い安心感

シュタイコフレックス038の原料は針葉樹の端材で、有害となる化学物質は含まれていません。さらに、原料は森林認証木材から製造されているため、製造過程や環境保全が国際的に管理されたものを使用しています。

施工が簡単

シュタイコフレックス038は施工が容易である点も特徴です。汎用性が高いサイズが規格となっており、断熱材を充填する壁面に5〜10mm程度大きめにカットして押し込むことで断熱性を確保できます。

シュタイコフレックス038を充填した内側には透湿性に優れた構造用面材、可変調湿シート、石膏ボード、仕上げ材となります。一方、壁構造は外側から外装材、通気層、透水防水シート、構造用面材になります。

その他、準防火・防火地域での仕様には告示仕様での施工が必要となります。

健康・環境に優しいホウ酸を使用

シュタイコは、ホウ酸による防蟻処理を施しているため、健康・環境性に優しい断熱材となっています。さらに、第三者機関のもと有害性のない製品としても認定を受けています。

厳格な環境適合

シュタイコ社は環境保全活動にも積極的に取り組んでいます。IBJ研究、バウビオロギー協会、パッシブハウス協会などの会員であり、欧州における厳格なエコ認証やオリ・パラリンピックで使用される建材に必要なEPDも取得しています。

エコマークは製品の製造過程における環境影響度を指標にする認証に対し、EPDマークは製品の製造、過程、廃棄における環境影響度を指標としています。

シュタイコの種類

木繊維断熱材シュタイコが「こどもみらい住宅支援事業」の補助金対象製品です。施工の仕方によって主に3種類があります。上記は充填断熱をメーンとするシュタイコフレックス038の紹介でしたが、外断熱にも対応するシュタイコデュオドライ、吹込み方式のシュタイコゼルも同様の性能を有しています。

シュタイコフレックス038

規格・性能詳細
サイズ長さ1,220mm×幅390〜430mm×厚さ100mm
生産・品質管理EN13171準拠
熱伝導率0.038(W/m・K) JIS1412-2
熱抵抗R2.6(㎡・K)/W
密度50 kg/㎥
透湿率106 ng/m・s・Pa JIS A1324
熱容量2,100 J/K
全成分トウヒ、ポリオレフィン繊維、硫酸アンモニウム、ホウ酸

間柱間のサイズより5〜10mmほど大きめにカットし、軽い力で押し込むだけで断熱性を確保できるため施工性に優れています。

シュタイコデュオドライ(DUO Dry)

規格・性能詳細
サイズ長さ2,230mm×幅600mm×厚さ60mm
密度180kg/㎥
熱伝導率0.044(W/m・k)
透湿率67.1 ng/m・s・Pa
熱容量2,100 J/K
圧縮強度200kPa
垂直引張強度30kPa
寸法精度安定性長さ≦3%、幅≦3%、厚さ≦3%
全成分トウヒ、ポリウレタン樹脂、パラフィン

シュタイコ デュオドライは溝の凸凹を合わせることで熱橋を防ぐ事ができ、勾配16度以上の屋根なら余分な素材を何も使わずに高い撥水効果で雨風を防ぐこともできます。シュタイコフレックス038同様施工も簡便で、新築にだけでなくリノベーションにも最適な木繊維断熱材になっています。

シュタイコゼル

規格・性能詳細
JIS規格JIS A 9523
熱伝導率0.040(W/m・k)
熱容量2,100  J/K
全成分トウヒ、硫酸アンモニウム、ホウ酸
推奨吹き込み密度壁充填、密閉された天井又は屋根空間は約50(kg/㎥)。密閉されない

シュタイコ ゼルは断熱材を固定するための接着剤要しないので安全性が高くドイツのエコテスト・マガジンでも最高の評価を得ている吹込み断熱材です。床、天井、壁、屋根のいずれにも使えます。

まとめ

2022年6月に公布された脱炭素社会の実現に資するための建築物のエネルギー省性性能の向上に関する法律の一部を改正する法律に基づき、建築物省エネ法が改正され、2025年4月施行予定で原則すべての建築物について省エネ基準への適合が義務付けられます。

現状を鑑みるに建物の断熱性能を上げる事は喫緊の課題であり、さらに地球温暖化が進む昨今では、夏の断熱にも注目する必要があります。この20年、30度を超える真夏日は年々増加しています。エアコンに頼るだけでなく、根本から暑さ対策を見直す時がもう来ています。建材を賢く選べば、エネルギーを最小限に抑えることができます。

※無料提供するサンプルは、この写真のものを分割したものになります

森未来では、本日紹介した木繊維断熱材STEICOなどを取り扱っています。森林認証を受けた原料から製造される断熱材としてサステナブル性にも富んだ建材となっています。気になる方は、ぜひ、お問い合わせください。

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