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記事公開:2024.3.4

パーティクルボードについて解説|資源を有効利用できるエコな製品

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地球環境問題が大きく取り上げられる中で、木材資源を有効活用できる製品の一つとして木質ボードへの関心が高まっています。

今回は木質ボードの中から「パーティクルボード」について、どのように作られ、どのような製品になっているのかを詳しく解説します。
メリット・デメリットや用途についても、あわせて紹介します。

パーティクルボードとは「資源を有効利用できるエコな木質製品」

パーティクルボードは木材の小片やチップなどを、合成樹脂接着剤で一定の面積と厚さに熱圧成形した板状の製品です。
主に、建物の解体時に出た廃材を原料として利用しているため、資源の有効利用に役立っています。
さらに、パーティクルボード自体も木片にして再利用されるため、エコな木質製品と言えるでしょう。

パーティクルボードと合板の違い

パーティクルボードと同じように接着剤を使って作られる木質製品に合板があります。
合板は複数の薄い板を繊維方向に直交するように重ね合わせたものです。
パーティクルボードとの大きな違いとして、接着剤で貼り合わせている点が挙げられます。

合板は、面としての強度が高く、切断や釘打ちしやすいことが特徴です。
木材の質感や特性の良いところを備えながら、広い面積の板であっても強度が高く、狂いが少ないのも特徴と言えるでしょう。
合板は、構造材から内装材まで幅広い用途で用いられています。

パーティクルボードの3つの種類|厚みと重量に関係

パーティクルボードは、層の作り方の違いによって、3つの種類があります。
種類によって、厚みと重量が異なります。

  • 単層
  • 多層
  • 3層

単層

単層は、同じ大きさの木片を使って、一つの層で作られています。

木片の大きさがほぼ同じもので統一されているため、ボードの密度が高く、強度が均一になることが特徴です。
また、密度が高いことから、重量が多くなるのも特徴の一つです。

他のパーティクルボードと比較して強度が低いため、高い強度を必要としない、インテリアの化粧板などに使われることが多いでしょう。

多層

多層のパーティクルボードは、層ごとに大きさの違う木片を使い、複数の層を重ねて作ります。
外側に小さな木片、内側にいくに従って大きな木片になるように重なっています。

厚みは増えるものの、全体の密度が小さくなるため、重量が大きくならないのが特徴です。

3層

3層のパーティクルボードは、大きさの異なる木片を使い、3つの層で作られたものです。
パーティクルボードの中では、最も多く作られている種類です。

一般的には多層と同じように、外側の層には小さい木片を、真ん中の層には大きい木片を使って作ります。
密度を小さくすることで、曲げへの耐性が高まるのと同時に、重量を小さくできるのが特徴です。

パーティクルボードの品質を守る「JIS規格」の種類|強度に関係

ここからは、パーティクルボードの品質を守る規格について解説します。
JIS規格とは、日本で産業製品に関する規格や想定法などが定められた国家規格です。
パーティクルボードにも、建材としての品質を守るために、JIS規格が定められています。

パーティクルボードについての分類は、次のようなものです。

  • サイズ
  • 表面と裏面の加工
  • 強度
  • ホルムアルデヒド放散量

サイズ

パーティクルボードのサイズは、厚さ・幅・長さが、JIS規格で細かく分類されています。
どのようなサイズで作るか、組み合わせは自由に決めることが可能です。

JIS規格で分類されているのは次の通りです。

  • 厚さ:5~40mmの範囲
  • 幅:315~2,100mmの範囲
  • 長さ:450~6,100mmの範囲

表面と裏面の加工

表面と裏面の加工の状態により4つに分類されています。
その概要は以下の通りです。

  • 素地パーティクルボード:ボードの両面に手が加えられていない
  • 単板張りパーティクルボード:両面に単板を貼り付けたもの
  • 化粧パーティクルボード:両面、または片面に化粧単板や樹脂シートなどを貼り付けたもの
  • 構造用パーティクルボード:建材用に作られたもので、両面とも手が加えられていない

強度

強度は「曲げ強度」と「耐水性」の2つに分類されています。

「曲げ強度」は強度によって8~30の記号で分類されます。数字が大きいほど曲げ強度が強い証です。
家具などには13、建築は部位に応じて13、18タイプなど用途によって使い分けられます。

耐水性は高いものから「耐水2」「耐水1」「普通」の3種類に分類されます。
建材として、耐水性は非常に重要な要素です。
耐水性2と1は、耐水性能が求められる基準に応じて使い分けられ、どちらも床や壁、造作部材など建築部材に使用されます。
普通の区分のものは、主に家具やキャビネットとして利用されています。

ホルムアルデヒド放散量

ホルムアルデヒド放散量は、シックハウス症候群の原因のひとつとされています。
Fと☆の数で分類され、最も低いものが「F☆☆☆☆(エフフォースター)」です。
ただし実際の放散量は、パーティクルボードそのものの品質だけでなく、使用している量によっても異なります。

パーティクルボードのメリット|価格の安さと安定した品質

パーティクルボードを使うことによるメリットは、主に下記の5点があげられます。

  • 安価な価格:原料となるチップや小片は、建築現場で解体時に出た廃材や木材加工で出る端材などが使われるため、低コストとなり価格が安くなる。
  • 均一な材質:小片を固めた板のため、品質にばらつきがない。
  • 安定した品質:無垢材と比較して反りや割れ、狂いなどが少なく、個体差も発生しにくいため、品質として安定している。
  • 加工の自由度:生産時に使うチップの量を変えることで厚みや大きさを自由に決められるため、用途に応じた加工がしやすい。
  • 高い機能:遮音性や断熱性に優れている。

パーティクルボードのデメリット|耐水性や耐湿性、面としての強度に不安

パーティクルボードを使う際のデメリットは主に下記の3点があげられます。

  • 耐水・耐湿性の低さ:製造時に接着剤を使用しているため、水濡れや湿気に弱く、変形したりひび割れたりすることがある。
  • ねじや釘を支える力の弱さ:釘やねじを支える力が弱い。小さなチップを集めて固めてあるため、釘などを打つ場所によっては外れてしまうことがある。
  • 面としての強度の弱さ:面での強度が弱く、重量のあるものを長い期間おくと「たわみ」や「ゆがみ」が出やすい。

パーティクルボードの用途

ここからは、パーティクルボードがどのように使われているかを解説します。
パーティクルボードは利用方法に応じて、さまざまなサイズや厚みで造り出すことが可能です。
そのため、用途が多岐に渡るのも特徴と言えるでしょう。

ここでは代表的な下記3つの用途について説明します。

  • 建材|壁や天井の内張りに、厚みを持たせて構造材に
  • 家具|大量生産の組み立て家具に
  • 電機器|音響特性を生かして各種キャビネットに

建材|壁や天井の内張りに、厚みを持たせて構造材に

パーティクルボードは厚みを持たせるほど、強度が高くなるため、構造材としては厚みのあるものが利用されます。
大きさも自由に選べることから、壁や天井の内張りとしても使いやすい資材です。
その他、耐水性の分類が高いパーティクルボードは、床・壁・造作材など、建築用として利用されます。

家具|大量生産の組み立て家具に

パーティクルボードは価格が安いことから、大量生産の組み立て家具などに使われることも多い部材です。
13タイプの化粧パーティクルボードは、カラーボックスなどに使われています。
一方で、無垢材と比較すると強度が低いため、重い本などを長期間おいておくと、たわみやゆがみが出ることがあります。

電機器|音響特性を生かして各種キャビネットに

パーティクルボードの遮音性が高いという音響特性を生かして、スピーカーのキャビネット、電子ピアノやオルガンなどにも使われています。
高い音質を保てる上に、価格が安く、大量生産できる点が重宝される理由です。

まとめ

パーティクルボードは、廃材や端材を原料に作られるため、資源の有効利用にも一役買っているエコな製品と言えます。
サイズや加工状態を自由に組み合わせて製造できることから、さまざまな用途で使われています。
建築用構造材には「構造用パーティクルボード」、大量生産の組み立て家具には「化粧パーティクルボード」など、さまざまに使い分けられる点が特徴です。

用途によって厚みや種類を使い分けて、価格が安く大量に生産しやすいメリットを最大限に生かした使い方をしましょう。

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