CLTの調達方法&コスト|建築家のためのCLT入門④

Text by Shinmirai


CLTの最新情報をお届けする「建築家のためのCLT入門」シリーズ。

最終回となる今回は、CLTの調達方法や、その際の検討事項、コストなどについて見ていきます。

第1回はこちら【徹底解説】CLTの特徴・活用事例
第2回はこちらなぜ今、木材建築?木造のメリットと将来
第3回はこちらCLTは普及するのか?日本の現状と課題

また、以下のページにて、2021年3月に視察を行ったCLTツアーの様子をご紹介しています。こちらも合わせて、ぜひご覧ください。
【現場視察】日本トップクラスのCLTマザーボード製造工場

CLT調達までの流れ

CLT発注までの流れ
大型の非住宅木造建築にCLTを用いる場合を例として考えてみます。
まずは施主に対し構造・意匠設計がプロポーザルに参画。その後、採択された設計事務所が基本設計・実施設計を行い、そのあとで事業者選定に入ります。通常、ゼネコンやデベロッパーが建物全体の元請となり、材料供給事業者および工事事業者が決定されます(この過程でサブコンが複数加わることがあります)。CLTの供給は、ここで材料供給事業者がCLTを発注するところから始まります。

CLTはどのように製造される?

CLTの製造は、以下の工程で進みます。
1)丸太からひき板(ラミナ)を製材し、KD、FJ加工
2)マザーボードと呼ばれるCLTの大型原判に積層
3)設計図面に応じて最適歩留まりを計算しながら必要寸法に加工
4)開口部等の加工や金物接合部加工
4つ目の加工工程は、CLT製造のボトルネックとなっており、いくらマザーボードの生産能力が高くても、実際の製品製造量は制約を受けてしまいます。

CLTパネルは受注生産方式!

CLTパネルの発注の際、注意しておきたいのは、CLTパネルの製造・加工および接合金物製作などは原則として受注生産方式となることです。また、現場での加工は難しく、基本的には工場内加工となります。そのため、CLT製造事業所にとっては、正確な設計図書の確保と精密な構造計算が何よりも重要で、発注者は詳細な計画を立てる必要があるのです。

主な検討事項

では具体的に、どのような事項を検討すれば良いのでしょうか。
施工計画の主な検討事項は、工期、建て方計画、仮設計画、養生計画、設備配管・電気配線計画などです。また、輸送計画も重要です。CLTパネル寸法に対応したトラックの積載量、積載サイズ、道路条件などを検討する必要があります。さらに、建築計画にあたっては、敷地がCLTパネルの搬入、施工に適しているかの検討も必要となります。

CLTを使用する際の主な検討事項

CLTのコスト

販売価格の構成

CLT販売価格は、基本的にはマザーボード(原判)価格+加工費+輸送費で構成されます。これに構造設計費用、建て方費用などを加える場合もあります。


CLTマザーボードの最大面積はかなり大きく、事業所によっては最大幅は3000ミリ、最大長さは12000ミリ。ただどの事業所も、この最大面積でCLTを量産するのではなく、実際の建物で必要とされるCLT寸法を元に、様々な寸法を組み合わせることで最適な歩留まりを算出し、原判=マザーボードを製造します。通常、歩留まりは90%台を目指します。製造工程で発生する短尺CLTは階段板、家具、収納部材などの活用を提案していきます。

価格は製造各社で異なりますが、樹種、強度、使用環境(接着剤)、現し、節補修などの費用も別途かかります。

加工費は内容によって大きく異なりますが、1面サンダー加工、成形カット加工、スプライン加工(両端欠け切り)、ボルト貫通孔加工などは通常対応の範囲です。より複雑な加工を要求される場合は別途積算となります。

輸送費は現場の場所によって異なります。

+αの費用

CLTそのものの費用ではありませんが、構造計算、防耐火のための燃え代計算や耐火措置、断熱や遮音に関する計算などの設計にかかる別途費用も考慮する必要があります。また、CLTの特性を理解した施工技術者や、現場の建て方では大型クレーンが必須となることも覚えておきましょう。

おわりに

今回は、
・CLTは受注生産方式。発注者は、詳細な計画を立てる必要がある
・CLTのコストは基本的に「マザーボード価格+加工費+輸送費+α」で構成される
・CLTそのものの費用以外にも、断熱や遮音、耐火に関する計算など、設計にかかる別途費用も見込む必要がある
などの内容をお伝えしました。

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