森と建築を考える第三回「製材」開催レポート

2022年7月02日

東京(森未来セミナールーム)

第三回のテーマは「製材」でした。

製材とは丸太を鋸挽きした木材製品を指しますが、原木を角材や板材にするまでの切削工程を指すケースもあります。魚でいうと、切り身の状態や捌く工程にあたります。

この製材は、森未来のミッションでもある「Sustainable Forest(森林を持続可能へ)」を実現させていくためにも、非常に重要となってきます。

なぜか。

それは、丸太の価値を向上させることと密接に関わっているためです。

今回のセミナーでは、丸太の価値を向上させる製材について、事例も交えながら勉強させていただきました。

セミナーの冒頭では、製材の歴史について富嶽三十六景を絡めて説明がありました。かつての製材は、もちろん現代のように製材機はないので、丸太を削る、割るといった手法で製材していたようです。その後、金物ノコギリが登場し、技術発展とともに自動化が図られ、今日の生産体制となりました。

続いて、丸太の価値を向上させる製材について、生産効率、品質、在庫の3つの観点で説明いただきました。

製材所の規模感をはかるには、原木消費量や製品生産量を目安に考えます。例えば、毎月の原木消費量が1000m3の製材所と50万m3の製材所とでは、出荷可能な量が全く異なります。

一方で、製材機は毎月2000m3の生産できる能力があるが、乾燥機が毎月1000m3しか乾燥できないというケースもあるそうです。そうなると、乾燥材の供給において、その製材所の生産能力は1000m3/月となります。つまり、製材所の生産能力は乾燥許容範囲にある程度依存するということですね。大型工場には、乾燥機も多いわけです。

また、講義中には川上と川下をつなぐ在庫について、ストックとフローの問題にも触れました。製材所が多くの在庫を抱えている状況は、ある意味、建築士などの木材利用者側からすると、すぐ欲しい材が出せるということで製材所のパフォーマンスが評価されます。

一方で、いつ必要になるか分からない材を在庫する状況は、製材所側からするとリスクが高すぎます。しかし、材料の寸法と量が事前に共有されていれば、いつ使うか分からない在庫を多く抱える心配もないとのことです。

また製材に関連して、三重の野地木材工業、三重大学、熊野林星会らで開発した製材業経営疑似体験ゲーム「セーザイゲーム」の紹介などもあり、セミナー全体は和やかな雰囲気で行われました。

セミナーの様子

簡単ですが、レポートは以上です。

「川上と川下の連携が重要である」と、日本全国から声が上がります。そのつなぎ役で、川中に位置する製材業が、素材価格向上も含めて、いかに重要であるのかを感じたセミナーとなりました。

第四回目のテーマは「木材の品質と性質」です。

命を委ねる材料である以上、強度や品質を明確化することは義務となります。しかし、前提として木材は人類に使われるために進化したわけではありません。そのため、人類が開発した鉄やコンクリートと比較して、扱いにくい材料であることも知っておく必要があります。

次回は、そういった木材の品質や性質の理解と、現行規格の問題点などについて考えていきます。

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