森と建築を考える第八回開催レポート「木造とは 3 ~ 非住宅とこれからの木造 ~」

2022年9月17日

東京(森未来セミナールーム)

9月17日(土)16時~
アトリエフルカワ一級建築士事務所/森未来共催「森と建築を一緒に考える」第八回セミナーを開催しました。

第八回のテーマは「木造とは 3 ~ 非住宅とこれからの木造 ~」でした。

前回は木造建築全般の話でしたが、今回は木造の非住宅に関する講義でした。
非住宅というのは強いて言えば建築基準法で言う「特殊建築」であり、住宅と違い不特定多数の人が使う建築のことです。

不特定多数の人が使う建築物ということで、建築基準法でも厳しい決まりがあります。
それを木造でということなので、講義では耐火に関する基準や内装制限に関する内容が盛り沢山でした。

耐火や内装制限に関する要件は、時間に関する話がポイントです。要は火災が起こった際の逃げる時間や構造や内装が燃えてしまうまでの時間の話です。

厳しい基準があるなかで、きっと「何でわざわざ木造で?」と思われる方がいると思います。

これにはしっかりと訳があります。伐期を迎えて蓄材されている国産木材を使うため、国産率を上げるためです。

法律もしっかり改正されました。
2021年に「公共建築物等における木材の利用の促進に関する法律」いわゆる木促法が改正され、
改正後は、法律の名前が「脱炭素社会の実現に資する等のための建築物等における木材の利用の促進に関する法律」(平成22年法律第36号)に変わるとともに法の対象が公共建築物から建築物一般に拡大したのです。

日本は昭和30年代に高度成長の木材需要にこたえるために拡大造林という政策を行いました。簡単に言うと天然林を切り開いて木材として使いやすいスギ・ヒノキの人工林に造り替えたのです。
その樹木たちが、いま伐期を迎えているので使おうということです。これにはカーボンニュートラルの流れも大きく影響しているのはご想像の通りかと思います。

国をあげて国産木材を使っていこうという話ですが、いくつか課題もあります。その1つが素材調達に関することです。

これは、素材として必要な木材の量をどうやって調達するかです。
ほとんどの案件がスケジュールがタイトなため、工業製品でない木材の調達にはさまざまな調整が必要になります。
また、公共などの入札案件は、金額で業者選定がされてしまうため、材料に余剰を見る必要がある木材に関しては、真面目な事業者が不利になる等のジレンマもあります。

講義では、基本設計や素材調達までしっかり調整しようとすると(例えば補助金申請期間など)時間が足りなくなることもあるが、時間をかけて地域産材を使うことを検討したりして地元の経済に還元できるものを検討できるといいよね、というお話も出ました。

今回の講義では、非住宅の木造建築の要件と木材の調達の課題に関してとても勉強になりました。耐火要件は時間、素材調達は量がポイントですね。

講義のあとは懇親会としてBBQも行いました。
みなさん思い思いのことをお話されていてとても良い時間でした。
古川先生がその場で作る自家製カレーやジビエのお肉の協賛も頂きました。
ありがとうございます!

次回、第九回のテーマは「架構と設計」です。
木造建築の設計でいちばん重要なのは構造のモデル化です。架構とボリュームの考えから木造建築の設計について考えます。

6月から始まったセミナーも残すことあと2回です。
最後まで楽しみな内容ですので張り切っていきましょう!

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