[eTREE TALK vol.2] Part 2/製材所の規模から見えてくる、木材業界のリアル

2020年5月14日

オンライン開催

5/14(木)、eTREE TALK vol.2「木を空間で使うクリエイターの裏話」をオンラインにて開催いたしました。今回はそのなかでも議論が白熱した後半部分から抜粋して、トークセッションの様子を全三回に分けてお送りいたします。

製材所の規模から見えてくる、木材業界のリアル

浅野: コメント欄で質問が届いております。

コメント:認定取得が出来る製材所はどれくらいの規模がある会社さんなのでしょうか?またそれ以下の規模の製材所はどうしたらいいとお考えでしょうか?

金子: 最近は非住宅でJAS材を使う事例が目立っています。そうすると、乾燥するための乾燥庫、それを成型して長さを定尺にカットするための機械、強度測定のためのグレーディングマシン、これらを設備しなければいけない。おそらくそれだけでも4,5千万以上かかります。さらに、ランニングコストが毎年かかってきます。それでもペイするか。そう考えると、それなりの規模ですよね。

浅野: 機械等級区分でJAS認定を取得しているのは78社です。設計者側からすると、現状ではJAS材の調達が難しいという理解で大丈夫でしょうか。

金子: いや、難しくないでしょう。

古川: 難しくないですよ。木材って国際商品でもあるくらい、流通しているものなんです。ですから、探せば必ずJASは手に入るという感覚です。その意味では全然問題ないと思います。

浅野: 欲しければある、と。

古川: 金子さんに一つ質問させてください。別の研究会で製材所の規模について議論していて、年間5万立方くらいが一つの目安ではないかという話になりました。地域の産業としてそれなりのエリアを考えて、山林があるところで5万立方くらいの丸太を年間轢けるような拠点が日本全国に分散しているほうがいいのではないかと。規模として5万立方ぐらい扱わないと、経営的に難しいんじゃないかということで。それなりの量を扱わないと会社経営をするのが大変じゃないですか。金子さんには、伊佐ホームズさんなど大口のお客さんがいらっしゃるわけですよね。そこを金子さん経営者だなと思ってみたりもするのですが、その辺のバランス感覚なんじゃないかな。金子さんはどうお考えですか。

金子: 一般の無垢の製材では、何立方製材したら利益が出る、出ないという話にはあまりならないと思います。その製材所の基礎を決めるのは、その地域からどれくらいのどんな品質の原木が供給されるか、そこから始まります。だから、秩父で10万立方の製材所をつくろうとしたら簡単につくれるんです。量というよりも、どのレベルの質の原木を取りに行かなきゃいけないのかってことになる。コストパフォーマンスが悪ければできませんから。ですから、無垢材を扱う製材工場の場合、何立方やれば利益が出るかという計算はしないですね。

古川: 金子さんのところは年間で何万立方くらいですか。

金子: うちは原木で年間1万3千立方くらい、毎月千立方くらいです。製材だけならその倍くらい製材しますよ。しかし、乾燥してグレーディングってことになると製材能力の半分くらいですね。製材能力に応じて加工するというより、乾燥やグレーディングに応じて調整する感じです。

古川: ちなみに、金子さんと同じ秩父で製材などを扱っている、ウッディーコイケさんはどれくらいでしょうか。

金子: 2万五千から3万立方くらいだと思います。

古川: 金子さんのところと合わせて5万立方くらいの感じだね。

金子: 秩父のエリアから出る原木では全く足りないです。ウッディ―コイケさんもおそらくですが、私どもも多摩産材や群馬、一部長野からも供給してもらっています。秩父の埼玉県の材料だけだと半分くらいじゃないですかね。

左上:古川さん  右下:金子さん  左下:浅野

浅野: コメント欄にもう一つ質問が来ています。住宅非住宅以外での木材の利用の可能性も含めて、何かヒントはありませんか。

金子: ヒントというほどのものはありませんが。新たな使い方があるくらいだったら、うちでやっていると思いますよ。

国産材の自給率は最低の時には18.3%くらいです。つまり一年間に日本人が100本の木材を使うとすると、その中の18本が国産材、というのが日本の最低水準。現在はおそらく倍くらい、35%強くらいですかね。その理由としては相対的に木材の使用量が減っていることもありますが、圧倒的に増えているのはバイオマス燃料です。しかし燃料だけでは厳しいです。50年育てた木を燃料にしてしまっても、山にお金は帰っていかない。他に用途として何かあるのかというとですね、なかなか今見いだせていませんが、大型の集成材の工場や柱のメーカーのなかにはこれから増産されるところがいくつかあります。輸入材に頼っていた分を国産材で賄っていくことができれば、非常に大きいと思います。それでも、それ以外に木材をどう使っていくかはよく分からないですが。例えば今、うちで共和木材さんと一緒にウッドLCという壁材を作っています。いろんなことを試しにやっているんですが、爆発的に国産材を使う可能性は今のところ見当たらないですね。

浅野: 木製の棺もやっていらっしゃいますよね。

金子: 棺も面白いなと思ってやっていますが、いかんせん売りづらいのでね。興味ある方は秩父に来られた際にでも、うちの会社に来ていただければ、そこに二体あります。

古川: その辺は、ちょっと詰めて議論して、解像度上げていかないといけないところですね。しかし、例えば秩父エリアでも、金子さんの会社とウッディ―コイケさんの製材量を賄うだけの年間4万立方とか5万足らずくらいの丸太の供給が、既に難しいというようなバランス感覚があるので。やっぱり、山側からどのくらい丸太が出てくるのかって話がないと。出口側がどう使うかって話につながらないのではないでしょうか。

金子: この話は難しいです。例えば秩父から5万立方出てきたら2社でも3社でも十分それで製材しながら経営できるのかといえば、そうともいかないんですよ。今の秩父にはその50%くらいの供給量しかない中で、なぜ我々がぶつぶつ言わずにやっているかといえば、いろんな事情があるわけです。

例えば、我々は多摩産材の供給量から相当量もらっています。多摩産材のメーカーの中で、乾燥やグレーディングを得意とされているところがあまり多くないからです。ある程度のロットで供給するとき、例えばもう終わりましたが神田明神の国際交流館とか、今やらせてもらっている中央大学とかの仕事がそうですが、一つの会社が乾燥だとか強度だとかを管理する窓口となって、何社かの人に協力してもらって、その量を出す形になります。いろんな人がそういう形で携わっている。だから秩父の材だけが安定して売れているってわけでもないです。

■PART1「JASの課題、そしてJASの意義とは」はこちら

■PART3「木材の未来」はこちら

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