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記事公開:2023.8.25

木育とは?森とつながる幼児教育|効果や事例を紹介

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「木育ってなんだろう?」「木育の具体的な取り入れ方は?」

このように、木育の内容や取り入れ方に興味を持たれている方は多いのではないでしょうか。

本記事では、

  • 木育の目的やもたらす効果
  • 地域や保育園の取り組み事例
  • 木育インストラクターの役割

について解説します。木育が具体的にどのような目的で実施されているのかを知ることで、木との関わり方を学ぶきっかけとなるでしょう。

木育とは

「木育」とは、2004年に北海道庁が提案した教育概念です。幼少期に「木や森、人との関わりを経て豊かな心を育てる」という目的で発足されました。木育では、木製の製品に触れることだけではなく、木の命や森林環境に目を向け「木と人のつながり」を意識することが重要視されています。北海道から始まった木育は、今や全国に広がり様々な地域で木育活動が取り組まれています。

参考:平成 16 年度協働型政策検討システム推進事業報告書 Ⅱ 木育の基本理念

木育の効果

木育がもたらす効果は、以下の3つのようなものがあります。

  • 五感を刺激し感性が育つ
  • 人との関わりで社会性が身につく
  • 森林とのつながりで心が育つ

木育が、子どもたちにもたらす効果について詳しく紹介します。

五感を刺激し感性が育つ

五感に刺激を与えることで、豊かな感性を育てます。

例えば、子どもに木のおもちゃを渡すと次のような行動が考えられるでしょう。

  • 木材の香りに気がつき匂いをかぐ|嗅覚を刺激
  • 木材の木目を見つけて観察する|視覚を刺激
  • 木と木をぶつけて音を鳴らす|聴覚を刺激

このように、木とのふれあいの中で子どもたちの五感は刺激され、豊かな感性を生み出しているのです。木の爽やかな香り、コンコンという低い音は、子どもに優しい刺激を与えてくれます。心地よい刺激を受けた子どもの感性は、のびのびと健やかに育つでしょう。

人との関わりで社会性が身につく

身近な親や先生と一緒に、木にふれ・遊び・学ぶ中で得た「共感」によって社会性が培われます。木とのふれあいで感じた、気持ちや感覚を誰かに伝えることで関心が深まり、「木について知りたい」という想いが生まれます。そして、木について知る・学ぶ際には、親や先生もしくは、プロの講師に教えてもらおうと考えます。その結果、知りたい話を真剣に聞く中で、相手の話に耳を傾けるという受け身の行為を自然に身につけられます。このように、木を介した取り組みは、家庭や保育園から地域や環境へと発展し、木と人とのつながりを学ぶ中で社会性を身につけていきます。

参考:北海道庁水産林務部森林環境局森林活用課 北海道の『木育(もくいく)』~『木育』とはl

森林とのつながりで心が育つ

森林には、心を落ち着かせる効果があります。木は身を守るため「フィトンチッド」という成分が分泌されます。このフィトンチッドは心の疲れを癒す働きがあります。子どもの気持ちを落ち着け、情緒を整えてくれるでしょう。

参考:フィトンチッドジャパン株式会社 森林浴の効果効能

また、森林による癒しの効果だけではなく、木の命に触れることで、思いやりや優しい気持ちを育み心を育ててくれます。

木育の取り組み事例

では、実際に全国の木育への取り組み事例を紹介します。

木育フェスタ|北海道

木育フェスタは、関係市町村や団体と連携しながら、道民が参加して森づくりを進めるためのイベントです。月に3回開催され、子どもから年配の方まで幅広い年代の人々が集い、植樹や木工製作といった体験ができます。現在は、ホームページはもちろん、インスタグラムやツイッターでも開催情報を発信しています。

参考:北海道庁水産林務部森林環境局森林活用課 北海道・木育(もくいく)フェスタについて

陽だまりの丘保育園|東京都

東京都「陽だまり保育園」では、東京の多摩で育ったヒノキを使用した、遊具やベンチが設置されています。また、数種類ある木材の中から気に入った木材を選び、木製の箸やスプーンを作り園生活の中で使用する取り組みを実施してます。子どもたちは木に興味を示すようになり、同じ木を見つけたり、葉っぱの匂いをかいだりする姿が見られるようになりました。教室の一角には「おが屑」を展示し、木の種類を当てるゲームを設置。子ども心をくすぐる遊びで、好奇心や関心を引き出し、木育に取り組まれています。

参考:木育ラボ 陽だまり保育園

森と人をつなぐプロジェクト|石川県

森と人をつなぐプロジェクトは、企業やNPO、大学といった地域の協力を得ながら「社会や環境に優しい選択をする」という意識改革を目指し発足されました。植樹・伐採の体験や木工教室だけではなく、企業や大学が協力して、持続可能な資源の仕組みを考えながら、木製商品の開発や販売など、これからの社会を作る取り組みが実施されています。

参考:林野庁 木育事例 

木育を取り入れるには

実際、木育を取り入れるには、どのような方法があるのでしょうか?

木育の取り入れ方法には、以下の4つがあります。

  • イベントに参加する
  • 木製のおもちゃで遊ぶ
  • ワークショップに参加する
  • 木材を使ったスポーツを体験する

イベントに参加する

全国の各地域では木育に関するイベントが多数実施されています。イベントに参加することで、家庭規模では実施できない木育体験や経験ができます。さらに、身近な人だけでなく、違う世代の人たちとコミュニケーションを取れる機会をもたらします。これにより、普段の家庭環境や保育園・学校生活では、出会えないコミュニティとの関わりが生まれます。その結果、子どもの活動領域を広げることにつながります。

木製のおもちゃで遊ぶ

木製おもちゃでの遊びは、木が身近な存在であるという感覚だけでなく、木の香りや肌触りといった特徴や良さを体感できます。都市部であれば森林に触れる機会が少ないうえ、子供が幼ければ山に行くにも危険が伴うため、なかなか木と接点がもてません。そのため、木とのつながりを得るという意味でも、木製おもちゃで遊ばせることは、木育として取り入れやすい方法の一つといえるでしょう。

ワークショップに参加する

木育のワークショップには、椅子や小さな箱を作る木工教室やアクセサリーやおもちゃを作る木材クラフトなどがあります。ワークショップではモノ作りを通し、以下5つの体験ができます。

  • 挑戦
  • 発見
  • 意欲
  • 達成
  • 自信

これらの工程は、子どもの折れない心を育て、自己肯定感を高める効果があります。

さらに、木育を取り入れたワークショップでは、木という資源について学び、自らの手で形にするといった「命をつなぐ」という意味を知るきっかけになります。知識や経験の豊富な職人さんや先生の話を聞き、少し緊張しながら丁寧に作業する子どもたちが、体験後「森にいってみたい」と次のステップに進んだといった体験談もたくさんあります。

木材を使ったスポーツを体験する

木がメインとなったスポーツがあります。「モルック」と言われるスポーツで、木の棒を投げて木製のピンを倒すスポーツです。ルールが簡単で、小さな子どもでも楽しく体験できます。全身を使うことで運動する力を鍛え、子どもたちは楽しみながら「できた!」という成功体験を手に入れられます。また、モルックは日本では珍しい白樺の木を使用して作られていることから、スギやヒノキの柔らかい性質とは異なる、硬く滑らかな手触りを感じられるでしょう。

木育を指導する制度|木育インストラクター

ワークショップやイベントの参加を経て、より深い知識を求める方には、木育インストラクターという資格制度があります。資格を取得すると、ワークショップやイベントで講師として参加することが可能です。

木育インストラクターとは

木育インストラクターは、木育を指導し、森林環境に関する知識を広める役割を担います。森林を守りたいという思いや子供達の未来を守るといった使命感を持つことが重要です。木育の目的を理解し、木育を普及・推進するリーダーとなることが求められます。また、森林の保護や持続可能資源の循環など果たす役割もあり、社会的貢献も期待されています。

木育インストラクターになるには資格が必要

木育インストラクターになるには講座を受けて、資格を取得します。講座は、各都道府県で実施され、1日約5時間ほどの講座を受けることで認定証を受領できます。講座では原体験の大切さや、知識を伝えることの重要性を学びます。その思いを届け、人々の心を動かすことで、木育インスタラクターの役目を果たすことができるのです。

参考:芸術と遊びらぼ 木育インストラクター養成講座

まとめ

木育は、子どもの心を豊かに育みながら、子どもたち自身が未来を作るきっかけとなる取り組みであることがわかりました。大人にとっても子どもたちの未来を考える、第一歩となるのではないでしょうか。木育を日々の生活に取り入れ、日頃からわたしたちが関わる環境に目を向けることが重要です。

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