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2024.5.16
木造建築は、目的によって木が使い分けられています。
その中でも重要な役割を持つのが「構造材」と「羽柄材」です。
特に羽柄材は建築物の強度と美しさを支える役割でありながら、実際の建物では目にふれることのない部材です。
そこで本記事では、
を解説します。
建築物を支える立役者である「構造材」と「羽柄材」について詳しく知っておきましょう。
目次
建築に使われる材料は主に、構造材、造作材、羽柄材の3種類に大別されます。
構造材は木造建築の骨組みとなり、建物の根幹となる部分です。
具体的には、柱や梁、土台などが挙げられます。
隠れてしまうことが多いですが、化粧材としてあえて見せる形になっている場合もあります。
ちなみに、造作材とは目に見える部分の仕上げ用に使われる材料のことです。
羽柄材(はがらざい)は、構造材と造作材のつなぎ役を担う部材のことです。
野物材(のものざい)とも呼ばれます。
骨組みに使われるため構造材と似ていますが、柱や梁以外へ使用される補助部材の総称であり、比較的断面の小さい部材のことを指しています。
補助部材のため、基本的には建築の中に隠れてしまいます。
そのため、節や色、木目などの見た目にはこだわらない木材が使われることの多い部材です。
羽柄材は「はがらざい」と読み、端柄材と表記されることもあります。
「端」は文字通り端っこや半端物という意味があります。
「がら」は建築用語の中では廃棄物や廃材のことを指す言葉です。
羽柄材はもともと丸太を加工する過程で構造材などの大きな部分を取った後、残った部分で作られていました。
大きな部材を製材した後の残った木材や廃棄に回されるような木材で作ったことから、このような名前になったのではないかと推測されます。
構造材とは、建物を作るための骨組みになる部材です。
主に下記のようなものが挙げられます。
ここでは、構造材の主な種類と使われることの多い代表的な樹種について解説します。
ちなみに、構造材は建築構造上不可欠ですが、下地に隠れてしまうことがほとんどです。
その一方で、近年では空間を広く見せる効果を狙い「表し」と言う、構造材が見える状態で仕上げるケースも増えています。
柱(はしら)は、垂直方向に立てて上部の重みを支える部材です。
梁・桁などの横架材からの重さを受け止めて支えるため、繊維方向への強度に優れていることが必須条件となります。
合わせて、乾燥による割れや変形の可能性が少ないことも重要です。
条件にあう樹種としては「針葉樹」が挙げられ、具体的には、スギやヒノキ、ホワイトウッドなどがよく使用されます。
梁(はり)は、床や屋根の荷重を支える役割を持つ部材です。
柱を支点として、建物の水平面にかけられています。
梁に求められるのは、上部からの荷重に耐える「曲げ」や「変形」に対する強度です。
樹種としてはベイマツ、カラマツ、エゾマツなどが使われます。
桁(けた)は、梁に対して直角方向にかかっている、小屋組を支える水平な部材です。
桁に求められるのは、上部からの荷重に耐えうる圧縮強度の強さです。
圧縮強度とは、材料の軸方向に押されたときの強度のことです。
一般的に、柱に合わせた樹種を使う傾向があり、主に杉が使われます。
スギ以外ではベイマツやベイツガも利用されています。
羽柄材には、下記のような種類があります。
羽柄材は建築において、目に見えない場所に隠れてしまうことの多い部材です。
そのため、使われる木材には、杢目や色つやなどの見た目を求められない傾向があります。
貫(ぬき)は壁面で柱同士を水平方向につなぐ部材です。多くは、壁や床下の補強を目的として使用されています。
元々は柱に貫通させ「曲げ耐力」を加える部材として使われていましたが、現在では簡略化され、柱の外側から取り付けられることが多くなっています。
柱などの構造材を製材した後、残った原木からつくられる性質上、柱と使われる樹種と同じであることが多い部材です。
主に、スギやヒノキが使われています。
筋違(すじかい)は、柱と柱の間に斜めに木材を渡したものです。
風や地震などによる横からの圧力に抵抗力をつけるために使われており、筋違があることで耐震性が増し、建物が丈夫になります。
土台と同様に、耐久性が求められる部材と言えるでしょう。
主にスギやヒノキが使われます。
垂木(たるき)は、屋根の斜めの面に縦向きに取り付ける木材のことです。
屋根の下地や屋根材を支える部材となります。
屋根材によって求められる強度が変わり、瓦屋根のような重い屋根の場合は太い垂木が必要です。
スギやヒノキのほか、パイン材などが多く使われています。
間柱(まばしら)は柱と柱の間に垂直に設置する部材です。
柱という名前ではありますが垂直方向の力を支えるためではなく、主に壁を作る部材の補強の役割を持っています。
石膏ボードやサイディングなどの壁材を固定するために使用されます。
工法によって寸法も変わり、柱が太くなれば、間柱も太くなるのが一般的です。
間柱には通常、スギやヒノキ、ベイマツなどの樹種を使います。
根太(ねだ)は床の下で、床板の補強としての役割を持つ部材です。
例えばフローリングの床下では30cm以下、強度のある畳の場合は45cm以下の間隔で並べられています。
近年は、根太を使わずに、厚みのある構造用合板を床板に使う工法が増加中です。
根太には、一般的にスギやベイマツといった樹種が使われます。
建物を建築する場合、それぞれの建物や用途に合わせて部材の寸法が決められます。
構造材では、通常の2階建て木造住宅の場合、柱や桁に10.5×10.5cm(三寸五分角)や12×12cm(四寸角)といった寸法の構造材が使われるのが一般的です。
羽柄材は、使用する場所によって寸法が大きく変わります。
例えば垂木には4.5×4.5cm、9×4.5cmといった寸法の部材が多く使われます。
軒先を深く出すときや、屋根材に重いものを使用する場合には、重さに耐えられるように太い部材を使用するのが一般的です。
ただ、柱や桁などは相場としての寸法はありますが、建築物に合わせて寸法を作り変えていては加工する業者によって木材の精度が異なる可能性があります。
そうなると建物によって災害への強度が変わり、少しの地震や雨風で倒壊するかもしれません。
そのため日本では、建築基準法によって一定に品質が保たれるよう「JAS規格」という規格を定めています。
JAS規格で認められた構造用製材は、目視等級もしくは機械等級によって品質を等級区分されます。
JAS構造材には建築物の構造計算に使用される基準強度が与えられているため、JAS規格が認定されているものであれば品質が一定であるため安心して利用できます。
プレカットとは、事前に工場で切断・加工を施しておくことを指します。
従来、建築に使用する木材の加工は、大工が現場で余った木材を使い、工法や構造材の寸法に合わせていました。
ただし、加工に時間がかかることや大工の技術レベルによって品質に差が出ることから、作業効率の面で課題とされてきました。
しかし現在はコンピューター上で製図から加工機器への指示までを行えるようになったことで一定品質の製品を短時間で生産できるようになり、大きな作業効率の改善となっています。
現在、ほとんどの部材においてプレカットが主流となっています。
木造建築には、さまざまな部材が使われています。
建築における部材は、骨組みとなる「構造材」、化粧材となる「造作材」、構造材と造作材をつなぐ役割の「羽柄材」の3つに大別されます。
構造材や羽柄材は壁の中に隠れてしまうケースが多いため、普段見ることは少ないかもしれません。
しかし近年では、あえて構造材を見せるようなデザインにすることも増えてきています。
好みの樹種を構造材に使い普段から目にするようにすれば、より愛着が湧く家となるでしょう。
ただし、それぞれの部材によって適する樹種が異なります。きちんと建築会社などと話をした上で決めていきましょう。
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