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2024.11.14
インテリアに木を取り入れたいと考えた時に出てくるのが「どの木材を使うか?」という問題です。あまりよく調べないまま選び始めると、つい見た目と価格だけで考えがちです。しかし、機能面や経年変化など、購入する時には見えにくいポイントもあります。デザイン性と機能性の面から人気の高いウォールナット。木としての性質から木材としての性質まで解説します。
目次
ウォールナットは、クルミ科クルミ属の広葉樹です。細かく分類すると200種類以上ありますが、住宅・インテリア業界でウォールナットと言えば、ほとんどが「ブラックウォールナット」を指します。
見た目と機能面の両面での評価が高い木材です。ウォールナットは紫がかった濃いブラウンが特徴的で、高級感を感じさせます。直線的な木目も美しく、経年変化により光沢が増していくところも魅力的です。ウォールナットのような風合いの木が他にないことも、人気に火をつけています。強度や耐久性、加工性の高さがあるため、長く使える優秀な木材です。日本では、1970年代頃から高級家具や床材として愛されてきました。
ウォールナットは世界三大銘木のひとつです。世界三大銘木とは、見た目の美しさや機能性の高さから、世界的に評価されている木のことです。ウォールナットの他、チークやマホガニーが世界三大銘木に数えられています。
それぞれの特徴は下記の通りです。
主な産地 | 特徴 | |
ウォールナット(Walnut) | 北米(アメリカ東部から中部、カナダのオンタリオ州) | 高級感のある濃い茶色。機能的にバランスよく優れている。 |
チーク(Teak) | 主に東南アジア(インド、ミャンマー、タイ、ラオス) | 赤みがかった茶色。耐水性の強さが際立つ。 |
マホガニー(Mahogany) | 中南米(メキシコ南部からブラジル北部) | 深い赤茶色や暗い茶色。硬さが特徴的。 |
高級感のある見た目や機能面の優秀さについては共通していますが、それぞれ個性があります。
ウォールナットは日本語訳すると「くるみ」です。
しかし住宅・インテリア業界では、ウォールナットは「ブラックウォールナット」、くるみは「クルミ」と表現されています。日本ではオニグルミが木材として頻繁に利用されるので、ここではオニグルミをピックアップしてご説明します。ウォールナットとオニグルミは同じくクルミ科クルミ属の木材ですが、色合いや機能面、価格面では大きな違いがあるのです。
ウォールナットは、その色味からシックで落ち着いた印象を与え、高級感を出すのに適しています。また、日本の気候では育ちにくいため、基本的には輸入品です。そのため輸送費がかかり、価格が高くなっています。柔らかく明るい雰囲気を出したい場合はオニグルミが良いでしょう。「中間色」と呼ばれる色合いをしているので、どんなインテリアにも合わせやすいです。オニグルミは日本でも育ちますので、ウォールナットよりも安価に手に入ります。
木材としてのウォールナットについて解説します。家具のイメージが強いかもしれませんが、楽器や銃など意外な用途でも使われています。
ウォールナットの主な用途は次の通りです。
他の木材と同じく、ウォールナットの加工方法は主に3種類あります。
それぞれ見た目や耐久性に差があり、価格も大きく異なります。用途や予算と相談しながら選びましょう。
無垢材(むくざい)は、伐採された一本の木を切り出しているので、ウォールナットの風合いを最も強く感じられます。また、経年変化による色の変化もよく感じられます。耐久性が高いため、使い始めた時の強度が保たれやすいです。フローリングや壁や天井、高級家具、装飾品など幅広く使われます。3種類の中ではもっとも高価です。
挽板(ひきいた)は、無垢材を1mm〜3mm程度に薄く切り、他の木材に張り合わせたものです。無垢材よりも安価に手に入るため、床材として利用しやすいです。見た目は無垢材とほとんど変わりなく、自然な色合いを楽しめます。温度や湿度による収縮・膨張も少ないので、使用感も安定的です。フローリングや家具として使われますが、工芸品や装飾品としてはあまり使われません。
突板(つきいた)は、木材を0.2mm〜0.6mm程度に薄く切り、他の木材に張り合わせたものです。安価で利用できるのが特徴です。見た目は無垢材や挽板(ひきいた)と変わらない部分もありますが、木目や色合いの美しさは少し劣るでしょう。機能面でも、張り合わせた木材によっては強度が落ちる可能性があります。家具や内装材として使われています。
ウォールナット材を用いるメリットを5つ解説します。
ウォールナットの最大の魅力は、その美しい色合いと木目です。紫がかった濃い茶色と直線的な木目が特徴的で、洗練された印象を与えます。ウォールナットのような色合いと木目を出せる木材は、他にはありません。一般的には経年変化で色が濃くなる木材が多いですが、ウォールナットは色が明るく変化していきます。長い時間をかけて使い込みながら、風合いの変化を楽しめるところが魅力的です。
ウォールナットは、変形を起こしにくい耐久性の高い木材です。小さい子供やペットと共に暮らす方にとっては、耐久性の強さがプラスになるでしょう。ちなみに、ウォールナットが属する広葉樹は、英語で「hardwood」と呼ばれています。
加工のしやすさも人気のポイントです。カットや細かい削りの作業にも適しているため、複雑なデザイン性が求められる高級な家具や楽器、工芸品にも重宝されています。
スギやヒノキなどは気候によって反ったりねじれたりすることがあります。しかし、ウォールナットは、1年を通して寸法が安定しているので、狂いが少ない木材です。温度や湿度に影響されやすい木材の中でも優秀な木材と言えます。
ウォールナットは触り心地の良い木材です。適度な油分を含んでいるためツヤがあり、ベタつきのない軽やかさがあります。体に触れられる部分にウォールナットを使用すると、ツヤっとした質感や木材特有の温もりを感じられるのでおすすめです。
ウォールナットは多くのメリットを持つ一方で、価格の高さ、経年劣化や汚れの目立ちやすさ、そして定期的なお手入れが必要というデメリットがあります。
ウォールナットは他の木材に比べると高価です。高価な理由は下記の3つです。
成長スピードが遅く、そもそも供給量が少ない木材です。日本だけではなく世界的に需要が高いため、価格は上がります。また見た目の面でも機能面でもウォールナットに似た木が存在しないことから、希少性が高い木材です。
「風合いの変化を楽しめる」と言えばメリットになりますが、同時にデメリットにもなります。木材は経年変化により色が濃くなるのが一般的ですが、ウォールナットの場合は明るくなっていきます。「想像していた経年変化と違った」とならないように、あらかじめどのように色が変化するのかを確認しておきましょう。
ウォールナットは濃い茶色をしているので、白っぽいほこりや繊維が目立ちます。グラスの周りについた水滴がシミになり、目立ちやすいです。こまめに掃除をしたり、コースターやランチョンマットを使ったりと、家具を大切に使いましょう。もしシミが取れない場合は、紙やすりで軽くこすると綺麗になります。家具を紙やすりで削るのは勇気がいるかもしれませんが、1つの手段として覚えておきましょう。
ウォールナットの風合いを保つためには、定期的にお手入れをしなければなりません。お手入れをしないと、表面がパサついたり、シミができやすかったりと、せっかくのウォールナットの魅力が減ってしまいます。オイルなどで保湿して、木材の状態を保ちましょう。お手入れするための時間的・金銭的余裕があるかどうか、考えてみましょう。
ウォールナットは美しく人気の高い木材ですが、その存在感や価格が悩みの種になることもあります。インテリアに取り入れる際に気をつけたいポイントを解説します。
ウォールナット材には、無垢材・挽板(ひきいた)・突板(つきいた)があります。選び方を間違えると、期待したほどの美しさを感じられなかったり、運びにくかったりと、困りごとが出てきます。
無垢材は高価です。見た目を重視して選ぶ場合は、挽板(ひきいた)でも十分ということもありますので、「無垢材でなければならない理由」を考えましょう。また無垢材の一枚板を使ったダイニングテーブルなどは美しいですが、重くなりがちです。頻繁に引越しや模様替えされる方にとっては扱いにくいかもしれません。
挽板(ひきいた)は価格と機能のバランスに優れています。無垢材のような見た目や機能を持っていますが、手に入れやすい価格です。ウォールナットの良さを引き出しつつ、コストパフォーマンスも考えたい時には検討しましょう。
突板(つきいた)は、もっとも安価です。見た目を大事にしたいがコストはできるだけ抑えたい、という時に役立ちます。
ウォールナットは、木材の中では暗めの色をしているため、圧迫感を与えることがあります。しかし、工夫次第で解消できます。例えばダイニングテーブルなどの存在感のある家具を置くのであれば、壁紙や床は明るめ壁紙や床を変えられない場合は、部屋のどこかにアクセントカラーを入れることもおすすめです。カーテンやクッション、ラグマットなどは後からでも工夫できますよね。ワンポイントのアクセントとして取り入れてみましょう。ほかにも観葉植物を置く、ウォールナットの家具を部屋の奥側に配置するなど工夫できることはあります。
ウォールナットは、高級感のある人気の木材です。デザイン面でも機能面でも優れており、家具や内装材として世界的に重宝されています。ウォールナットのメリットとデメリットを整理した上で、暮らしへの取り入れ方をじっくり考えてみましょう。
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