ホワイトウッドとは|木材の特徴やメリット・デメリットを解説

eTREE編集室

清潔感のある白色と美しい質感が特徴的なホワイトウッドは、内装材や家具、楽器用材など幅広い用途で使用されています。

主に北欧を中心としたヨーロッパに広く分布しており、加工のしやすさが特長です。一方で、シロアリ被害に遭いやすいという欠点もあります。

本記事では、ホワイトウッドの木材の特徴や、建築木材として使用する場合のメリット・デメリットのほか、シロアリ被害の具体的な対策方法について解説します。

ホワイトウッドとは「白色が特徴的なヨーロッパの針葉樹」
「ホワイトウッド」とは、マツ科トウヒ属に属する白木の針葉樹の総称です。

ヨーロッパ全域からロシア西部にかけて広く分布しており、ヨーロッパでは代表的な造林樹種の一つとされています。
別名として「ヨーロッパスプルース」や「ドイツトウヒ」、「ノルウェースプルース」などとも呼ばれます。

ホワイトウッドの樹高は30〜50メートル、直径は60〜100センチメートルに達しますが、北欧などスカンジナビア半島に生育するものは、やや小ぶりな傾向があります。

木材は白く均一な色合いで、「節」(木の枝の痕跡)が小さいことが特徴です。

ホワイトウッドの特徴

ここでは、ホワイトウッドの主な特徴について、次の3つの側面から解説します。

  • 色調
  • 乾燥と強度
  • 耐久性

色調

ホワイトウッドは、全体的に白に近いものから、淡い黄味を帯びたものまでさまざまな色味があります。

辺材と心材の色の差がほとんどないため、両者の境目は不明瞭です。
木材表面に現れる木目は緻密で、光沢があります。その清潔感のある色合いと美しい質感が、人気の高い木材です。

乾燥と強度

ホワイトウッドは、他の木材と比べて乾燥にそれほど時間はかかりませんが、乾燥後にやや変形しやすい傾向があります。

そのため、この欠点を補う目的で、複数の小さな木材を接着剤で貼り合わせて一枚の板にした「集成材」として使用されることもよくあります。

強度の面では弾力性に乏しく、曲げ加工には不向きです。一方で、軽く柔らかい材質のため、切削加工がしやすく、運搬も容易という特長があります。

耐久性

ホワイトウッドの耐久性は一般的に低いとされています。
他の樹種と比べて腐朽しやすく、湿気に対する耐性もあまり高くありません。

特に辺材部分はシロアリなどの虫害を受けやすい傾向があります。
そのため、湿気の少ない屋内での使用に適しており、屋外で使用する場合は、防腐・防蟻処理や防水対策を適切に施すことが不可欠です。

主な用途

ホワイトウッドは、加工のしやすさなどの特徴から幅広い分野で使用されています。

ここではホワイトウッドの主な用途について、以下の2つを紹介します。

  • 住宅用部材や家具
  • 楽器用材

住宅用部材や家具

ホワイトウッドは、主に住宅用部材として、下地材や造作材、フローリング、内装材によく使用されます。

内装材として用いる場合には、集成材に加工して強度を高めるケースが一般的です。
集成材にすることで、湿気の多い場所や高い硬度が求められる用途を除けば、十分な信頼性が期待できます。

このほか、家具や木工材としても用いられ、幅広い用途で活躍しています。

楽器用材

ホワイトウッドの優れた音響性能を備えていることから、楽器用材としても利用されます。

特に、ヨーロッパ中部及び東部で産出されるホワイトウッドは、共鳴性が非常に高いことから、ピアノの音響材として重宝されています。

また、バイオリンやギターなどの弦楽器では、表板の材料として用いられることも多いです。

建築木材としてのホワイトウッドのメリット・デメリット

様々な用途で使用されるホワイトウッドですが、ここでは建築木材としてのホワイトウッドのメリットとデメリットについて解説します。

メリット

ホワイトウッドは前述の通り、密度が低く柔軟性のある材質であるため、加工しやすい点が大きなメリットです。
軽量で取り扱いやすいため、建築現場でも広く活用されています。

また、幹の直径が70センチメートルを超える「大径木」が輸入され、安価に供給できることから、他の樹種と比べてコストが低い傾向があります。

デメリット

北欧を主な産地とするホワイトウッドは、寒冷で乾燥した地域で育つため、日本のような高温多湿な環境では湿気を吸収しやすく、腐敗しやすい傾向があります。
また、北欧にはシロアリがほとんど生息していないことから、ホワイトウッドにはシロアリに対する自然な耐性がほとんど備わっていません。

シロアリが生息しやすい日本の気候では、ホワイトウッドは格好の餌食となりやすいのが実情です。
さらに、杉やヒノキなどの木材と比べると耐久性が低いため、住宅の構造材としての使用にはあまり適していないとされています。

ホワイトウッド使用時に懸念されるシロアリ被害の対策方法

日本のような高温多湿な環境において、木造住宅などにホワイトウッドの木材を使用する場合、シロアリ被害の対策が不可欠です。

ここでは、次の2つの具体的な対策方法を解説します。

  • 新築時に防蟻(ぼうぎ)処理を行う
  • 定期的な調査とメンテナンス

新築時に防蟻(ぼうぎ)処理を行う

シロアリの被害を防ぐためには、新築時に防蟻処理を施し、あらかじめ被害や腐朽を予防することが重要です。
防蟻処理には、主に「土壌処理」と「木部処理」の2種類があります。

「土壌処理」とは、建物の基礎内部や束石の周囲など、シロアリが通過する可能性のある土壌を薬剤で処理する方法です。
一般的には、土壌の表面に薬剤を散布し、防蟻層を形成します。
シロアリは主に地中を経由するため、土壌を薬剤で処理することで侵入を防げます。

「木部処理」には、木材の表面に噴霧器で薬剤を吹き付ける方法や、刷毛で塗布する方法に加え、木材や壁体に穴を開けて薬剤を注入する方法があります。
新築建築物の木部処理では、通常、基礎天端から1メートルまでの部材、浴室周辺の部材、洗面所や台所などの水回り部分の木材を対象に処理が行われます。

定期的な調査とメンテナンス

既存建築物に対する防蟻処理には、すでにシロアリによる食害が発生している場合に、駆除と再発防止を目的として行うケースがあります。
また、現時点では被害が出ていないものの、予防のために実施するケースもあります。

防蟻処理は、基本的に前述の「土壌処理」と「木部処理」の両方を併せて行うのが一般的です。
処理が実施されているかどうかは、登録施工業者会員が発行する施工保証書などで確認できます。

また、「防除施工標準仕様書」では、5年を目安に再処理を行うことが推奨されており、定期的なシロアリ被害の調査とメンテナンスの実施が求められます。

まとめ

ホワイトウッドは、ヨーロッパに広く分布する白木の針葉樹を総称した名称です。
軽量で柔らかく、加工がしやすい性質を持つため、内装材や家具、楽器用材など、さまざまな用途で幅広く利用されています。

一方で、主に北欧の寒冷かつ乾燥した地域で育つ樹種であることから、日本のような高温多湿な環境では、湿気を吸収しやすく腐敗しやすい傾向があり、使用には注意が必要です。

また、建築用木材として利用する場合は、シロアリ被害に遭いやすいため、防蟻処理が不可欠です。
ホワイトウッドを使用する際は、そのメリットとデメリットを十分に理解し、木材の特性を踏まえた適切な活用方法を検討することが大切です。

この記事をシェアする

おすすめの記事

おすすめキーワード

eTREEに情報を掲載しませんか?

eTREEでは、木材関連の情報をご提供していただける
木材事業者様、自治体様を募集しています。

現在募集中の情報はこちら