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2025.8.22
私たちが森林の中で感じる爽やかな香りや癒しには、科学的な理由があります。
その正体は、「フィトンチッド」と呼ばれる植物が発散する揮発性成分です。
外敵から身を守るために植物が放出するこの天然物質には、除菌や抗酸化、消臭、リラックス効果など多くの機能があり、日常生活に取り入れることで心身に良い影響をもたらします。
本記事では、フィトンチッドの働きや効果、そして暮らしに取り入れるための具体的な方法についてわかりやすく解説します。
目次
フィトンチッドは、植物の根や幹に含まれ、森林では主に樹木の葉から放出される成分です。
ロシア語で「フィトン」=「植物」、「チッド」=「殺す能力」という意味を持ち、旧ソ連の科学者であるB.P.トーキン博士により名付けられました。
フィトンチッドは単一の化学物質ではなく、植物から放出される抗菌・防虫作用などがある成分全体の総称であり、成分は樹木の種類によって異なります。
植物は自由に動くことができないため、微生物(菌や細菌)や害虫といった外敵に襲われても、その場から逃げることができません。
そのため植物は、外敵から身を守る、あるいは傷ついた時でも病原菌の感染を防ぐため、「フィトンチッド」という揮発性の物質を自ら作り出し、身を守っているのです。
植物にとってフィトンチッドとは、自己防衛のためのバリアのような役割を果たすものと言えるでしょう。
樹木から放出されるフィトンチッドには、さまざまな効果があります。
ここでは、代表的な次の4つの効果について解説します。
森林の中には、動物の死骸や排泄物などといった、さまざまな堆積物があります。
本来であれば臭気が気になるはずですが、森林内では爽やかな空気を感じることができます。
これは、樹木が発するフィトンチッドが消臭・脱臭効果を持ち、空気を浄化する能力があるためです。
フィトンチッドには「分解中和消臭」という作用があり、悪臭成分に付着して分解することで、無害化することができます。
具体的な事例を挙げると、スギなどのおが屑(おがくず)は、畜産業の敷料として利用され、糞尿の消臭の役割も果たします。
フィトンチッドは、植物が自己防衛のために発散する物質であり、除菌・抗菌の効果を有します。
菌と一言で言っても、健康に悪影響を与える病原菌もあれば、生きていくために必要不可欠な常在菌、善玉菌などの非病原菌もあります。
それぞれの植物が放出するフィトンチッドには、その植物にとって有害となる菌だけを選別して作用する自然の力が備わっているのです。
例えば、フィトンチッドのひとつであり、ヒノキ科の植物に含まれる「ヒノキチオール」は、カビや木材腐朽菌のほか、病原菌を抑える力もあります。
通常、生ものなどの食品は、そのまま放置しておくと「酸化」によって腐敗してしまいます。
しかし、フィトンチッドには「抗酸化作用」があるため、腐敗を遅らせる効果が期待できます。
例えば、寿司屋のネタケースの中には、ヒノキやサワラなどの針葉樹の葉が、寿司ネタとともに保存されています。
森林浴は、人体にリラックス効果をもたらすと言われていますが、これはフィトンチッドが導く効果であることが明らかになってきています。
フィトンチッドには、脳の落ち着きを促す周波数「アルファ波」を増加させる働きがあります。
アルファ波が増えることで、精神的に安定するだけでなく、自律神経のバランスを整えたり、内臓機能の働きを良くする作用もあるのです。
このように、フィトンチッドには幅広い効果があることが分かっていますが、実際に生活の中でフィトンチッドの癒し効果を感じることは可能なのでしょうか。
ここでは、暮らしの中で気軽にフィトンチッドを取り入れる具体的な方法として、次の3つをご紹介します。
最も定番な方法は、森林浴を行うことです。
森の中を15分ほど歩いたり、景色を眺めることだけでも十分なリラックス効果が見込めるとされており、まずは近隣の公園などで木々を眺めることから始めてみても良いでしょう。
より身近な方法としては、室内に観葉植物を設置したり、庭やバルコニーがある場合、実際に小ぶりな樹木を育て、ガーデニングを楽しむことでもフィトンチッドの効果が期待できます。
フィトンチッドは、樹木が伐採された後も木材内部に残るため、住宅の建材やインテリアとして使用されても、その効果が持続します。
木造住宅や木製家具を取り入れることで、リラックス効果に加え、家ダニやカビの繁殖を抑える防虫・防カビ効果、さらにトイレやキッチンなどの生活臭に対する消臭効果も期待できます。
フィトンチッドを暮らしに手軽に取り入れる方法として、フィトンチッドを配合したグッズを活用するのも一つの手です。
代表的なアイテムとして、ヒバやヒノキなどの精油(エッセンシャルオイル)があり、お風呂に数滴垂らすだけで、森林浴のようなリラックス効果が得られます。
また、繰り返し使えるヒノキ製のボールもおすすめです。お風呂に浮かべれば、やさしい木の香りを手軽に楽しむことができます。
樹木が発するフィトンチッドによって癒しの効果が得られるとされる「森林浴」。では、実際にその効果はどのように科学的に検証されているのでしょうか。
ここでは、森林浴に関する研究とエビデンスについて、以下の3つの視点から解説します。
「森林浴」という言葉は、1982年に林野庁によって提唱されました。多くの人々に森を訪れてリラックスしてもらうことで、日本の森林の価値を高めようという目的がありました。
その後、2003年には千葉大学の宮崎良文教授によって、科学的なエビデンスに基づいた「森林浴」を意味する「森林セラピー」という概念が提唱されています。
宮崎教授の研究チームは、森林と都市でのストレス状態の違いを比較する実験を行い、森林のもたらすリラックス効果を科学的に解明。日本における森林浴研究を大きく前進させました。
特に2005年にスタートした「森林セラピー基地構想」では、森林浴の効果を科学的に検証するとともに、森林の活用による地域活性化を目的に、全国63カ所の森林と都市において、計756名の被験者による大規模な実験が実施されました。
「森林セラピー基地構想」における実験では、森林環境が人の身体に及ぼす影響が科学的に明らかとなりました。
主な効果として、以下のような生理的変化が確認されています。
さらに、「高血圧者の血圧低下に対する継続的効果」や、「身体の生理機能を調整する作用」が認められ、森林セラピーには予防医学的な効果が期待できることも報告されています。
日本全国には多くの森林が存在します。
特に森林セラピーに適した場所として注目されているのが、特定非営利活動法人「森林セラピーソサイエティ」によって認定された「森林セラピー基地」です。
この認定は2006年から始まり、現在では北海道から沖縄まで60カ所以上の森林が指定されています。中でも、セラピープログラムの充実度や成果に基づき「特におすすめの基地」として認定されているのが、「森林セラピー基地2つ星」です。
現在、2つ星に認定されているのは次の2カ所です。
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フィトンチッドは、植物が身を守るために発する天然の香り成分であり、私たちの健康や生活の質にも多くの恩恵をもたらします。
森林浴や観葉植物、木造住宅、フィトンチッド配合グッズなど、日常に手軽に取り入れる方法もさまざまです。
科学的な研究によってその効果が裏付けられている今、フィトンチッドを意識的に取り入れることは、ストレスの多い現代社会において心身のバランスを整える一つの手段となるでしょう。
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