
商品紹介
2025.9.6
近年、省エネや環境への配慮が重視される中、建築物の省エネ性能にも関心が高まっています。
「BELS(ベルス)」は、住宅やオフィスなどの建築物の省エネ性能を、第三者機関が評価・表示する制度です。信頼性の高い情報提供を通じて、持続可能な社会づくりに貢献しています。
本記事では、BELSの基本情報から評価基準のほか、他制度との違い、取得によるメリットまでを詳しく解説します。
目次
「BELS(ベルス)」は「Building-Housing Energy-efficiency Labeling System」の略で、日本語では「建築物省エネルギー性能表示制度」を指します。
BELSは、建築物省エネ法第7条に基づき、第三者機関が建物の省エネ性能を評価・表示する制度です。一般社団法人住宅性能評価・表示協会が運営しています。
2024年4月より、建築物の販売・賃貸を行う事業者は、国土交通省が定めた「省エネ性能ラベル」の表示が努力義務となりました。
ラベルには「自己評価」と「第三者評価」があります。BELSはそのうちの「第三者評価」の一つに該当します。
BELSは、新築・既存を問わず、建築基準法に定められたすべての建築物が対象です。2016年4月からは対象が住宅にも拡大され、住宅・非住宅いずれの建物でも取得が可能になりました。
また、建物全体だけでなく、フロア単位、テナント・区画単位での評価も可能です。複合用途の建物でも、住宅部分・非住宅部分を分けて評価することができます。
BELSでは、住宅と非住宅で評価項目に若干の違いがあります。ここでは、具体的な評価項目について、住宅と非住宅の場合に分けて解説します。
評価項目 | 内容 |
エネルギー消費性能(BEI) | 国の省エネ基準に対するエネルギー削減率を示す指標「BEI(Building Energy Index)」で評価され、星の数(1~5または7段階)で表示されます。 |
断熱性能 | 建物の断熱性を「外皮平均熱貫流率(UA値)」と「冷房期の平均日射熱取得率(ηAC 値)」の2つの指標から評価し、家のマークの数で表示します。 |
目安光熱費 | 住宅の省エネ性能に基づき電気・ガス等の年間消費量に、全国統一の燃料等の単価を掛け合わせて算出した 1年間の光熱費の目安です。 |
再エネ設備の有無 | 太陽光発電や太陽熱利用、バイオマス発電などの再エネ設備が設置されている場合に「再エネ設備あり」と表示できます。 |
ZEH(ゼッチ)水準 | エネルギー消費性能が3以上かつ断熱性能が5以上を達成すると、ZEH水準としてチェックマークが付きます。 |
ネット・ゼロ・エネルギー(ZEH) | ZEH水準の達成に加えて、太陽光発電の売電分も含め、エネルギー収支が年間ゼロ以下になると、達成としてチェックマークが付きます。 |
参考:建築物省エネ法に基づく省エネ性能表示制度 事業者向け概要資料|国土交通省
評価項目 | 内容 |
エネルギー消費性能 | 住宅と同様、星の数でBEIを表示します。 |
ZEB(ゼブ)水準 | エネルギー消費性能が事務所などの用途の場合は星5つ、病院などでは星4つ以上を達成するとチェックマークが付きます。国の誘導基準にもなっています。 |
再エネ設備の有無 | 住宅の場合と同様に、再エネ設備が設置されている場合に「再エネ設備あり」と表示が可能です。 |
ネット・ゼロ・エネルギー(ZEB) | 住宅の場合と同様に、ZEB水準の達成に加えて、太陽光発電の売電分も含め、年間のエネルギー収支がゼロ以下で達成のチェックマークが付きます。 |
参考:建築物省エネ法に基づく省エネ性能表示制度 事業者向け概要資料|国土交通省
BELSの主な評価基準は、次の2種類が挙げられます。
エネルギー消費量の削減率を示す指標「BEI(Building Energy Index)」を用いて、国の基準と比較した削減度合いを評価する基準です。
なお、星1つ以上で省エネ基準の達成、星3つ以上で誘導基準の達成を示します
以下の2指標をもとに、地域ごとの基準に従って評価されます。
2つの評価のうち、いずれか低い方の等級を採用し、家のマークの数で表示します。省エネ基準は等級4以上、誘導基準は等級5以上で達成です。
建築物の性能を評価する制度には、BELSのほかにも類似する制度がいくつか存在します。ここでは、次の代表的な2種類の制度との違いを具体的に解説していきます。
「住宅性能表示制度」とは、住宅の性能を複数の評価項目ごとに、等級や数値で分かりやすく表示するための制度です。
構造の安定、劣化対策、省エネルギー性など、10分野の性能項目について、国が定めた基準に基づいて評価が行われます。
BELSは「省エネ性能」に特化した評価・表示制度であるのに対して、住宅性能表示制度は省エネ以外の項目についても総合的に評価を行う点が大きな違いです。
BELSと混同されやすい用語には、「ZEH」や「ZEB」が挙げられます。
ZEHとは、「net Zero Energy House(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)」の略称で、「エネルギー収支をゼロ以下にする住宅」のことです。
また、ZEBとはZEHと同様の省エネ目標を掲げた非住宅のことを指します。
つまり、ZEHやZEBは省エネ目標を掲げた住宅や非住宅そのもののことを表すのに対して、BELSは省エネ性能の評価・表示の制度である点が大きな違いです。
住宅や非住宅問わず、建築物でBELS認証を取得することで以下3つののようなメリットを得られます。
前述の通り、省エネ性能表示制度は、事業者が自ら評価を行う「自己評価」での方法も対応可能です。
一方で、第三者機関による「第三者評価」は、自己評価と比べて客観性や信頼性が高まるため、より精度の高い評価結果を得ることができます。
第三者機関は国土交通省の基準を満たす必要があり、公平な観点からの評価となるため、購入者や賃貸契約者にとっても安心材料になるでしょう。
BELS認証を取得することで、環境に配慮した建築物として評価されるため、不動産価値の向上を期待できます。
省エネ性能に優れた建築物は、建物自体に持続性があり、光熱費の節約も可能です。所有者や入居者にとってもメリットが大きく、賃料や入居率の向上が見込めるでしょう。
BELSによって取得した評価書は、補助金制度や助成金の申請にも活用できます。
補助金や助成金によっては、申請の条件としてBELS評価が必須となっているものもあります。
例えば、ZEHやZEB水準を満たすことを条件としている場合、外皮性能や一次エネルギー消費量の評価書の提出が求められますが、BELSの評価書が活用可能です。
BELSは、省エネ性能に特化した信頼性の高い第三者評価制度であり、建築物の価値向上や補助金活用の面でもメリットがあります。
住宅・非住宅問わず、環境性能の「見える化」が求められる現在、BELSの取得はますます重要となるでしょう。
環境配慮型の建築を検討されている方は、BELSの活用をぜひ検討してみてください。
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