セランガンバツとは?特徴・他材との比較・注意点まで徹底解説

eTREE編集室

セランガンバツは、東南アジアを原産とする、強度と耐久性に優れた代表的なハードウッドです。

屋外での使用に適しており、公共施設や商業施設といった大規模物件のほか、一般家庭のウッドデッキまで幅広い場面で利用されています。

資源が比較的豊富で価格も安定していることから、同じハードウッド材であるウリンやイペと比較しても、コストパフォーマンスの良さが大きな特徴です。

本記事では、セランガンバツの特徴や他のハードウッド材との比較のほか、使用時の注意点まで解説します。

セランガンバツとは「耐久性と強度に優れた屋外用材」

「セランガンバツ」は、フタバガキ科の常緑広葉樹で、東南アジアのインドネシアやマレーシアを原産とする木材です。

セランガンバツの色合いは黄褐色で、同じハードウッド材の「ウリン」などと比較すると、明るい印象を与えます。
「ハードウッド」とは、主に赤道付近で育った広葉樹から作られた、耐久性の高い木材のことを指します。

セランガンバツの「バツ」は、現地の言葉で「石」を意味するとされ、硬い材質と高い耐久性が特徴です。

また、強度も高いことから、ウッドデッキ材として使用されることが多くあります。

セランガンバツの特徴

ハードウッド材の一種であるセランガンバツの主な特徴として、次の2点を紹介します。

  • 高い耐久性と強度
  • コストパフォーマンスの良さ

高い耐久性と強度

セランガンバツは前述の通り、高い耐久性と強度が特徴です。

そのため、屋外でも長期使用が期待できます。

硬く緻密な材質は、微生物や害虫の侵入を防ぐため、優れた耐腐朽性があり、薬剤処理を前提としない使用が一般的です。

原木は高さが50〜60メートルに達することもあるほど非常に大きく成長するため、長尺材が得やすく、大断面材や特殊サイズ材など、幅広い用途に対応した木材を採取できます。

コストパフォーマンスの良さ

セランガンバツは、費用対効果が高い点も大きな特徴です。

資源が豊富なことから、品質、流通量ともに安定しています。

他のハードウッドと比べても、原木の供給量が多いため、大型物件でも利用されやすい木材です。

また、同じハードウッド材の「ウリン」や「イペ」と比較して、木材の価格が安価な傾向があり、リーズナブルで費用対効果の高い木材であるとされています。

これにより、大規模な公共施設や商業施設の施工において「コストを抑えながら長期的に安心して使用できる木材」として選ばれるケースが増えています。

他のハードウッド材との比較

ここでは、セランガンバツと同じハードウッド材について、次の代表的な3種類と比較していきます。

  • ウリン
  • イタウバ
  • イペ

ウリン

「ウリン」は東南アジア原産のクスノキ科の樹木で、「アイアンウッド(鉄の木)」と呼ばれるほど高い強度を持ちます。

もともと海辺に自生するため、湿気や海水に強く、古くから橋梁や船舶の建材として利用されてきました。

材質は非常に高密度で成長が遅く、資源の不足から現在では希少な存在となっています。木材としては美しい木目と滑らかな手触りが特徴です。

イタウバ

「イタウバ」は、南米ブラジルを中心にアマゾン川流域に分布するクスノキ科の樹木です。

耐久性に優れるとともに、ハードウッドでありながら加工しやすい点が特徴です。

豊富に含まれる油分によって心地よい手触りを持ち、年月を経ても表面の艶を保つことから人気を集めています。特にヨーロッパで広く利用されている木材です。

イペ

「イペ」は、ブラジルやペルー、パラグアイなど中南米を原産とするノウゼンカズラ科の樹木です。

代表的なハードウッドのひとつで、比重・硬度が高く、形状安定性と耐久性に優れています。

木材には「ラパコール」と呼ばれる防腐・防虫効果のある成分が含まれており、無塗装でも30年以上使用できるとされています。

その高い耐久性に加え、価格も最高級クラスに位置づけられ、特に欧米では最も人気のある木材のひとつです。

セランガンバツの主な使用事例

耐久性と強度に優れたセランガンバツは、幅広いシーンで活用されています。

ここでは、次の2つの視点から、実際にセランガンバツが使用されている場所を紹介します。

  • 公共・商業施設
  • 一般家庭

公共・商業施設

セランガンバツは、公共施設や商業施設などの大規模な建築物で広く利用されています。

原産国からの原木供給が安定しており、大量の木材を必要とする大規模ウッドデッキなどにおいても、品質・流通量の両面で安心して採用できる点が評価されています。

日本国内でも採用事例は多く、特に都市部を中心に以下のような施設で使用されています。

  • デックス東京ビーチ(東京都港区)
  • 大阪国際空港(伊丹空港)
  • 岸和田カンカンベイサイドモール(大阪府岸和田市) など

一般家庭

セランガンバツは、公共・商業施設といった大規模物件だけでなく、一般家庭のウッドデッキ材として使用されることも多いです。

シロアリ被害が少なく、耐久性が高いだけでなく、ほかのハードウッド材と比較して価格が安い点も、セランガンバツが人気とされる理由の一つです。

ウッドデッキのほか、ウッドフェンスやパーゴラなどの幅広い用途で利用することができます。

セランガンバツ材を使用する際の注意点

使用実績の多いセランガンバツですが、木材を使用する際には、次のような主に2つの注意点があります。

  • ピンホール(虫穴)の存在
  • 木肌のざらつき

ピンホール(虫穴)の存在

セランガンバツの特徴として、ごく小さなピンホール(虫穴)が比較的多く見られます。

これは生育中の立木に小さな虫が入った痕跡であり、製材後に内部に虫が残っていたり、木材として虫食い被害を受けているわけではありません。

そのため、強度や耐久性には影響しないとされています。

また、雨などで濡れた際にピンホールから埃や汚れがにじみ出て黒ずむことがありますが、時間の経過とともに色が抜けて目立たなくなります。

耐久性や性能に支障をきたすものではないため、安心して使用できるものです。

木肌のざらつき

セランガンバツは強度と耐久性に優れた木材ですが、木肌には特有のざらつきがある点に注意が必要です。

表面に細かな凹凸が残るため、素足で歩くデッキ材や手で触れる部分に使用する際には、ささくれや引っかかりを感じることがあります。

そのため、施工の際にはサンディングなどで仕上げを調整したり、利用用途に応じて配置を工夫することが推奨されます。

ざらつき自体は木材の強度や耐久性に影響するものではありませんが、使用環境に合わせた配慮が求められます。

まとめ

セランガンバツは、耐久性・強度・コストパフォーマンスの3点を兼ね備えた、屋外用材として非常に優れた木材です。

公共施設から一般家庭まで幅広いシーンで利用されており、その実績は信頼性の高さを証明していると言えるでしょう。

ウリンやイペといった高級材と比べても、品質と価格のバランスに優れており、大規模施工や長期使用において特に有利です。

材質として、ピンホールやざらつきといった特性はあるものの、施工時の工夫で十分に対応可能であり、強度や耐用年数に影響を与えるものではありません。

持続可能な資源利用の観点からも、安定供給が見込めるセランガンバツは、今後ますます需要が高まる木材といえるでしょう。

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