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2025.11.6
アメリカ西海岸に自生する「レッドウッド」は、世界で最も高く成長する針葉樹で、神秘的な存在として古くから人々に親しまれてきました。
赤みを帯びた美しい木目と高い耐久性があり、建築や家具など幅広い用途で利用されています。
一方で、その森は国立公園などで保護され、限られた範囲のみで伐採が許されている点も特徴です。
本記事では、レッドウッドの特徴や用途、保護の取り組み、森林認証制度との関わりを紹介します。
目次
レッドウッドは、アメリカの太平洋岸のオレゴン州南西部からカリフォルニア州中部にかけて分布する樹木です。
スギ亜目セコイア属の針葉樹で、正式には「セコイア・センペルヴィレンス」という学名を持ちます。
高さは最大で100m近くにも達し、地球上で最も高い木と言われる巨木です。
アメリカでは古くから「神の木」とされ、天高くそびえる美しさと壮大さは、多くの人々に親しまれています。
その仕上がりがいつまでも美しいことから、高級木材としても取り扱われています。
レッドウッドには、主に次のような特徴があります。
ここではそれぞれの特徴について、詳しく解説していきます。
レッドウッドはその名の通り、樹皮が赤くなることからこの名が付けられたとされており、赤みを帯びた材が特徴です。
レッドウッドの辺材は白色に近い淡色ですが、心材は桃色から濃赤褐色をしています。時間が経過すると、かなり黒っぽくなります。
木材は真っすぐな木理をしており、表面はやや粗いです。
適度に重く、硬い性質で、心材の耐久性が非常に高いことが知られています。
レッドウッドにおいて、特に心材は腐朽や虫害に対して強く、高い耐久性を持っています。
その耐久性の高さの背景には、他の樹種と比較して、「タンニン」の含有量が非常に多いことが挙げられます。
タンニンは殺菌作用と腐食を防ぐ性質を持つ成分です。
代表的な例としては、お茶やワイン、柿などに多く含まれています。
レッドウッドは天然の耐久性の高さから、防腐・防虫処理をしない無処理の状態でも、外部での使用が可能とされています。
レッドウッド自体は、耐火性の素材ではありませんが、揮発性の高いヤニや油がほとんど含まれていないため、高い難燃性を持ち、比較的発火しにくいです。
また、一度火がついてもゆっくりと燃えて、次第に火が弱まっていくという性質があります。
そのため、レッドウッドが自生するカリフォルニアの乾燥した気候の中でも、幾度となく山火事を乗り越え、森を形成することができたとされています。
レッドウッドはその耐久性の高さから、建築資材(外壁材、構造材)のほか、橋梁や土木用材など、さまざまな用途で使用されています。
そのため、住宅から公共施設、庭園用家具など、幅広い分野での利用が可能です。
美しい木目の木材は、カリフォルニアの観光地などで、お土産の細工物として使用されることもあります。
レッドウッドは現在、具体的にどのような環境に生息し、木材として使用されているのでしょうか。
ここでは次の2つの観点から、レッドウッドを取り巻く環境と保護活動について紹介します。
カリフォルニア州を中心に自生するレッドウッドの森は、南北に約720km、幅は約36kmにわたって細長い帯状に広がっています。
レッドウッドの森の大部分は、国立公園や州立公園などとして厳格に保護されており、製材用の木材は、製材所が所有する私有地内でのみ伐採が継続されています。
その面積は、レッドウッドの森全体の約2.5%ほどです。
さらに、私有地であっても、州政府によって、伐採後はその伐採量を上回る植林を行うことが義務付けられているため、乱伐の恐れはありません。
カリフォルニア州北西部にある「レッドウッド国立公園」は、レッドウッドの壮大な森を中心とした公園で、1980年に世界自然遺産として登録されました。
レッドウッド国立公園は、世界でもトップクラスの樹高を持つ木々が見られるだけでなく、古代からレッドウッドが自生する貴重なエリアとして評価されています。
世界でも貴重な最大規模のレッドウッドの森を保護しており、絶滅危惧種に指定されるような、希少動物種も多く生息しています。
貴重な生態系が広がるレッドウッドの森の一部では、「SFI(Sustainable Forestry Initiative)」という「森林認証制度」を取得しています。
ここでは、森林認証制度とは何か、国内および世界の取り組み状況について解説します。
「森林認証制度」とは、森林の健全な管理を促進することを目的に「持続可能な森林経営」が行われていることを、主に第三者が評価し、認証する制度のことです。
この認証を取得することで、森林資源が持続可能な方法で管理・伐採され、生産・利用されていることの証明になります。
実際には、各国や各地域の事情によって、それぞれ独自の認証制度が実用化されています。
消費者は、認証制度を受けた木材を利用することで、世界の森林保全に貢献できると言えるでしょう。
下記が世界の主な森林認証制度です。
| 制度名 | 説明 |
| FSC認証(Forest Stewardship Council) | 1993年にWWF(世界自然保護基金)を中心として設立された国際的な認証制度で、森林の環境保全・社会的責任・経済的持続可能性を総合的に評価します。日本ではWWFジャパンが窓口となっています。10の原則と56の規準に基づき、独立した認証機関が認証審査を実施。世界的規模で森林認証を行っています。 |
| PEFC認証(Programme for the Endorsement of Forest Certification) | ヨーロッパ11カ国の認証組織が集まり、1999年に創設された国際的な認証制度の一つです。各国や地域で運営されている森林認証制度を相互承認する仕組みを持ちます。 |
| SFI認証(Sustainable Forestry Initiative) | 北米(特にアメリカとカナダ)を中心に展開されている森林認証制度です。1994年に米国の製紙業界団体(American Forest & Paper Association)によって設立されました。 |
参考:主な森林認証の概要|林野庁
参考:木材調達に対する考え方|森林認証制度について(日本製紙連合会)
「SGEC認証(Sustainable Green Ecosystem Council)」は、2003年に日本の林業・木材産業界のほか、学会、経済界、環境NPOなどの参加のもと、一般社団法人緑の循環認証会議によって創設された日本独自の認証制度です。
2016年6月には、前述した国際基準のPEFCから相互承認されました。
2022年12月現在における国内の認証面積は、221万haです。
参考:SGEC 認証制度の歩みと相互承認の実現|森林認証SGEC/PEFCジャパン
参考:令和4年度 森林・林業白書|林野庁
レッドウッドは、圧倒的な樹高と美しさに加え、耐久性や難燃性といった優れた特性を持つ貴重な木材です。
その利用は建築や家具に広がる一方で、森林保護の観点から厳格に管理され、持続可能な形で資源が活用されています。
森林認証制度は、この持続可能性を担保する重要な仕組みであり、消費者が認証材を選ぶことは森林保全につながると言えるでしょう。
自然と共生するために、木材利用と環境保護を両立させる取り組みが今後ますます求められています。
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