飲食店のカウンターを作る|デザインやサイズを決めるポイントと適した素材について解説

eTREE編集室

飲食店にカウンターを作る場合「どのようなデザインにしたら良いか」「サイズや素材をどのように決めるべきか」と考えることもあるでしょう。

そこで今回は、飲食店のカウンターを作る際のポイントとなる、デザインやサイズの考え方について解説します。

特に素材については、どのような業種でも扱いやすい、木材の選び方について詳しく解説しています。ぜひ参考にしてください。

飲食店におけるカウンターデザインのポイント

飲食店にカウンターを設置する際のポイントは以下の2点です。

  • 業種ごとの特徴を形にすること
  • 来店目的を明確にすること

業種ごとの特徴を形にするには、開業する飲食店のコンセプトを明確にする必要があります。同じ和食のお店であっても、調理過程を見せるのか、隠すのかによってカウンターの配置も変わるでしょう。

さらに、来店する顧客の目的を明確にすることでカウンターは、高さも幅も変わります。時間をかけて料理を楽しむ店舗と、短時間で食事を済ます店舗では顧客が求めるものも違うからです。

飲食店のカウンターサイズの考え方

飲食店のカウンターのサイズは、顧客の滞在時間や客単価をどのように設定しているかによって変わります。そこでまずは、カウンターサイズを決める「高さ」「奥行き」「横幅」について詳しく解説します。

高さ|滞在時間に影響する

滞在時間に影響する、カウンターの高さは主に3つの種類があります。

<ローカウンター>

高さ730mm程度で、一般家庭のダイニングテーブルと同等の高さです。

比較的ゆっくりと座れるため、長時間の滞在を目的とした飲食店に向いています。

<ミドルカウンター>

高さが950mm程度のカウンターです。

時間のかかるコース料理などを提供する飲食店には不向きですが、定食屋など短い時間で食事を済ますことの多いお店で見られます。

<ハイカウンター>

高さ1050mm程度で、立ち食いや立ち飲みのお店で使われることの多い高さです。

短い滞在時間で来店客が入れ替わるような飲食店に向いています。

なお、カウンターの高さが来店客に与える印象は、カウンター内にある厨房の床の高さにも関係します。イメージが湧きにくい場合は、平面図と合わせて断面図も確認すると良いでしょう。

奥行き|客単価を変える

飲食店のカウンターの奥行きは、一般的に450〜500mm程度といわれています。

とはいえ奥行きは、飲食店で提供する食器の大きさと数に関係します。そのため、事前に用意している食器やお盆があるならば、その大きさとメニューに合わせて決めることが必要です。

一方で、奥行きを広く取ることで、多くの注文や追加注文を促すことも可能となり、客単価アップにつながる可能性もあります。

横幅|居心地の良さにつながる

カウンターの横幅とは、一人が持てる幅のことをさし、一般的には600mmといわれています。

600mmを超えると隣の人との間に余裕が生まれ、提供される皿数を増やせるため、滞在時間を延ばすことに効果はありますが、席数は少なくなります。

逆に、600mmより狭くすると席数は確保できるものの、長時間の滞在には不向きです。

飲食店を経営するうえで、売り上げをどのように確保するのかは重要な課題です。長時間過ごせる環境を作り、客単価を上げるためにはカウンターを広く設計し、逆に、回転率と客数で稼ぐのであれば、横幅を狭くして客席を増やすなど、コンセプトにあったサイズを見極める必要があるでしょう。

飲食店カウンターのレイアウトについて

次に、飲食店カウンターのレイアウトについて解説します。

飲食店で取り入れられているカウンターのレイアウトは、以下の3つが大半です。

  • I字型
  • L字型
  • コの字型

それぞれの特徴について深掘りしてみましょう。

I字型|おしゃれなバーカウンターなどに最適

I字型カウンターとは、来店客が一列に並ぶように設計されたカウンターのレイアウトです。

カウンター内のスタッフと向かい合う形となるため、対面でのコミュニケーションに重点を置く、バーやカフェ・居酒屋などでよく使われます。

高さのあるハイカウンターでスタッフと視点を合わせられるよう設計されることが多い形ともいえます。

L字型|高級寿司店などでライブ感を演出

L字型カウンターとは、カウンターが厨房に対してLの字に配置されたカウンターです。

さまざまな角度から厨房の中が見えるような高さで設計することが多く、調理過程を見せながらライブ感を演出できます。

高級な寿司店や鉄板焼き店などで取り入れられることの多いレイアウトともいえます。横幅、奥行きともに広く取れるため、調理過程も含めてイベントとして楽しめる飲食店となるでしょう。

コの字型|牛丼チェーン店などで効率を重視

コの字型カウンターは、従業員が動く範囲を取り囲むようにコの字にレイアウトされたカウンターです。

回転寿司や牛丼チェーン店などでよく見られる形で、従業員が最小限の移動でサービスを提供できるのが特徴です。来店客の様子を見渡すこともできるため、効率を重視するような飲食店に向いている形といえるでしょう。

飲食店カウンターの素材について

飲食店のカウンターを作る際にサイズやレイアウトと並んで重要なのが、使用する素材です。素材によって、店舗のコンセプトを効果的に演出できるため、手触りや色調も合わせて検討する必要があります。

ここでは、飲食店のカウンターに使われることの多い3つの素材について解説します。

木製|合板から無垢材まで

木製のカウンターは一般的に見ることが多い素材です。木目や色合いによって落ち着いた印象から、モダンな印象までコンセプトに合わせて利用できます。

木製カウンターには、大きく分けて、以下の4つの種類があります。

  • 合板:薄く切った板を互い違いに重ねて接着してあり、伸縮に強く耐久性に優れている
  • 集成材:小さく切断した木材を同一繊維方向に接着剤で貼り合わせていて、反りが出にくいのが特徴
  • 突き板:ベニヤ板や集成材の板の表面に、美しい木目を持つ木材の薄い板を張り付けたもの。傷に弱いものの無垢材より安価に、木の風合いを出せる
  • 無垢材:丸太から切り出したままの木材で、木の風合いをしっかり出すことが可能

左官|モルタルやセメントなど

左官のカウンターは、セメント製カウンターともいわれ、モルタルやセメントなどの素材で作られています。手で仕上げる左官の質感が特徴的で、モダンな印象を出したい場合に使われることの多い素材だといえます。防水性能は高いですが、下地の作り込みが甘いと、ひび割れ(クラック)が起こることには注意が必要です。

参考:MORTEX(モールテックス)|株式会社オフィスTAKAHATA

新素材|メラミン化粧板

メラミン化粧板は比較的新しい素材です。

合板の表面をメラミン樹脂で加工して仕上げたカウンターで、木目を始め石目柄、金属風の柄などさまざまなバリエーションがあることが特徴です。

木目柄を使用すると、木製カウンターのような温かな印象を作れるうえ、無垢材よりも費用を抑えられるメリットもあります。汚れがつきにくく、熱や擦れなどにも強いため、メンテナンスが容易である点もメリットです。

参考:イビボード|イビケン

飲食店で使われる木製カウンターの魅力

カウンターで使われる素材はさまざまな種類がありますが、その中でも木製カウンターは人気が高く、さまざまな飲食店で導入されています。

木製カウンターの最大の魅力は、その手触りにあります。木材は熱伝導率が低いため、冷たさが伝わりにくく、寒い季節に触れてもヒヤっとする感触が少ないといわれています。

また、木材は年月が経つにつれ味わいが増すという魅力もあります。特に無垢材を利用する場合、樹種によっては自然な艶が増していくのも魅力的です。

さらに、独特の香りも魅力の一つです。木材の持つ香り成分は、リラックス効果があるだけでなく、消臭や抗菌の効果もあるといわれ、飲食店のカウンター材に適した素材といえるでしょう。

参考:内装木質化した建物事例とその効果|公益財団法人 日本住宅・木材技術センター

飲食店のカウンターに適した樹種とは?

カウンターに木材を使用する場合、樹種の色合いで選ぶというのも一つの方法です。木材は樹種によって色合いが異なるため、色による視覚的なイメージを、店舗のコンセプトや業種とあわせることで相乗効果が期待できます。

ここでは色合いごとにカウンターに適した樹種を紹介します。

参考:料理がよりおいしく見える無垢材テーブル・無垢材カウンター|株式会社マルホン

【白系の明るい色】ハードメイプルやヒノキなど

白は清潔感の象徴というイメージがあるだけでなく、光を良く反射するため、上に置いた料理を際立たせるという特徴もあります。白系の色合いを持つ樹種には以下のようなものがあります。

<ハードメイプル>

世界的な銘木として知られるハードメイプルは、硬く木肌が緻密な樹種です。シルクのような手触りも魅力の一つで、仕上げると美しい白さと光沢が出ます。

<ヒノキ>

寿司店や和食のお店などで欠かせないヒノキは、木目が細かく均一で美しいことと合わせて耐水性が高いことが特徴です。

日本を代表する樹種の一つで、独特の香りも合わせて、日本人になじみが深い木といえるでしょう。

【茶・こげ茶などの色】ホワイトオークやチークなど

茶色は、食欲を増進させるといわれる暖色系の色合いであることにくわえ、木や大地を思わせる色のため、ぬくもりや居心地の良さにつながるといわれています。

茶色や焦げ茶の色合いを持つ樹種には以下のようなものがあります。

<ホワイトオーク>

心材が灰褐色や褐色など、茶色の色合いを持つ樹種です。柾目面に虎斑と呼ばれる美しい杢目が出ることが多く、加工性も良いことから人気となっています。

<チーク>

世界三大銘木の一つでもあるチークは、船舶の甲板などにも使われる耐朽性性の高い樹種です。摩擦にも強く、金褐色の色合いと合わせて人気が高い材となっています。

【赤・ピンク系の色】サペリ・カリンなど

赤やピンクの暖色は食欲を増進させるといわれているため、飲食店でも使用することの多い色合いです。また、暖色系の色合いには時間を早く感じさせる効果もあるため、多用することで来店客の回転数をあげる効果も期待できます。

<サペリ>

アフリカを原産地とするサペリは、縦に伸びるストライプ模様が入っていることが特徴です。この模様は「リボン杢」とも呼ばれ、カウンターなどで使用すると空間に奥行きを感じさせる効果があります。

<カリン>

カリンは表面の木肌が美しく、光沢があることが特徴です。体積当たりの密度が高いため、丈夫で硬く、非常に重厚感のある材となっています。

【黒系のダークな色】ウォールナットなど

黒などのダークな色は他の色を引き立てる効果とともに、高級感や落ち着いた印象を与える色です。

そのため、高級な料理を提供する飲食店などで好まれる色合いともいえます。

ダークな色合いを持つ樹種には以下のものがあります。

<ウォールナット>

ウォールナットはくるみ科の樹種で、家具などの他、楽器の材料としても使用されます。

衝撃に強い特性と共に、狂いが少なく加工性に優れているという特徴をもち、美しい木肌と合わせて人気の高い材といえます。

経年変化で艶や味わいが増していくのも、魅力の一つです。

参考:木材の種類と特性<ウォールナット>|一般財団法人 日本木材総合情報センター

まとめ

本記事では、飲食店でカウンターをつくる際のポイントについて解説しました。

カウンターを決める要素は、主にサイズ・レイアウト・素材の3つです。

サイズは来店客の滞在時間や客単価、回転率に影響を与えるため、売り上げに直接関わる要素といえます。レイアウトは来店客と従業員の距離感に関係し、素材は店のコンセプトを演出する要素です。

飲食店のカウンターは、店のコンセプトや客層に合わせて3つの要素をうまく組み合わせて設計することが、最も重要なことになるでしょう。

森未来は木材情報を集約したプラットフォーム「eTREE」を展開しています。プロの木材コーディネーターが、あらゆる木材の調達や加工をサポートします。木材の調達・加工にお困りであればぜひご相談ください。

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