木材の等級は節で決まる|建築で使用される木材等級を紹介

eTREE編集室

「木材の等級にはどんな意味があるの?」「どの等級を選べばいいのかわからない」

このように、木材の選択に関わる、木材等級について知りたいと思われている方は多いのではないでしょうか。

本記事では

  • 木材の等級が持つ意味
  • 木材等級の一覧
  • 建築で使用される木材等級

について解説します。木材がどのような目的で等級をつけられているのかを知ることは、木材選びの手助けとなるでしょう。

木材の等級とは

木材の等級には、以下の2つのような等級が設けられています。

  • 見た目の品質に関わる等級
  • 強度品質に関わる等級

見た目の品質に関わる等級とは、木材の見た目の良さや美しさを評価する等級です。一方、強度品質に関わる等級とは、JASが定める目視等級や機械等級で強度を評価する等級を指します。木材等級は、木材の品質を表すために作られた指標です。木材は自然が作り出す資源で品質にばらつきがあるため、それを可視化するという意味でも重要になってきます。

見た目の等級の決め方は「節」の有無や大きさ

木材の見た目に関する等級は、主に「節」の数や大きさによって決められます。節とは木の枝の跡を指し、節の数と大きさにより木材の等級が決定します。同じ樹種や同じ木から加工された木材であってもサイズや等級によって価格が異なります。使用する場所や用途によって木材の等級を選択すると良いでしょう。

木材の見た目の等級の一覧

木材の見た目に関する等級は、以下の7つです。

  • 無節(むぶし)
  • 特選上小節
  • 上小節(じょうこぶし)
  • 小節(こぶし)
  • 特一等
  • 一等
  • 二等

木材等級の内容や使用用途について詳しく紹介します。

無節(むぶし)

無節とは、節が一つもなく、木目が綺麗に出ている木材を指します。木目の美しさや表面の滑らかさから、人の目に触れやすい応接間や玄関に使用されます。

無節の木材は自然にできたものではなく、節の原因である枝を切り落とし枝が伸びないように人が丁寧に手入れを施し育てられたものです。人の手がかかる木材であることから、高級材として扱われています。

参考:平成19年8月29日農林水産省告示第1083号「製材の日本農林規格」

特選上小節

特選上小節とは、よく見ないと分からない程小さな数mmの節が2mに1個程度以内ある、良材のことを指します。無節同様に上質であり、よく見ないと節も確認できず、また非常に人の手がかかっている点から、高級木材として扱われています。見た目の美しさと滑らかさから、フローリングに使用されることが多い等級です。

上小節(じょうこぶし)

上小節は、特選上小節の次に上等品として扱われる等級です。節のサイズは10mm以下程度で、数は一つ程度以内とされています。節も、木の幹と連携した生き節のみであることから、見た目の美しさを損ないません。無節や特選を選ぶほどではないが、上質な木材を求めている方にちょうどいい木材であるといえます。上小節もフローリングによく活用される等級です。

小節(こぶし)

小節とは、直径20mm程度までのサイズの生き節や、詰め節が1mに一個程度点在している木材を指します。詰め節とは、枝が枯れて残った跡である死節や抜節の部分に、「埋め木」と呼ばれる木のパーツを埋めて補修したものです。小節は価格が安く節は多いもののそのサイズは小さいため、木の温かみや自然な風合いを楽しめると人気があります。

特一等

特一等とは、小節より大きな生き節や、詰め節が多数存在する木材を指します。特一等は、角材として加工した際に、四面が均一で丸みのないものを指し、耐久性についての問題もありません。そのため、壁で隠れる部分や目に見えない構造材、下地材に使われることが多いです。近年では、自然な風合いが好まれることから、子供部屋のフローリングや居間の柱などでも取り扱われるようになりました。

一等

特一等同様に、小節より大きな生き節や、詰め節が多数存在する木材を指します。特一等との違いは、角材として加工した際に、少し丸みがあるものが一等とされています。一等も耐久性についても問題はなく、構造上に支障が出るわけではありませんが、使用されることはほとんど無くなっています。

二等

二等は、節は特一等や一等同様、多数点在しサイズも様々です。こちらも角材として加工した際に、丸みがあり「のた」といわれる木の皮の部分が残った木材を指します。見た目に悪いとされていることからあまり取り扱われることはありません。しかし、耐久性に問題はなく、昔の大工や職人の方は工夫することで二等も上手に扱えていました。

乾燥方法による区分

木材の見た目による品質基準を解説しましたが、乾燥方法によっても区分が分かれています。

  • KD材
  • AD材
  • グリーン材

木材を乾燥させる理由は、木を腐らせる菌の発生を抑え、木の強度を高めるためです。JAS規格では、構造用製材及び造作用製材の含水率を20%未満に抑えるという規定があります。その水分量まで落とすためには、様々な手法で木を乾燥させる必要があります。

参考:JLIRA 全国木材協会・研究協会「製材のJAS制度」

KD(キルンドライ)材

KD材は、人工的に木材を乾燥させる方法で、温度・湿度・風量を調整できる大きな釜に木材を入れ、短期間で乾燥させた木材です。

KD材は伐採後の二週間から一ヶ月ほどで、含水率を20%まで下げることができるため、すぐに建材として供給できます。脂は耐久性だけではなく木の香りやツヤも出すことから、脂がなくなると木本来の風合いを失うというデメリットもあります。将来的な建て直しを検討している方や補強やメンテナンスも厭わないという方に適しています。

AD材は、建材として使用できる含水率まで自然乾燥させた木材です。伐採した木材を自然に乾燥させるには、半年から一年かかるといわれています。KD材とは異なり、自然に乾燥させたAD材は、脂を失うことなく木本来の香りやツヤを感じられます。

グリーン材

グリーン材とは未乾燥の木材を指します。グリーン材は含水率が高いため、寸法安定性が低く割れや反りの可能性が高いといった問題があります。建築材としては不向きですが、時間をかけて乾燥していくため、性能を問わないDIYや一時的な使用であれば問題なく使用できます。

間違えやすい特一等と一等の違い

特一等と一等は、実は建材屋や建築業者によって呼び名が混在していることから、同一のものあるいは、意味が逆転している場合があります。

特一等と一等は、「節」の数や大きさでの基準は等しく変わりありません。しかし、角材として使用される際、加工状況に違いがあります。

特一等は、角材四面が均一で丸みのないものを指します。一方、一等は角材にやや丸みを帯びたものを指します。節に変わりはないが、角材としての丸みの有無に違いがあると考えると良いかもしれません。

建築に使用される木材の等級はヤング率によって区別される

建築に使用される木材の等級は、これまで触れた見た目で区分するのではなく、強度性能によって区分されます。強度性能の等級区分には、目視等級と機械等級があります。目視による等級区分は、節や丸みなどの欠点を参考に、目視により強度を測ります。機械による等級区分は、機械で木を曲げてどれだけ耐えうるかによる「曲げヤング係数」という指標に基づいて、強度の等級区分が決定されます。曲げヤング係数にはE50・E70・E90・E110・E130・E150という6つの等級があり、数値が大きいほど強度が強くなります。建築に使用できる木材は、この6つの等級いずれかに当てはまるものとなっています。

参考:JLIRA 全国木材協会・研究協会

まとめ

木材等級は、節の大きさや数で決まるものから、乾燥・強度による等級があることがわかりました。家づくりに伴う木材選びは、どれくらいの期間、どんな風に家と寄り添うかを考えながら、木材の等級が持つ特徴や性質を理解し検討する必要があります。理想の家づくりの実現のためには、木材等級を理解することが重要です。

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