銘木とはどんな木のこと?世界や日本の代表的な種類を紹介!

eTREE編集室

銘木とは、価値のある木ということに間違いはありませんが、具体的にどのような木を指すのかは、わからない方もいるのではないでしょうか。
とはいえ、世間一般に銘木だと認識されている樹種や、銘木を生み出すとされている産地は存在します。

この記事では、世界と日本で銘木とされている代表的な木を紹介します。
何を指すのか漠然としている「銘木」を、具体的にイメージする助けになるのでぜひ参考にしてください。

銘木(めいぼく)とは「希少性の高い特徴をもつ木材」

「銘木」に明確な定義はありませんが、多くは次のように認識されていることが多いでしょう。

  • 希少価値や高い品質が広く認められた樹種(世界三大銘木など)
  • 優れた材質や見た目が評価される特定産地の木材(日本三大美林など)
  • 希少性の高い個々の木材(高樹齢・大径木・希少な杢目など)

次の章からは内装に使うことで部屋の高級感を一段と引き上げる「銘木」の数々を具体的な木材名とともにご紹介します。

世界三大銘木

世界三大銘木は、次の3つの樹種のことを指します。

  • マホガニー
  • ウォールナット
  • チーク

それぞれの樹種の特徴や歴史を、紹介していきます。

マホガニ―

黄金のように輝く光沢と、時間と共に深まる色合いが上質さを感じさせるマホガニーは、世界を代表する銘木です。
マホガニーとは、原産地の中米ホンジュラス現地語で、黄金色を意味します。

耐久性・加工性に優れ、高級家具や楽器の材料として用いられてきました。

原産地である中南米のマホガニーは、ワシントン条約で取引が制限されており、現在流通しているのは、東南アジアやアフリカで植林されたものです。

ウォールナット

ウォールナットの中でも銘木として有名なのは、優れた材質と木肌の美しさを備えた北米産のブラックウォールナットです。

古くから高級家具の材料として珍重され、特に17世紀から18世紀のヨーロッパでは絶大な人気を誇りました。

ブラックウォールナットは、空間に高級感を漂わせる、深い色合いと杢目が織りなす美しいグラデーションが魅力です。
また、タンニンを含むため、使い込むとさらに光沢を増し、味わい深く変化していきます。

チーク

東南アジアやインドの熱帯モンスーン気候下で生育するチークは、深みのあるしっとりとした光沢が特徴です。
チークならではの、重量感と優美さを両立させた高貴な雰囲気を好むファンは多くいます。

原産国であるインドやタイでは、古くから寺院や家具、桟橋などの材料としてチークが使われてきました。
その後、耐水性・耐久性の高さが注目され、ヨーロッパで造船の材料に使われるようになってから、銘木として世界に知られるようになりました。

日本三大美林

日本の針葉樹に関しては、特定産地の木材をその品質の高さや美しさから銘木とすることがあります。
その中で、「日本三大美林」といわれる天然林が次の3つです。

  • 木曽ヒノキ
  • 青森ヒバ
  • 秋田杉

それぞれどのような特徴をもつのか、解説していきます。

木曽ヒノキ

木曽ヒノキとは、長野県木曽地域から岐阜県東濃地方に分布する天然のヒノキです。

日本を代表する常緑針葉樹の一つであるヒノキは、美しい木肌、優れた耐久性、高い強度、抗菌作用などを備えた木材です。その優れた材質は、法隆寺や五重塔など重要な建造物に用いられていることからも伺えます。

建築・家具・建具・彫刻などの材料に用いられたり、樹皮が「檜皮葺(ひわだぶき)」の材料となったり、古くから日本人の生活を支えてきました。

木曽ヒノキは特に、緻密な木目の美しさが高く評価されています。

参考:木曽五木​​|中部森林管理局

青森ヒバ

青森県のヒバ美林を構成する青森ヒバは、日本特有の針葉樹高木です。
北国の厳しい風雪に耐え、長い年月をかけてゆっくりと成長するため、細やかで美しい木目と緻密で狂いが少ない材質です。

青森ヒバはシロアリや害虫に強く、「総ひば造りの家には、蚊が3年間は入らない」と昔からいわれています。
また、耐朽力が非常に高く腐りにくいという特徴があり、平安時代に建てられたひば造りの中尊寺金色堂は今なおその姿を残しています。

虫害や腐朽に強い秘密は、木材内部に多く含まれるヒノキチオールなどの揮発性薬効成分です。

参考:青森ひばの不思議​​|東北森林管理局

秋田杉

天然の秋田杉は、秋田県北部の米代川流域などに分布します。
その特徴は、幅のそろった年輪が形成する美しく細やかな木目、優れた強度、狂いの少なさなどです。

優れた材質や見た目の美しさから、古くから建築材料や曲げわっぱなどの伝統工芸品の材料として利用されてきました。

しかし、近年は天然秋田杉の減少が著しく、資源保護のため、平成25年以降の伐採が禁止されました。代わって、高齢級人工林のスギが供給されています。

日本固有の樹木であるスギは、私たちの生活に欠かせない木材です。
天然秋田杉のほかに、人工林である静岡の天竜杉と奈良の吉野杉も、銘木として高く評価されています。これら2つのスギは、三重の尾鷲(おわせ)ヒノキとともに、「日本三大人工美林」とされています。

参考: 天然秋田杉の紹介​​|東北森林管理局​​

日本三大美林以外の銘木【広葉樹】

針葉樹と異なり、日本の広葉樹には「◯大銘木」など広く認知された定義はありませんが、国産広葉樹で銘木とされることが多い樹種として、次の2つがあります。

  • ケヤキ
  • トチ

両者のどのような点が銘木とされる所以なのか、紹介していきます。

ケヤキ

ケヤキは、日本を代表する広葉樹の一つです。
材質は硬く丈夫で水にも強いため、古くから神社仏閣やお神輿の材料として使われてきました。
ほかにも、水屋箪笥や火鉢などの和家具​​や、お椀・お箸にも利用されており、日本人の生活に馴染み深い木材であったことが伺えます。

特徴であるはっきりとした力強い木目は美しく、観賞用としての価値も高い木材です。高樹齢のケヤキには、玉杢と呼ばれる美しい模様が見られることがあり、最高級品として扱われます。

トチ

明るい色味が人気のトチは、ケヤキと並ぶ日本の代表的な銘木です。
大きいものは高さ30メートル巾2メートルにも成長するため、昔から1枚板テーブルなどに使われてきました。

白く美しい光沢と絹のような手触りをもち、外国産の木材にはない、日本特有の雰囲気を醸し出します。

トチに現れやすい縮杢(ちぢみもく)は、細かい波状になった木目が光をギラギラと乱反射する模様で、その美しさから人気が高く珍重されています。

唐木三大銘木

唐木(カラキ)とは、奈良時代に遣唐使によって、中国(当時の唐)経由でもたらされたインドや東南アジア原産の木材です。

一般的に、次の3つが唐木三大銘木とされています。

  • 黒檀(コクタン)
  • 紫檀(シタン)
  • 鉄刀木(タガヤサン)

重硬で緻密な材質が特徴で、古くから建築や家具・楽器・仏壇・位牌などに用いられてきました。

黒檀(コクタン)

インドネシアを主産地とし、漆黒色の木肌をもつ黒檀は、化粧板・楽器・仏壇などに使われます。

磨くと光沢が出る木肌は、重厚な雰囲気を醸し出します。唐木三大銘木の中で、最も堅くて重い木です。

紫檀(シタン)

紫檀は、タイを始めとする東南アジアに生育する高木です。

美しい縞の木目をもつ赤褐色系から黒色系の木肌は、磨くほどに光沢が出て重厚感をもちます。
高級建築や家具、工芸の材料として用いられます。

鉄刀木(タガヤサン)

鉄刀木は、主に東南アジアで産出される木材で、鉄の刀のように重く堅いことが名前の由来です。

赤褐色と黒色のコントラストが織りなす木目が、非常に美しいことで知られています。
腐蝕に強く耐久性も高いので、家具や内装材などの材料になります。

銘木販売を行う場所

銘木とされる木材を購入できる場所として、次の2つが挙げられます。

  • 銘木市場
  • 銘木店

目的によって利用方法が異なるため、それぞれの特徴を知っておきましょう。

銘木市場

銘木市場とは、銘木をセリ売りする場所です。

銘木の自由な売買や取引を実現するための活動を行っている全国銘木連合会によると、傘下の団体が運営する銘木市場は全国に9つ存在します。

  • 協同組合秋田県銘木センター
  • つくば銘木協会
  • 東京銘木協同組合
  • 岐阜県銘木協同組合
  • 京都北山丸太生産協同組合
  • 奈良県銘木協同組合
  • 大阪銘木協同組合
  • 熊本木材株式会社
  • 肥後木材株式会社人吉支店

注意したいのは、市場のセリに参加できるのは登録事業者に限られることがほとんどで、個人は購入できないという点です。
個人で銘木を購入したい場合は、次に紹介する銘木店を当たってみましょう。

銘木店

個人向けに銘木を扱う銘木店は、各地に存在します。
テーブル用の一枚板から、木工用に手頃なサイズの端材など、品揃えのバリエーションも豊富です。

問い合わせから打ち合わせを経て実店舗で販売する店や、オンライン販売を行っている店など形態もさまざまです。ネット販売は、住んでいる場所に関係なく銘木を購入できる、心強い味方ですね。

こだわりや用途に合わせて、最適な店を選びましょう。

まとめ

銘木とされる木は、特定の樹種であったり、特定の産地の樹木であったり、定義によってさまざまですが、希少性が高く珍重されている点は共通しています。

世界的に知られた銘木から、日本固有の銘木、稀にしか見られない杢目をもつ銘木など、個性豊かな木材が存在しています。

木材を選ぶ時、建物や家具を目にする時、銘木に出会う機会が訪れるでしょう。そんな場面で銘木の知識があれば、見える世界も広がるのではないでしょうか。

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