【内装の仕上げ材】パネリング材について解説|無垢材を使うメリットとデメリットもご紹介

eTREE編集室

木の質感や木目が美しい内装に「パネリング材」が使われているのはご存じでしょうか。
パネリング材は内装に使われることの多い部材ですが、種類や樹種、加工形状などの組み合わせで、選択肢は多岐にわたります。

今回は、パネリング材について詳しく解説するとともに、メリットやデメリットも合わせてご紹介します。
さらに、使われることの多い代表的な樹種もご紹介しますので、パネリング材選びの参考にしてください。

パネリング材とは「天井や壁に使われる板材」

パネリング材とは、天井や壁に使われる板状の木材のことを指します。
日本の建築では羽目板と呼ばれ、古くから内装の仕上げに使われてきました。
使う場所の形状に合わせて使用するため、素材には柔らかく加工しやすい木材が多く使われます。

パネリング材を壁や天井に使用する際は、連結部に加工を施した部材を、連続して貼り合わせます。
連結部に施される加工形状は、次の2種類が代表的です。

  • 本実(ほんざね)加工:連結部のすき間が目立たない
  • 相(あい)ジャクリ加工:打った釘やビスが外しやすくメンテナンスが容易

内装で使用する場合には、釘やビスなどが見えなくなる本実加工が多く使われます。
加工形状の違いによって、仕上がりの印象が大きく変わるのが特徴と言えるでしょう。

パネリング材の種類

ここではパネリング材の素材について、代表的な種類を解説します。
パネリング材で使われる素材には下記のようなものがあります。

  • 無垢板|天然木をそのまま加工したもの
  • 挽板|天然木を板状に切り出したもの
  • 突き板|天然木をシート状にスライスしたもの
  • シート材|木目を印刷したもの

無垢板|天然木をそのまま加工したもの

無垢材で作るパネリング材は、天然木をそのまま切り出して加工したパネルです。
樹木が持つ本来の質感や香り、木目を楽しめます。

木材には空間の湿度をほぼ一定に保つ「調湿効果」があります。
無垢板のパネリング材を内装材として使用することで、部屋の中の湿度変化を抑え、年間を通して快適な空間を作る効果が期待できます。
一方で、木目に沿って割れやすい点や温度や湿度によって伸縮や反りが出やすい点には注意が必要です。

無垢材を使用したパネリング材は、コストが高くなることや一度に数を揃えるのが難しいことから、施工の際には予算と工期に余裕を持つ必要があります。

参考:木材は人にやさしい|林野庁

挽板|天然木を板状に切り出したもの

挽き板で作るパネリング材は、2~3mmの板状に切り出した天然木と、化粧板の二層構造になっています。
無垢材と変わらない質感を得られるのが特徴です。
また、意匠上、使いにくいグレードの木材を基材として使えるため、木材を有効活用できる点もメリットと言えます。

一方で、無垢材と同様に温度や湿度による伸縮や反りが発生する可能性もあるため、注意が必要です。

突き板|天然木をシート状にスライスしたもの

突き板のパネリング材は、無垢板や合板などと貼り合わせて作るパネル材です。
天然木を0.2〜0.3mm程度のシート状にスライスした突き板を使用して、合板や化粧板と貼り合わせて作ります。
軽量で品質が安定しやすいことに加え、コストを低く抑えられることが特徴です。
また、基材に合板を使用すれば、伸縮や割れなどのリスクを軽減できる点もメリットとなるでしょう。

表面材としては薄いため、触り心地が硬くなるのが、無垢材や挽き板との大きな違いです。
また、深い傷がつくと完全に補修するのは難しいため、傷が気になる方にとっては、デメリットとなるでしょう。

シート材|木目を印刷したもの

シート材のパネリング材は、木目を印刷したシートを表面に貼り付けて作るパネル材です。
見た目では木目のように見えますが、木材は使われていない場合がほとんどです。
触り心地も木ではなく、ビニールのような質感となっています。

素材によっては耐水性や耐熱性が高いため、湿気や温度差があるため木材を使いにくい場合もあるでしょう。
しかし、キッチンや風呂場など木材を使いにくい場所でも使えることがメリットといえます。

パネリング材の特徴

パネリング材は、床ではなく天井や壁に使うため、荷重に対する耐久性を求められることが少ない部材です。
しかし、その代わり「長さ」と「薄さ」と「軽さ」を兼ね備えていることが必要となります。

ここでは、パネリング材の特徴について「長さ」「薄さ」「軽さ」の3点を解説します。

長さ|天井高にあわせた長さ

日本の住宅の天井高は、一般的に2.4m〜2.7m程度です。
壁の仕上げ材として縦方向に使う場合、継ぎ手なしに1本で使える長さが必要です。
そのため、無垢材を使用する際には樹高が高くまっすぐ生育する針葉樹が多く使われます。

また、壁材として横方向に使用する場合は、短尺のものを組み合わせて使います。
色味が違うものをあえて組み合わせて使い、個性的な壁に仕上げる手法もあります。

薄さ|高い耐久性を必要としない厚み

パネリング材として販売されているものの多くは、厚みが10mm前後になっています。
フローリング材とは違い、上からの荷重がないため、厚みをあまり必要とはしません。

壁に横方向で使う場合などは、厚みの違うパネル材を組み合わせて使うと、デザイン的に独特な表情が出るでしょう。

軽さ|壁や天井に不可がかからない軽さ

壁や天井に使うため、どの素材であっても、なるべく軽いものが適していると言えます。
無垢材を使う場合には、軽さを実現するため、比重の軽い針葉樹が多く使われます。

パネリング材のメリット・デメリット

木材を原料としたパネリング材には、メリットだけでなくデメリットもあります。
ここでは、パネリング材のメリットとデメリットを解説します。

<メリット>
パネリング材のメリットは、木材の自然な雰囲気を室内空間に取り入れられることです。
木目を利用してデザイン面にこだわるだけでなく、違う木目や色味のパネリング材を組み合わせることで、インテリアにアクセントを加えることもできます。
無垢材のパネリング材を選べば、調湿効果だけでなく、リラックス効果が期待できる点もメリットと言えるでしょう。

<デメリット>
一方、デメリットとして、施工時の状態を維持するためにメンテナンスが必要なことがあげられます。
木材は温度や湿度の変化によって、膨張・収縮するためです。
膨張・収縮を繰り返すことによって、ひび割れやすき間が空くなどの変形・劣化が発生することがあります。

また、国産の天然物の木材などを使用した場合は、メンテナンスコストが高額になる点もデメリットと言えるでしょう。
施工時に、素材選びや施工方法について、長期的なメンテナンスも視野に入れて相談しておくことが必要です。

パネリング材に使われる樹種

パネリング材には、長さや軽さの点から、素材として適した樹種があります。
ここからは、パネリング材として利用されることの多い、代表的な樹種をご紹介します。

  • レッドシダー|色の濃淡がインパクト大
  • ヘムロック|和洋問わず利用可能
  • スギ|パネリング材として最適
  • ヒノキ|針葉樹の最高品種
  • ナラ|優しい色合いと強靱な特性

レッドシダー|色の濃淡がインパクト大

「ベイスギ」とも呼ばれるレッドシダーは、ヒノキ科の樹種です。
スギやヒノキを代表する針葉樹は、長さが確保できる点と比重が軽い点から、パネリング材として多く使われます。

レッドシダーは、水に強く、デッキ材などにも使われるほど耐久性が高い木材です。
加工時に使用する木の場所によって、色合いに濃淡が出るのも特徴と言えるでしょう。
パネリング材として、違う色合いの物を組み合わせて使うと、デザイン的にインパクトを出せます。
特に、壁材として使うと、パッチワークのような豊かな表情と印象的なデザインを実現できます。

ヘムロック|和洋問わず利用可能

「米栂(ベイツガ)」とも呼ばれるヘムロックは主に、北米大陸から輸入される木材です。
アメリカから北カリフォルニアにかけての、雨が多い地域で生育します。

貯蓄量が多く供給が安定しているため、コスト的にも手を出しやすいのが特徴です。

また、芯材と辺材の色差が少ないため、統一感のある内装に仕上げられます。
和洋を問わずさまざまな空間で利用できる樹種と言えるでしょう。

スギ|パネリング材として最適

スギは日本の樹木の中で最もメジャーな樹種なため、ご存じの方も多いでしょう。
スギのパネリング材には、材質が安定するようになる樹齢50〜80年程度の中径木が使用されます。

スギは、加工がしやすい上に腐りにくいのが特徴です。
また、木材として柔らかいため、室内に使うと温かみのある優しい表情になるのも特徴の一つです。

ヒノキ|針葉樹の最高品種

ヒノキは国産の針葉樹の中でも最高級とも言われる樹種です。
独特の香りが特徴で、パネリング材として内装に使うと癒やしやリラックスの効果も期待できます。
現存する歴史的建造物に使われていることも多いことからも分かるように、耐久性にも優れている点はヒノキの大きな特徴です。
さらに、美しい光沢があり、経年変化で落ち着いた飴色に変化することからも人気が高い樹種です。

ナラ|優しい色合いと強靱な特性

ナラはオークとも言われ、ウイスキーの樽などにも使われるほど水に強いのが特徴です。
その中でも、ヨーロピアンオークは、古くから船にも使われるほどの強靱さを兼ね備えています。
力強い木目の中に、虎の毛の模様に似た「虎斑(とらふ)」と呼ばれる杢目がランダムに現れることが特徴です。

一方、国産のナラ材は淡い色合いと木目で、パネリング材として内装に使用すると、優しい表情が出ます。

まとめ

パネリング材は、天井や壁などの内装に使われる、木質のパネル材のことを指します。
羽目板とも呼ばれ、日本の住宅にも古くから使われてきました。

素材としては、天然木をそのまま加工した無垢材を始め、挽板や突板を表面の意匠材として貼り合わせたものがあります。
天然木を使用したパネリング材は、木の質感と同時に調湿効果やリラックス効果が期待できる点がメリットです。

その他にも、木材を使わずに木目の雰囲気を楽しむシート材を使ったパネリング材は、湿気や温度差によって木材が使いにくい、キッチンや風呂場などでも活用されています。

状況や使用する場所に応じて、パネリング材の樹種や素材、施工方法を選ぶことで、理想の室内空間を実現できるでしょう。

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