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記事公開:2023.1.4

木材はどのようにリサイクルされる?流れや活用法を紹介

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「木材はどのような流れでリサイクルされるの?」

「木材はきちんとリサイクルされているの?」

上記のような疑問をお持ちではないでしょうか?

本記事では、

  • リサイクルされる木材の種類
  • 木材がリサイクルされる流れ
  • リサイクルされた後の木材の活用法

を紹介します。

木材がどのようにリサイクルされるかを詳しく知ることで、環境保全に対して深く考えられるようになるでしょう。

木材はリサイクル可能率が高い

木は三度生きる」と言われるほど形を変えて何度も使える素材として知られています。

一度目は植林後に枝葉を伸ばす成長期間、二度目は木材として木造建築の建材に加工された時、三度目は木材建築を解体した後、リサイクルされ燃料や紙の原料になった時です。

このように木材はリサイクルに適した資源なのです。

木造住宅を解体時の廃材発生量とリサイクル可能率は以下の通りです。

  • 木材:91%
  • 鉄筋:52%
  • アルミサッシ:50%
  • コンクリート:41%
  • ガラス:20%

木材は、他の素材と比較しても格段に環境に良い素材です。

参考:木材はとことん使えるエコ素材|森林・林業学習館

【ゴミではない】リサイクルできる廃棄木材の種類

廃棄木材の中でもリサイクルできるものは大きく分けて以下の3種類です。

  • 製材工場等残:製材向上から発生する樹皮やのこくずなど
  • 建設発生木材:木材建築を建設、解体する際に発生する木材
  • 間伐材・林地残材:間伐によって伐採された木材の中で、製材できない細い木や枝、林に残されている未利用の切り株など

年間で発生する廃棄木材は大量です。

製材工場等残材の年間発生量は3種類の中で最も多い、約610万トンです。

それぞれ燃料や紙の原料、家畜用の敷料など多様な用途にリサイクルされます。

参考:廃棄はコストの無駄使い 木材はリサイクルの時代へ|バイオマスエナジー社

リサイクル原料の種類

端材や廃材がリサイクル原料に加工される場合、主に以下の2種類になります。

  • チップ
  • ファイバー

それぞれの特徴や用途をわかりやすく紹介します。

チップ

木造建築や製材工場から発生した端材や廃材は、厚さやサイズなどがバラバラです。形をそろえなければ、後の加工で手間がかかるため、均一のサイズに加工します。

均一のサイズにそろえたものがチップです。

チップは加工方法によって以下の2種類に分けられます。

  • 切削チップ:刃物で切削したチップ。フレーク状。
  • 破砕チップ:ハンマーの打撃で細かくしたチップ。繊維に沿うように加工しているため、細長い形状。

主に紙や建材の原料、家畜の敷料に使用されます。

ファイバー

ファイバーとは、チップよりも細かい繊維レベルまで分解したものです。特に、製材作業で発生する木くずはもともと細かく分解されているため、ファイバーに適した素材とされます。

ファイバーは強い圧縮をかけて、形成することで「ファイバーボード」と呼ばれる板状製品へと形を変えます。断熱性や防音性があるため、住宅の建材として使用されたり、軽量で耐久性の高い特徴を活かし、自動車部品にも使用されています。

よく見かけるMDFなどはファイバーボードの一種になります。

参考:MDF材とは?その特徴やメリット、区分などを紹介

回収された木材をリサイクル原料に加工する流れ

次にリサイクル工場で端材や廃材がチップ化されるまでの工程を紹介します。

回収された木材がリサイクルされるまでの流れは以下のとおりです。

  • 異物の除去
  • 薄く切り取る
  • 含水率を調整する
  • 形成する

1つの工程でどんな作業が行われるのかを解説します。

異物の除去

リサイクル工場に運び込まれた端材や廃材には、多くの異物が混入している可能性があります。代表的な遺物は、虫や土、そしてくぎネジなどの金属類です。

木造建築を解体した後の廃材は、塗装がそのままである場合もあるため、まずは搬入された木材の不純物を全てキレイに取り除きます。

薄く切り取る

異物除去後、大きな木材の場合は、表面を薄く切り取ります。後の工程である「形成」や「含水率の調整」をスムーズに行うための下準備です。

同じ薄さにすることはもちろん、サイズがそろうように均一な大きさに切り取ります。

含水率を調整する

含水率とは、物質に含まれている水分の割合のことです。

木材チップの用途は多種多様で、リサイクル先の製品によって最適とされる含水率も異なります。用途に合わせて乾燥工程の強弱をコントロールします。

形成する

狙った含水率に調整した後は、チップ同士をのり付けし形成します。高い強度を保つために、表面と芯、裏面の3層構造にするのが一般的です。

のり付け後は熱を加えて圧縮します。

圧縮する理由は以下の2つの理由からです。

  • のり付けが剥がれないように強固にするため
  • チップをきれいに形成するため

圧縮後は、厚みを微調整してカットすれば完成です。

【何になる?】木材の活用法一覧

木材がリサイクルされると以下のような製品に生まれ変わります。

  • パーティクルボード
  • ファイバーボード
  • ペレット
  • 製紙

木材の多様な活用法をひとつずつ紹介します。

パーティクルボード:建築材

木造建築の解体や製材工場から発生した端材や廃材はサイズが異なり、加工のしづらさや強度の問題から使用されてきませんでした。

そこで考え出されたのが、パーティクルボードです。パーティクルボードは、木材チップを板状に固めた板のことです。

サイズや厚みがバラバラの端材や廃材をチップ化することで、規格に応じたサイズに調整することができ、固め具合によっては強度も調整できます。

主に家具や建築材の一部として使われています。

ファイバーボード:木の板

ファイバーボードは、木材チップよりも細かくし繊維レベルまで分解した「ファイバー」を、圧縮して板状にしたものです。ファイバーボード同様、サイズや強度が調整可能です。

原料が木であるため、当然特徴も引き継がれており、湿度が高い場合は湿気を吸収、湿気が低い場合は水分を放出する湿度調整機能も持っています。

ファイバーボードを使用することで、住宅における壁内の結露やカビ発生の抑制効果を得られます。

参考:CNFの概要と特徴|環境省

ペレット:燃料

ペレットとは、端材や樹皮などを粉砕した後、圧力をかけて直径6〜8mm、長さ5〜40mmに固めたものです。小さな円筒状に固められているため運搬や取り扱いが簡単なことに加え、低含水量で圧縮されているため、着火性にも優れています。

主にストーブやボイラーの原料として利用されています。

また、木材ペレットは、石油や化石燃料と同様、燃焼すると二酸化炭素が発生します。

しかし、木材ペレットが燃焼した時に発生する二酸化炭素は、樹木の成長過程で吸収したもののため、大気中の二酸化炭素が増加することはありません。

ペレットは、環境にも優しい素材です。

参考:木材はとことん使えるエコ素材|森林・林業学習館

製紙

日本では昔から、古紙によるリサイクルが行われ広く認知されていますが、木材チップによる製紙も行われています。

紙は木材の細かい繊維である「パルプ」によって作られています。

パルプは、木材チップと薬品を一緒に煮て、繊維のみを取り出したものです。製紙工場では、新聞用紙やクラフト紙など様々な種類の紙を生産しています。

それぞれに求められる強度や色味などが異なるため、紙の種類や用途に応じて、適した分量のパルプを使用して作られています。

参考:古紙の再生工程|日本製紙グループ

まとめ

木材は、家具や建材として使えなくなり解体された後でも姿を変え、私達の生活を支え続けてくれています。リサイクル率が高い木材だからこそ、なせる技といえるでしょう。

しかし、木材を新しい素材に生まれ変わらせるためには、異物の除去や違う形に形成させるなど多くの工程が必要になります。また、木材はリサイクル可能率は高いですが、ひとつのものを長く使い続けることも環境保全に繋がります。

木材製品を手入れして長期間使い、環境のためにできることからはじめていきましょう。

森未来は木材情報を集約したプラットフォーム「eTREE」を展開しています。 全国の木材事業者・木材加工業者とのネットワークを生かして製材時に出た端材を使った案件も手掛けており、プロの木材コーディネーターが あらゆる木材の調達・加工をお手伝いします。 木材の調達・加工にお困りであればぜひご相談ください。

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