ヒバとは|木材としての特徴や用途、ヒノキとの違いについて解説

eTREE編集室

皆さんはヒバという樹種の木材をご存知でしょうか。ヒバは日本固有の樹種で常緑針葉樹にも関わらず、スギやヒノキと比較してもあまり知名度がなく、知らない方も多いかもしれません。

そこで本記事では、ヒバの特徴や用途について詳しく解説していきます。

  • ヒバって聞いたことあるけどよく知らない人
  • ヒバの特徴や用途について興味がある人

上記の方におすすめの記事になっていますので、ぜひ、ご一読ください。

ヒバとは

実はヒバはスギやヒノキと同じくヒノキ科に属する樹種になります。しかし、スギはスギ属、ヒノキはヒノキ属に属するのに対し、ヒバはアスナロ属に属します。一般的にヒバは、アスナロ属に属するアスナロとその変種であるヒノキアスナロの総称を指します。

ヒバは針葉樹

ヒバは、北海道渡島半島から栃木県日光付近まで広く分布していますが、約8割以上は青森県に分布する針葉樹になります。針葉樹は単純な組織構造をしており、樹体組織の大宗を占める紡錘形の仮道管が樹体の支持機能を担うのに対し、広葉樹は水分輸送機能を司る道管や機械的機能を担う木部繊維など樹体内の役割が分かれています。

ヒバとヒノキの違い

樹種材の特徴価格
ヒバ心材と辺材の濃淡が曖昧で淡黄白色ヒノキより安価
ヒノキ心材と辺材の濃淡がはっきりしているヒバより効果

前述したように生物学上ヒバはヒノキと同じヒノキ科でありながら属が異なります。また、ヒノキと比較して心材と辺材の濃淡が曖昧で淡黄白色である点も大きな違いといえるでしょう。価格的には、一般的にヒノキよりヒバのほうが安価ではありますが、抗菌・防虫性に優れている材と言われています。

ヒバの種類

冒頭でも説明した通り、ヒバは大きく分けてアスナロ属に属する「アスナロ」とその変種となる「ヒノキアスナロ」になります。学名は以下になります。

学名科・属英名
アスナロヒノキ科アスナロ属Thujopsis dolaburata SIEBOLD et ZUCCARINI
ヒノキアスナロアスナロの変種Thujopsis dolaburata SIEBOLD et ZUCCARINI var.hondai MAKINO

1901年、日本で最初の林学博士である本多静六氏が、これまでのアスナロと青森県に生息するアスナロに違いがあることを発見し、その後、牧野富太郎氏がアスナロ属の中に変種があるとしてヒノキアスナロと命名しました。

このヒノキアスナロは寒冷地に適応したアスナロの1変種であり、石川県では「アテ」、青森県では「ヒバ」と呼称されています。

参考:東北森林管理局

有名な青森ヒバ

津軽半島と下北半島を中心に天然分布する青森ヒバは、秋田スギ、木曽ヒノキと並ぶ日本三大美林とされ青森県の木に指定されています。また、植物生態学者である山中三男氏によると、青森県下北郡東通村尻屋の泥炭地から発見された約2万5千年前のヒノキ科の花粉は、ヒバに由来しているという見解をみせ、昔の青森県一体は青森ヒバの大原生林だった可能性が示唆されています。

ヒバの効果や特徴

青森の方では、ヒバは防虫・防蟻効果が高いこと、豊かな香りがすること、耐久性に優れていること、などの効果や特徴が経験的に知られており、実際に多くのリラクゼーションオイルや、建築物に使用されています。本章では、そのようなヒバの効果や特徴について解説します。

アロマになるほどの豊かな香り

ヒバのエッセンシャルオイルやミストは様々なところで販売されています。特に天然の青森ヒバに由来した商品が多く、豊かな香りが特徴となっています。また、その香りを軸にラベンダーやハッカなどのリラックス作用が期待できるレパートリーもあり、様々な香りを楽しむことができます。
参考:楽天市場

抗菌・防虫作用

ヒバには、ヒノキチオールという非ベンゼン系芳香族化合物が含まれています。このヒノキチオールはヒノキ科である植物や北アメリカやカナダに生息するニオイヒバなど多くの樹種に含まれており、抗菌・防虫作用があることが明らかとなっています。

また、木造建築の大敵であるヤマトシロアリについても殺蟻活性が認められています。ただし、忌避性や摂食阻害活性が認められたのは精油成分が多く含まれる心材のみで辺材には認められませんでした。

参考:におい・かおり環境学会誌 43巻2号

木材としての耐久性と強度

前述したように、ヒバの心材は抗菌・防虫作用に優れており、更には神社仏閣や城郭建築物など伝統的な木造建築物にも使用されています。それらの建築物は今もなお現存しており、耐久性の高さが伺えます。

また、ヒバの収縮率や強度などの特性は以下の表になります。

引用:(一財)日本木材情報センター

強度や曲げヤングなどは、ヒノキなどの針葉樹と同程度であり、実用的な樹種であることが分かります。住宅の土台や構造材である柱への用途も少なくありません。

アレルギー反応

ヒバの材を水蒸気蒸留することによって得られるヒバ油や、葉から得られるヒバ葉油が天然抗菌剤としてよく使用されます。一般的にヒバ油は中性油分酸性油分に分類されますが抗菌性を発揮するのは主に後者になります。

そして、この酸性油分にヒノキチオールが含まれるのですが、天然由来のものは副作用がほとんどないとされています。炎症を抑える薬品や化粧品にもヒノキチオールが含有されており、昨今では育毛剤にも使用されています。

また、抗原特異的なアレルギー反応や角層の水分含有量、バリア機能などの低下によって引き起こされるアトピー性皮膚炎の患者についても、ヒノキチオールを配合したクリームの有用性が認められています。

参考:皮膚の科学 第1巻 6号

ヒバの用途

ヒノキと同程度の強度特性でありながら高い防菌・防虫作用をもつヒバには、一体どのような用途があるのでしょうか。

庭木

ヒバは常緑針葉樹で生命力に富んだ樹種なので、庭木として使われることがあります。初期成長は緩やかですが、芯が立ち始めるとよく成長します。ヒバの剪定時期は年2回程度で秋と春ごろになります。

基本的には、枯れ枝を落とし適度に間引くことで成長していくようです。詳しい剪定方法については以下のサイトを参考にしてください。

参考:【ヒバ】剪定の基本を庭師が伝授

木造建築物

ヒバは300年以上の樹齢をもつ巨木も存在し、長尺材もとれることから古くから城や神社仏閣などの大型伝統建築物に使われていました。例えば1611年に築城された弘前城、1124年に上棟された中尊寺の金色堂などがあります。

また、住宅においては土台や柱、外構部ではウッドデッキにも利用されるなど建築での用途も多いです。

まとめ

本記事では、ヒバの特徴や用途、ヒノキとの違いについて解説しました。ヒバは豊かな香りと高い抗菌・防虫性を持っているという点が他の針葉樹と比較して大きな特徴といえるでしょう。

森未来では、青森ヒバを活用したフローリングやウッドデッキ、パネリング材など取り扱っています。気になる方は、以下の記事を参考にぜひ、お問い合わせください。

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