木材の比重とは? | それぞれの用途や計算方法を解説

eTREE編集室

木材を調べていると「比重」という概念が出てきます。

これは強度や断熱性、調湿性に影響を及ぼすもので、密度に関係する概念です。

特にDIYをする場合やオーダーメイドで家具を作る場合には、しっかりと比重の概念を認識した上で、適材適所になるような木材を選ぶ必要があります。

木材の比重とは

木材の比重とは、木材の重さと同じ体積の水の重さを比べた値です。木材の硬さや強度を表しています。水1m3=1000kg=1tに対する木材1m3の重さを表したものです。

数値が大きいほど重く、小さいほど軽くなります。この値が1よりも大きい場合、木材は水に沈みます。1よりも小さい場合は、木材は水に浮かびます。

日常会話の中ではあまり聞き慣れない言葉ですが、木材の硬さや強度を客観的に把握したい時に使う値です。

比重と密度の違い

よくある間違いですが、比重と密度は同じではありません。

概要特徴
比重水と物質の密度比
・特定の物質の密度から算出する。
・水と特定の物質の比のため、単位はない。

記載例)木材Aの比重は0.9(木材は水の重さの0.9倍)
密度ある一定の体積あたりの物質の重さ・ある一定の体積あたりの物質の重さ
 特定の物質の体積と質量で算出する。
・体積あたりの重さを表すので、単位が存在する。(g/㎤)

記載例)木材Aの1㎤あたりの密度は0.9g/㎤。

密度同士を比べ、数値にしたものが比重です。つまり特定の物質の密度が分かってはじめて、比重が割り出せる仕組みです。

比重の種類と計算方法

木材の比重には3種類あります。

  • 真比重
  • 気乾比重
  • 全乾比重

それぞれの意味や計算方法を解説します。

真比重

真比重とは、木材から空気を除いた繊維部分の重さのことです。

木材の主成分である「セルロース」「ヘミセルロース」「リグニン」などの繊維部分の重さが真比重となります。

真比重は木の種類による違いはほとんど見られず、数値は1.5と一定です。

つまり、木材の重さの違いは、木に含まれる空気量の違いと言えます。
参考:道南スギ産地形成推進協議会 | 魅力/軽さと機能

気乾比重

気乾比重とは、木材を乾燥させた時の重さと同じ体積の水の重さを比べた値です。

木材の硬さや強度を表す基準の一つで、木材の比重と言えば基本的には気乾比重を指します。

計算方法は次の通りです。

  • 比重=木材の密度÷水の密度
  • 密度=質量÷体積

比重を割り出すには木材の質量と体積が必要です。

質量と体積から密度を計算し、密度をもとに気乾比重を割り出します。

木材の気乾比重はおおよそ決まっています。

クリは0.6程度、スギは0.38程度が目安です。木の種類が分かっている場合は、質量や体積から計算をしなくとも、おおよその比重が分かります。

おおよその比重と体積が分かっていれば、質量が分からなくとも、計算することで質量を予想できます。逆に体積が分からなくとも、比重と質量が分かっていれば、体積を予測可能です。

全乾比重

全乾比重とは、木が含む水分量が0の状態での木の重さを指します。

日常生活の中で木の水分量が0になることはありません。

木材の比重一覧

比重の違いにより、次のような特徴が見られます。

数値によって適する用途が異なるため、DIYをする際やオーダーメイドで家具などを発注する際にはよく検討しましょう。

比重空気層断熱性調湿性強度硬さ適する用途
小さい(軽い)多い高い高い低い低い内装材
タンスなど
大きい(重い)少ない低い低い高い高い構造材
食器棚
テーブルなど

木材の比重の平均的な数値を紹介します。特にDIYをする方やこれから木材を購入される方は、ぜひ参考にしてください。
参考:道南スギ産地形成推進協議会 | 魅力/軽さと機能

比重が大きい木材

比重の大きな木材は次の通りです。高級な木材が多く、入手するのが難しいものもあります。

樹種名比重
ブラジルウッド1.20~1.28
リグナムバイタ1.15~1.31
ビャクダン0.95~0.99
オリーブ0.85
ツバキ0.81
アカシア0.78
ヨーロピアンオーク0.72~0.75
シュガーメープル/ハードメープル0.72
ケヤキ0.69
ナラ/ミズナラ0.67
マホガニー0.66
イタヤカエデ0.58~0.77
イブキ0.65
カリン0.40~0.90
ウォルナット0.64
シラカバ0.64
チーク0.57~0.69
クワ0.62
ブナ0.50~0.70
ヤマザクラ0.60

ブナやケヤキ、ナラは比較的入手しやすい木材です。強度のある木材を利用したい場合は、視野に入れると良いでしょう。

参考:eTREE | 世界一重い木材とは?種類や入手方法について紹介!

比重が中程度の木材

比重が中程度の木材は、次の通りです。

樹種名比重
チェリー0.58~0.61
レバノンスギ0.56
イチョウ0.55
ラーチ0.48~0.61
ヨーロピアンスイートチェスナット 0.54
アカマツ0.53
カツラ0.40~0.66
トチ0.53
ニュージーランドシルバービーチ0.53
クスノキ0.52
ホースチェスナット0.51
アメリカンホワイトウッド0.50
カラマツ0.50

比重が小さい木材

比重が小さい木材は、次の通りです。

樹種名比重
ラジアタパイン0.49
ホワイトウッド0.49
エゾマツ0.45
サワグルミ0.45
ポプラ/イエローポプラ0.45
ヒバ0.37~0.52
モミ0.35~0.52
ヒメコマツ0.41~0.45
ヒノキ0.41 
イエローパイン0.39~0.42
スギ0.38
ヤクスギ 0.38
クロマツ0.37
ファルカタ0.37
キリ0.19~0.30 
バルサ0.12~0.20 

その他の素材の比重

木材以外の素材にも比重があります。木材と比較してどのような違いがあるのか確認してみましょう。

  • 金属
  • プラスチック
  • ゴム

金属(金・銀・銅・鉄・アルミニウムなど)

金属は、同じ「金」や「銀」の中でも純度が異なるため、比重に違いが出ます。

素材比重
純金:19.32純度50%以下(K10):11.42〜13.09程度
純銀:10.49程度。純度50%程度(SV500):9.67程度
純銅:8.93
7.8程度
アルミニウム2.7程度

参考:買取むすび | 【徹底解説】金・銀・銅の重さはどれくらい?手軽に純度を調べる方法も紹介

プラスチック

プラスチックの比重は次の通りです。

ガラスフィラーやガラスビーズなどの添加剤が含まれたものが多く、添加剤が含まれると、比重が変わります。

素材比重
ポリプロピレン0.9~0.91
ポリエチレン0.91~0.965
アクリル1.17~1.20
ナイロン1.01~1.02

参考:REXtac | プラスチックの比重、密度について

ゴム

ゴムの比重は次の通りです。

加硫剤や補強剤、着色剤、酸化防止剤などの添加剤が含まれているため、含有量によって比重が変わります。

素材比重
天然ゴム1.1~1.3
ウレタンゴム1.3~1.4
シリコーンゴム1.1~1.4
フッ素ゴム1.6~1.8

参考:INAKI | ゴムの比重ってどれくらい? 

まとめ

木材は用途によって使うべきものが異なります。デザイン性や強度の面から優れた木材があっても、希少性が高く、実用には適さない場合もあります。

比重の概念を頭に入れ、予算・強度・断熱性などを総合的に考えながら目的に合った木材を選びましょう。

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