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2025.11.7
建築や暮らしに欠かせない木材は、自然素材ならではの温もりや美しさを持つ一方で、腐朽菌やシロアリなどによる劣化リスクがあります。
特に屋外や水まわりで使用する場合、木材が傷むことで建物の安全性や耐久性に大きな影響を与えるため、対策を理解しておくことが重要です。
本記事では、不朽木材の特徴や代表的な樹種を紹介するとともに、腐朽菌の発生条件や予防法、除去の基本について解説します。
木材を長く安心して使うための実践的な知識をまとめました。
目次
不朽木材とは、菌類や虫による被害を受けにくく、年月を経ても強度や形状を安定して維持できる木材を指します。
心材に多く含まれるタンニンやフェノール類などの成分が抗菌作用を持ち、腐朽菌の侵入を抑える点が大きな特徴です。
強度の評価は屋外曝露試験や耐朽菌試験によって行われており、古来より社寺建築や橋梁、杭といった高い耐久性が必要な構造物に使用されてきました。
こうした背景から、現代においても安心して長期利用できる建材として高く評価されています。
参考:資料編 (施設の性能に影響を与える木材の経年変化)| 国土交通省
木材が腐ると強度が急速に低下し、曲げや圧縮に耐えられなくなります。
住宅では床の沈下や柱の亀裂、デッキや杭では崩壊といった被害が起きます。
さらに補修・交換費用の増大や安全性の喪失が問題となり、建物の寿命短縮や経済的損失に直結するでしょう。
不朽木材の利用は、これらのリスクを軽減する実践的な解決策といえます。
参考:資料編 (施設の性能に影響を与える木材の経年変化)| 国土交通省
木材腐朽菌とは、木材に含まれるセルロースやリグニンを栄養源として分解し、木材の強度や形状を劣化させる菌類の総称です。
木材腐朽菌には次のような種類があります。
それぞれの特徴を解説します。
参考:住まいの腐朽と対策 | 一般財団法人 住宅金融普及協会
参考:木材腐朽菌の樹木分解特性とヘミセル ロース分解酵素系 | 一般社団法人日本木材学会
白色腐朽菌はセルロース・ヘミセルロース・リグニンをすべて分解するため、木材が繊維状にほぐれて白っぽく変化します。
木材腐朽菌のほとんどは白色腐朽菌です。
強度が低下する速度は比較的ゆるやかですが、表面は繊維状にほつれ、小さな穴がいくつも空き、最終的には材を完全に崩壊させます。
学術分類上は、ヒラタケやシイタケといった一般的に栽培される食用キノコと同じ仲間です。
参考:住まいの腐朽と対策 | 一般財団法人 住宅金融普及協会
参考:木材腐朽菌の樹木分解特性とヘミセル ロース分解酵素系 | 一般社団法人日本木材学会
褐色腐朽菌は木材の主要成分のうちセルロースとヘミセルロースを分解し、木材を褐色に変色させるのが特徴です。住宅で多用される針葉樹材に発生しやすく、特に床下など湿気の多い場所でよく見られます。
腐朽が進むと木材表面に亀裂が入り、内部は乾いた土のようにボロボロと崩れて粉状になるため、強度の低下が急速に進む危険性があります。
参考:住まいの腐朽と対策 | 一般財団法人 住宅金融普及協会
参考:木材腐朽菌の樹木分解特性とヘミセル ロース分解酵素系 | 一般社団法人日本木材学会
軟腐菌は湿潤条件に強く、他の腐朽菌が活動しにくい環境でも生育できるのが特徴です。木材表面を軟化させることから「軟腐朽」と呼ばれ、主に子のう菌類によって構成されます。台所や浴室など水に触れる構造物で見られることが多く、結露が発生しやすい現代住宅では注意が必要です。
進行は比較的ゆるやかで、主に表層に劣化をもたらすため、木材内部の強度低下は小さいとされています。しかし、長期的には表面がもろくなり、美観や耐久性を損なう原因となります。
参考:自然界における木材腐朽現象の多様性 | 公益社団法人 日本木材保存協会
参考:住まいの腐朽と対策 | 一般財団法人 住宅金融普及協会
腐朽菌は木材に含まれるセルロースやリグニンを栄養源として繁殖します。
特に下記の状態で発生しやすくなります。
条件が揃うことで腐朽の進行が急速化し、建材や家具の劣化・強度低下を招くおそれがあります。
参考:資料編 (施設の性能に影響を与える木材の経年変化)| 国土交通省
腐朽菌の予防には、まず木材を乾燥状態に保つことが重要です。
含水率を20%以下に維持することで繁殖を抑えられます。
屋外では雨水や地面からの湿気を避ける施工を行い、軒や防水材で直接濡れない工夫が有効です。
室内では通気性を確保し、換気や除湿を徹底することが求められます。
また、防腐処理や薬剤塗布によって木材自体の耐久性を高めることも効果的です。
これらの対策を組み合わせることで、腐朽菌による被害を大幅に減らすことができます。
腐朽菌の除去には、まず腐朽の進んだ木材部分を物理的に取り除くことが基本です。
表面だけでなく内部まで被害が及んでいる場合は、該当部分を切除し健全な材に交換する必要があります。
軽度の発生であれば、ワイヤーブラシやサンドペーパーで削り取り、防腐剤を塗布して再発を防ぎます。
さらに周囲の環境を改善し、湿気を減らすことも欠かせません。
根本的に除去するには、建材の交換と併せて通気・排水を見直すことが効果的です。
参考:資料編 (施設の性能に影響を与える木材の経年変化)| 国土交通省
腐りにくい木材や樹種について解説します。
それぞれ解説します。
ヒノキは日本を代表する針葉樹で、古来から寺社仏閣や住宅建築に広く使われてきました。
大きな特徴は、独特の香り成分「ヒノキチオール」による抗菌・防虫作用で、腐朽菌やシロアリに強いことです。
また、軽くて加工しやすく、木目の美しさや光沢もあり、建材としての価値が高い材といえます。
湿気にさらされても劣化が遅く、浴槽や土台材など湿潤環境に適しているため、耐久性と美観を兼ね備えた木材として長年愛用されています。
参考:木材の耐久性を高め、長持ちさせる方法とは?おすすめの樹種も紹介 | eTREE
ヒバは青森ヒバに代表される国産材で、非常に高い耐久性と防腐・防虫効果を誇ります。
腐朽菌やカビ、シロアリなどに対して強い抵抗力を持つため、住宅の土台材や水回りの建材として重宝されてきました。
湿気の多い環境でも劣化しにくく、外構や浴室の素材にも適しています。
また香りが長く持続することから、癒し効果や抗菌効果が期待でき、内装材や家具材としても人気があります。
参考:青森ヒバを知っていますか?三種の特色<防虫・抗菌・芳香> | eTREE
参考:青森ひばの不思議 | 東北森林管理局
クリは広葉樹の中でも特に耐水性に優れた材で、昔から鉄道の枕木や橋脚、船舶部材など、強度と耐久性が求められる用途に使われてきました。
タンニンを多く含んでおり、腐朽菌やシロアリの侵入を防ぐ性質があるため、屋外利用に適した木材として知られています。
やや硬く加工は難しいものの、落ち着いた色合いと美しい木目を持つため、家具や建築材としても活用されています。
近年ではウッドデッキや外構材に使われることも多く、実用性と美観を兼ね備えています。
参考:木材の耐久性を高め、長持ちさせる方法とは?おすすめの樹種も紹介 | eTREE
ケヤキは日本を代表する銘木で、重厚で硬く、耐久性に優れた広葉樹です。
乾燥にやや時間がかかりますが、しっかり乾燥させることで腐朽にも強くなり、長期間使用することができます。
強度と耐摩耗性に優れているため、古くから寺社建築の柱や梁、神輿、家具、建具などに多用されてきました。
特に美しい木目と光沢は高級感があり、仕上がりの美しさが魅力です。
加工には技術が必要ですが、その分完成品は丈夫で長持ちし、伝統的な建築や工芸品に欠かせない存在となっています。
参考:木材の耐久性を高め、長持ちさせる方法とは?おすすめの樹種も紹介 | eTREE
海外産のハードウッドであるチークやウリンは、世界的にも最高クラスの耐久性を誇る木材です。
天然の油分や成分によって高い耐水性を持ち、腐朽菌やシロアリにも極めて強いため、メンテナンスをほとんど行わなくても数十年使用できるといわれています。
特にチークは豪華客船や高級家具に使われ、ウリンは公共施設のデッキや橋など強度を要する場所に利用されています。
重硬で加工は難しいものの、その分仕上がりは美しく、高級感と実用性を兼ね備えた材として高く評価されている木材です。
参考:木材の耐久性を高め、長持ちさせる方法とは?おすすめの樹種も紹介 | eTREE
参考:チーク材とは?|特徴やメリットデメリット、代用となる木材についても解説
不朽木材の利用は、資源ロス削減や炭素固定の長期化を通じて持続可能な社会に貢献します。
今後は改質技術や環境調和型防腐剤の普及によって、低耐久樹種でも長寿命化が可能になると期待されます。
研究成果を現場に橋渡しすることが、林業・建築分野双方において急務です。
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