木材加工

2023.3.2

浮造り加工・なぐり加工・リブ加工とは?使用例をあわせて紹介

eTREE編集室

木の表面を加工する技術である浮造り加工やなぐり加工、リブ加工は、木の温かな空間をさらに洗練させるために最適な加工方法です。それぞれの手法はデザイン性が高いだけでなく、さまざまなメリットがあり実用性も兼ね備えています。

本記事では、浮造り加工やなぐり加工、リブ加工の木材を利用することを検討している人に向けて、それぞれの概要やメリット・デメリット、使用方法を解説します。

浮造り加工とは「木目を強調する加工」のこと

浮造り加工とは、木目を強調する仕上げ方法です。

木の表面を刈萱(かるかや)と呼ばれるブラシのような用具でこすり、年輪をくっきりと浮かび上がらせます。これは「夏目」と呼ばれる柔らかい木目が削られ「冬目」と呼ばれるかたい部分が残ることで、年輪が際立つためです。

ただし、こすれて削れる位柔らかい木材のみ対応可能で、硬すぎる木材は使用できません。また、木の表面をこする際に用いる刈萱は現在ではあまり使用されておらず、現在は機械での作業が一般的です。

浮造り加工のメリット

浮造り加工の利点として挙げられるのは、なんといっても木目の美しさを堪能できる点です。年輪がくっきりと浮かび上がるため、一本ごとに異なる木の表情をより一層楽しめます。また、木の香りにはリラックス効果があると判明しています。

浮造り加工によって表面積が増加することで、木の香りが増し、精神的に安心できる空間を作れるでしょう。

参考:木材は人にやさしい|林野庁

浮造り加工のデメリット

軟らかい木材しか使用できないため、浮造り加工のデメリットは、傷がつきやすい点です。一方で、傷はつきやすいものの、凸凹とした表面のため傷が目立ちにくくなっています。

また、柾目や板目といった木目の形状は木によって異なるため、浮造りの深さは均一ではありません。

均一の木目にこだわりのある方には向かないでしょう。ただ、全く同じ木目の木材は存在しないため、オリジナリティとして楽しむこともできます。

浮造り加工の使用例|床材

浮造り加工は、神社や仏閣といった歴史的な建築物によく見られます。伝統的な木材加工方法ではありますが、実は住宅の床材などにもよく利用されています。浮造り加工のフローリングのメリットは下記2点です。

  • 滑り止めになる
  • 足裏の刺激になる

凹凸のある表面は、滑り止めの代わりになるため、足腰の弱い子供や高齢者でも安心です。さらに、木目の刺激を足裏で感じられるため「靴下をぬいで素足で過ごしたい」と思えるほどの心地よさを感じられるかもしれません。

なぐり加工とは「木材の表面に凸凹をつける加工」のこと

なぐり加工とは、「ちょうな」と呼ばれる工具を使用し、道具などで木材の表面に凸凹の「あと」をつける加工方法のことです。

大きく分けて、下記2種類の方法があります。

  • 山なぐり:丸太のまま加工する方法
  • 化粧なぐり:角材や板材に製材してから加工する方法

現在では、ちょうなを使用した方法は減少しており、機械加工が多くなっています。

なぐり加工のメリット

なぐり加工を施すメリットは、独自性の高いデザインを追求できる点です。さまざまな加工方法があり、自分の好みに応じたデザインを選択できます。代表的な加工方法は以下の通りです。

加工方法特徴
ちょうなのハツリちょうなで木の表面をハツリ取った(少し削った)伝統的な加工方法。六角形が連なったデザイン。
スプーンカットスプーンで削ったように丸みを演出する加工方法。和の空間だけでなく、洋風の空間にも用いられる。
ナイフカット鋭角な削りあとが連続して並ぶようにする加工方法。
ハンドスクレイプ表面に波状の削りあとをつける加工方法。直線的なデザインでアンティークのような趣が感じられる。

加工方法によって木の表情が大きく変化するため、オリジナリティの高い空間を演出できます。

なぐり加工のデメリット

なぐり加工のデメリットは、以下3点です。

  • 加工できない木材がある
  • コストが高くなる
  • 職人に依頼した場合、時間がかかる

なぐり加工は、合板では加工に耐えられない可能性があるため、基本的には無垢材が使用されます。どのような木材でも使用できるわけではなく、無垢材を使用する場合、必然的にコストが高くなります。

また、職人に依頼する場合、技巧をこらした品を堪能できますが、手作業のため機械加工と比較すると納期が長引き、1ヶ月以上かかる可能性もあります。

なぐり加工の使用例|壁や扉

なぐり加工は伝統的な技法でありながら、数寄屋建築など日本の伝統的な建築様式だけでなく、洋風の建物にも使用されています。

例えば、以下のような場所での使用がよく見られます。

  • 門扉
  • フローリング
  • ルーバー(細長い板を平行に複数枚並べたものの総称)
  • 棟木(屋根の一番高い位置にある棟と平行に取り付けられる部材)
  • 廻縁(天井と壁の間にある最後の仕上げに取り付ける枠)
  • 階段格子

全体的な加工も可能ですが、部分的に加工を施すことで空間のアクセントになりおしゃれな雰囲気を醸し出すことができます。

リブ加工とは「木材の表面に波型をつける加工」のこと

リブ加工とは、木材の表面にギザギザの波型をつける加工のことです。見た目が波型をしているため「波型加工」ともいわれています。横から見るとかまぼこのような形をしている、半円形の加工です。

リブ加工のメリット

リブ加工のメリットは、見た目が均一になる点です。木材には必ず個体差があるため、そのまま使用するとバラバラな印象を与えてしまう可能性があります。

しかし、リブ加工を施すことで見た目が均一になり、締まりのある空間が演出可能です。また、ギザギザの加工部分によって引っ掛かりができるため、滑り止めの意味でリブ加工を施す場合もあります。

実用性とデザイン性を兼ね備えた加工です。

リブ加工のデメリット

リブ加工をデッキ材に使用すると、溝部分にゴミやほこりがたまりやすくなり、見た目に悪影響を与えます。こまめな掃除が必要になるため、仕事や家事など普段の生活で時間を取れない方にとっては、大きなデメリットといえます。

見た目を維持するために、定期的なメンテナンスが必要であることを知っておきましょう。

リブ加工の使用例|天井材

リブ加工は、住宅や商業施設、公共施設といったあらゆる場所で使用されています。例えば、下記のような部分に使用されています。

  • 天井
  • ウッドデッキ
  • フローリング

特に、天井にリブ加工の木材を使用することで、天井に視線を集められ、木の温かさとスタイリッシュさを強調できるため、木を活かした空間づくりをしたい人にはぴったりです。

和室の天井にリブ加工を施すと、洗練された和モダンな空間が生まれるでしょう。

また、フラットなデッキ材よりもささくれが起きにくく、接触面が少ないので真夏の炎天下でも気温が上がりにくいというメリットがあります。

地面からの距離が近い子どもや犬は、大人よりも地面からの熱を強く感じます。リブ加工は、子供や犬が安心して過ごすウッドデッキを作るために、おすすめの加工法です。

まとめ

オリジナリティの高い空間を作るためには、浮造り加工やなぐり加工、リブ加工はぜひとも利用したい加工方法です。

加工を施すことによって、木材の良さを引き出すことにつながります。

どのような空間づくりをしたいのか」や「空間がどのように使われるのか」を想定して、その空間に適した加工方法を選択しましょう。

森未来では、様々な木材加工が可能です。気になる方は、ぜひお問い合わせください。

eTREEでは木材の調達から加工・施工までワンストップでご提案します!

この記事をシェアする

おすすめの記事

おすすめキーワード

eTREEに商品や情報を掲載しませんか?

eTREEでは、木材商品や木材事業所情報をご提供していただける
木材事業者様、自治体様を募集しています。

eTREE情報掲載ご相談はこちら