グラスウールとは?断熱性や防音性などのメリットや注意点を詳しく解説!

eTREE編集室

断熱材であるグラスウールは安価で高い性能を持つことから、多くの現場で使用されています。

DIYでも使用されているため、自宅での施工に挑戦してみたい方も多いのではないでしょうか?

しかし、特徴や他の断熱材との違いを知らなければ、せっかくの性能を台無しにしてしまうかもしれません。

本記事では、

  • グラスウールの概要
  • グラスウールとロックウールとの違い
  • グラスウールのメリットやデメリット

などを紹介します。

性能を最大限に発揮できるように、施工時に知っておくべき情報を紹介します。

グラスウールとは「ガラスを繊維にしたもの」

グラスウールとは、ガラスを高温で溶かし、細い繊維に加工したものです。ミクロン(1,000分の1ミリ)レベルまで細くしており、ウールのような見た目をしていることからその名前が付けられました。特徴として、ガラスが持つ「不燃性」や「耐久性」、繊維がもつ「柔軟性」をあわせもっています。

また、アスベストとは違い、グラスウールによるヒトの発がん例はこれまで一例もなく、呼吸器系の疾病を起こす可能性はありません安心して使用できる素材でもあります。

ロックウールとの違い

グラスウールとロックウールの違いは、原料です。グラスウールはガラスを原料にしていますが、ロックウールは天然岩石「玄武岩」や鉄を生成する際の副産物「高炉スラグ」を原料としています。製法が似ており、性能や特徴も共通する部分が多いため、現場によって使い分けられています。

また、どちらも発ガン性物質を含有しておらず、吸引によって人体に悪影響を及ぼす危険性は少ないため、安全性も高い製品です。

グラスウールのメリット

グラスウールには、下記のようなメリットがあります。

  • 断熱性が高い
  • 吸音性が高い
  • 不燃性が高い
  • 耐久性が高い
  • 環境に優しい

1つずつわかりやすく解説します。

断熱性が高い

身近な物質の中で最も熱を伝えにくいとされているのは「空気」ですが、空気は温められることで熱とともに上昇し、移動します。

熱を保持するためには、空気を一定の位置に固定しておくことが必要です。グラスウールは、細いガラス繊維の間に無数の空気を抱き込んでいる素材です。一定の空気を固定できていることで、他の素材よりも高い断熱性を持っています

グラスウールを使用し、断熱性の高い住宅を作ることで、冷暖房の使用が控えられ、光熱費を抑えることもできます。

吸音性が高い

グラスウールは内部に空気を多く含んだ「多孔質材料」です。多数の空気室が音による空気の振動を抑えることで、高い吸音性を実現しています。幅広い音域を吸音できるため、音の反響を気にする劇場や音楽ホールなどの音響調整として使用されています。

遮音性の高いコンクリートや石こうボードと組み合わせることでさらに部屋の遮音能力を向上させられます。

不燃性が高い

グラスウールは、主原料がガラスであるため、長期間高温にさらされても簡単に変形や溶解することはなく有害ガスを発生させることもありません。実際、平成12年にはコンクリートやレンガ等とともに、不燃材料として現在の国土交通省に認められました。

しかし、ガラス繊維同士の接着に使用されている接着剤には、微量の有機物が含有されています。そのため、火災時の状況によってガスを発生させる場合があります。微量であるため人体に悪影響が出ないと考えられていますが、グラスウール製品を大量に使用している部屋では注意が必要です。

耐久性が高い

断熱材は性質によって、湿度や時間によって劣化してしまうものがあります。劣化してしまうと、本来の断熱性能を発揮できないことに加えて、断熱材同士に隙間ができたり、反りや膨張が発生して外装材がはがれたりします。

しかし、グラスウールは、耐久性が高い素材であり、湿度や時間の影響によって劣化が起こりにくい素材です。長期間でも安心して使用可能です。

また、断熱材を劣化させる要因の一つにシロアリの食害も挙げられます。食害は、断熱材はもちろん、住宅の基礎に悪影響を与える恐れもありますが、グラスウールは無機質であるガラスが主原料のため、シロアリの食害を受けにくい素材です。耐久性が高い素材であり、虫からの被害も受けづらい製品です。

環境に優しい

グラスウールは原料の80%以上が家庭から回収されるガラスやリサイクルガラスを使用しています。加えて、製造時や施工時にでる端材や建物の改修や解体で不要になったグラスウールも新しいグラスウールに再利用されます。繰り返し利用できるため、グラスウールは、環境に優しい素材です。

また、グラスウールは他の素材と比較して、製造、運搬から再利用における全ての段階で、発生する二酸化炭素量が少ないとされています。素材そのもののリサイクル性があるだけでなく、利用するすべてで環境によい製品です。

また、欧米諸国では環境に優しい木材繊維の断熱材も普及しています。木材が持つ吸放湿という特性も生かされた断熱材です。気になる方は、下の記事もご覧ください。

グラスウール使用時のデメリット

メリットが多いグラスウールですが、下記のようなデメリットも存在しています。

  • 施行が難しい
  • 水に弱い

メリットを最大限活用できるよう、デメリットも詳しく知っておきましょう。

施工が難しい

グラスウールは断熱性能の高い素材ですが、素材同士や壁との隙間が空いてしまうと最大限の効果を発揮できなくなります。さらに、グラスウールを隙間なくしっかりと施工するのは、難易度が高いと言われています。

長期間高い性能を維持するためには、個人で施工する場合も業者やDIYスキルの高い方に依頼するのが良いでしょう。

水に弱い

グラスウールは、大量の空気を抱きこんでいる素材であり、空気を固定することで、断熱性を保っています。しかし、きちんと施工されていない場合、雨漏りや結露が原因となり、湿気や水分が隙間に入り込みます。その結果、空気を固定しにくくなり、断熱機能が低下してしまうのです。

さらに、グラスウールがぬれることで重くなりずれ落ちたり、カビが発生して建物自体も劣化したりする可能性があるため、水気に対して対策が必要です。

壁とグラスウールの間をしっかりと埋めて、湿気が入る隙間をなくしたり、露出している部分があれば防湿シートで覆うようにしたりと、対策を行いましょう。

グラスウールの購入先

グラスウールは、下記の様な場所で購入可能です。

  • ホームセンター
  • 通信販売

用途や現場の状況によって、購入先を変え最適な物を購入しましょう。

ホームセンター

最も手軽な購入先は、ホームセンターでしょう。

店舗の面積により、販売している種類自体は少ないかもしれませんが、実際に触れられるため、実物を見て比較したいという方におすすめです。疑問や不明点があっても店員さんに直接聞くことができるため解決も早く納得した上で購入できます。

しかし、購入後の運搬は自分で行わなければなりません。サイズの大きいものや大量に購入する場合は、ホームセンターからの運搬方法をあらかじめ決めておきましょう。

通信販売

通信販売では、メーカーが販売しているほとんどの製品を購入可能です。それぞれの現場の状況や製品の特徴を鑑みながら適切なものを手に入れられます。

ただし、実際に製品を見て比較できないため、届いてみてから「イメージと違う」となることもあるでしょう。製品のレビューや製品の施工事例など詳しく調査して、イメージとの相違が限りなく少なくなるように工夫をしてから購入しましょう。

よくある状況と対処法

グラスウールは、細かい繊維状の製品であるため、下記のような状況が起こりやすくなっています。

  • ​​触った後、肌がチクチクしてかゆい/目に入った
  • マスクをしておらず、繊維を吸ってしまった可能性がある

施工途中に同じ状況になっても、焦らないように対処法を知っておきましょう。

触った後、肌がチクチクしてかゆい/目に入った

チクチクするのは、ガラスの繊維が物理的に触れた際の一時的なものであり、皮膚に炎症を起こしているわけではありません。

グラスウールの繊維は一般的なガラスと同じ成分であり、毒性はないため、皮膚炎やアレルギー症状は起こりません。

ただ、皮膚の敏感な方が稀に炎症を起こすこともあるため、作業後は石けんと水で洗い流したり目を洗うようにしたりしてください。

マスクをしておらず、繊維を吸ってしまった可能性がある

ガラス繊維を吸引しても肺の奥まで到達することは稀なため、心配する必要はありません。仮に到達した場合でも、体液に溶けやすいため、短期間で体外へ排出されます。

ただ、ガラス繊維が人間の体にとって異物であることはまぎれもない事実です。吸入しないように、切断加工を行う現場では排気装置を取り付けたり防じんマスクをつけたりして吸入しないように対策を講じておきましょう。

まとめ

グラスウールは、ガラスを原料とし断熱性や吸音性など多くの優れた性能を持つ素材です。ホームセンターや通販で手軽に購入できることから、DIYでもよく使用されています。

ただし、施工が難しくきちんと設置できなければ、最大限の性能を発揮できないばかりか、カビが発生し住宅自体を腐らせてしまう可能性もあります。

きちんとした断熱性能を得るためには、スキルのある個人や業者に依頼しましょう。

森未来は木材情報を集約したプラットフォーム「eTREE」を展開しています。プロの木材コーディネーターが、あらゆる木材の調達や加工をサポートします。木材の調達・加工にお困りであればぜひご相談ください。

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