建築基準法における不燃材料とは?具体的な種類を紹介!

eTREE編集室

2023年現在、日本国内における出火件数は徐々に減少しているものの、年間で36,000件以上の火災が発生しています。その中でもほとんどを「住宅火災」が占めており、住宅における火災対策は十分にしておかなければなりません。

本記事では、住宅で使用される燃えにくい材料「不燃材料」の基本的な情報や使用が義務付けられている部分について解説します。

参考:令和4年(1月~12 月)における火災の概要(概数)について|消防庁防災情報室

不燃材料は防火材料の区分の1つ

不燃材料とは、建築基準法において温度が高くなっても、発火までに時間の猶予がある「防火材料」の1つです。防火材料には、不燃材料の他に、準不燃材料難燃材料の2種類があり、いずれも燃えにくい建築材料です。

公共・商業施設など建物の種類によっては使用が義務付けられている場合もあり、住宅以外にも広く使用されています。

【補足】防火認定について

防火認定とは、火災被害の軽減や避難時間の確保に効果があるとした材料に適用されるものです。

建築基準法で定められており、下記のような基準を満たしていることが条件です。

  • 燃焼しないものであること
  • 防火上有害な変形、融解、き裂その他の損傷を生じないものであること
  • 避難上有害な煙又はガスを発生しないものであること

主に壁や天井など建物の一部など移動不可能な部分の建材や仕上げ材などが挙げられます、

建築基準法では「内装制限」として、建物の規模や用途などによって防火効果のある材料を使わなければならないとしています。

住宅や施設によって基準が異なるため、確認が必要です。

参考:建築基準法施行令|e-Govポータル

防火材料の区分と種類

防火材料は、加熱後何分で防火認定条件を満たすかで区分が行われており、下記のような種類があります。

  • 不燃材料
  • 準不燃材料
  • 難燃材料

燃えにくさが異なるため、利用する場合はきちんと理解して使用しましょう。

不燃材料

不燃材料とは、防火材料の中で最も性能が高く、加熱後20分以上で条件を満たす材料です。

国土交通省によって、下記のような材料として定められています。

  • コンクリート
  • れんが
  • 陶磁器質タイル
  • 繊維強化セメント板
  • ガラス繊維混入セメント板(厚さ3mm以上)
  • 繊維混入ケイ酸カルシウム板(厚さ5mm以上)
  • 鉄鋼
  • アルミニウム
  • 金属板
  • ガラス
  • モルタル
  • しっくい
  • せっこうボード(厚さ12mm以上、ボード用原紙の厚さが0.6mm以下)
  • ロックウール
  • グラスウール板

上記以外の材料は、個別に通常の火災と同等の加熱試験を行い、開始20分間で要件を満たしていることが確認できれば、不燃材料として認められます。

参考:不燃材料を定める件|国土交通省

準不燃材料

準不燃材料とは、加熱開始後10分以上で要件を満たすものです。

下記のようなものとして定められています。

  • 不燃材料のうち通常の火災による火熱が加えられた場合に、加熱開始後20分間令第108条の2各号に掲げる要件を満たしているもの
  • せっこうボード(厚さ9mm以上、ボード用原紙の厚さ0.6mm以下)
  • 木毛セメント板(厚さ15mm以上)
  • 硬質木片セメント板(厚さ9mm以上、かさ比重0.9以上)
  • 木片セメント板(厚さ30mm以上、かさ比重0.5以上)
  • パルプセメント板れんが(厚さ6mm以上)

不燃材料と同様に、個別に試験を行い基準を満たせば準不燃材料として認定されます。

参考:準不燃材料を定める件|国土交通省

難燃材料

難燃材料とは、加熱開始後5分以上で要件を満たすものです。

下記のようなものが定められています。

  • 準不燃材料のうち通常の火災による火熱が加えられた場合に、加熱開始後10分間建築基準法施行令第108条の2各号に掲げる要件を満たしているもの
  • 難燃合板(厚さ5.5mm以上)
  • せっこうボード(厚さ7mm以上、ボード用原紙の厚さが0.5mm以下)

不燃材料、準不燃材料と同様に個別に試験を行い基準を満たせば、難燃材料として認められます。

参考:難燃材料を定める件|国土交通省

建築基準法で防火材料の使用が義務付けられている場所

建築基準法では、建物の種類や規模によって防火材料の使用が義務付けられています。

屋内、屋外それぞれの条件について解説します。

屋内

不特定多数の方が利用する建物では、防火材料の使用が義務付けられています。

主に下記のような条件を満たす建物が挙げられます。

建物の種類劇場、映画館、演芸場、観覧場、公会堂、集会場その他これらに類するもので政令で定めるもの
規模・1階建てで延べ面積が3,000m²以上・2階建て以上で延べ面積が1,000m²以上・3階建て以上で延べ面積が500m²以上
無窓窓その他の開口部を有しない天井の高さ6m以下の居室
調理室等2階以上の住宅で、調理室、浴室その他の室で、かまど、こんろ、その他火を使用する設備又は器具を設けたもの

使用の対象は、床を除いた壁、天井、柱、扉の内装です。

どの防火材料を使用するかは、建物の種類や規模などによって定められています。

ただし、除外規定や地域の条例によって異なるため、建築時は個別に確認が必要です。

参考:内装制限等一覧表|日本内装株式会社

屋外

屋外では、駅前や幹線道路沿いなど特に大きな火災につながる可能性のある「防火地域」内にある看板、広告塔などに不燃材料の使用が義務付けられています。

都市計画法により、数年ごとに見直されるため不動産会社や役所に赴いて、都度確認すると良いでしょう。

まとめ

屋内の施設だけでなく、屋外の施設でも防火材料の使用が義務付けられています。

万が一火災が起こった際でも家族や施設利用者の安全を守るためにも防火材料の性能や特徴を理解して使用しましょう。

弊社では最新の木材加工技術に目を向け、利用する状況やお客様に応じた最適なご提案をいたします。

内装制限をクリアできるか不安」「納期や費用感が分からない」という方は一度お気軽にご相談ください。

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