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2023.9.12
「暮らしに木を取り入れてみたい」「木造住宅に暮らしてみたい」ナチュラル志向や環境への意識などから上記のような憧れをお持ちの方は多いのではないでしょうか。
しかし、一口に「木」といっても、実際に使われるのは、無垢材、集成材や合板などの様々な木の建築材料、すなわち木質建材です。
そこで本記事では、木の住まいや木のある暮らしを考えたときに、知っておきたい木質建材の種類と特徴、そして木質建材によく使われる樹種とその特徴をご紹介します。DIYをするときの参考にもなると思いますので、ぜひ最後までお読みいただき、自分の好みやライフスタイルに合った木質建材を選んでいってください。
目次
どのような木質建材も、元をたどれば「丸太」からできています。丸太をどのように加工するかによって木質建材の種類や用途、そしてその特徴(メリット、デメリットなど)が変わってくるので、製造方法に着目して、各木質建材をみていきましょう。
無垢材とは一本の原木丸太から、必要なサイズの木材を直接切り出して得られた、一枚板や角材などの製品のことを言います。
私たちがもっとも古くから利用してきた木質建材で、床板や壁、天井などの内装材はもちろん、家具、インテリアに用いられています。柱や梁などの構造材など見えない部分にも用いられており、あらゆる場面で使用されていることがわかります。
無垢材は天然木をそのまま切り出しているため、木が持つ調湿作用をそのまま発揮してくれます。また、触れた時のぬくもりや柔らかさ、見た目の美しさやひとつひとつ異なる木の表情や経年変化が楽しめることが最大の魅力です。
一方で、無垢材は傷がつきやすいため、より美しい状態を保つために定期的なメンテナンスが必要です。また、吸放湿作用により木材が膨張したり収縮したりするため加工や施工時に注意が必要なこともデメリットと言えます。
集成材とは、ラミナ(ひき板)や小角材をつなぎ合わせて製造された木質建材のことを言います。住まいの柱や梁など構造用に用いられるほか、敷居や長押、ドアの枠や家具など造作用に広く用いられます。
材料をつなぎ合わせて製造するため、長大材や湾曲材といった、無垢材では難しい様々な形状や寸法の部材が製造可能です。また、工業製品のため、強度のばらつきや狂いなどが少なくなっています。
一方で、接着剤が使用されていることから、長期的な耐久性は見込めません。
LVLは、ラミネイティッド・ベニア・ランバー(Laminated Veneer Lumber)の略で、日本語では単板積層材と呼ばれています。原木丸太から切り出された厚さ2〜4mmの薄い単板(ベニヤ)を、繊維方向にどんどん重ねて接着することで製造されます。
曲げや引っ張りなどに強く、軸材(柱や梁など)として優れた性能をもちます。また、単板を重ねて製造するので、湾曲材など寸法や形状の自由度が高いこともメリットと言えます。
一方で、釘打ち等による割れが発生した場合に強度が下がる可能性があること、単板の積層数が少ないと狂いが生じることを念頭に置いて使う必要があります。
参考:4-3 LVLとはどのようなものですか。 | 全国木材組合連合会
CLTは、Cross Laminated Timberの略称で、ラミナを繊維方向が直交するように積層接着した木質建材です。
1995年ごろからオーストリアを中心として発展し、現在では世界各国で利用されているほか、日本でも2016年の建築基準法告示公布・施行により一般利用がスタートした、比較的新しい木質建材です。
CLTは厚みのある大きな板であり、ヨーロッパやカナダでは、18階建ての学生寮、宿泊施設、集合住宅などに使用されています。従来の鉄筋コンクリート造よりも環境負荷の少ない工法として注目されているのです。
メリットとしては、木造軸組み工法と比較して設計プランの自由度が高いこと(例えば2階部分などを大胆に持ち出すデザインが可能)、鉄筋コンクリート造に比べて軽いこと、乾式工法のため施工が早いことなどが挙げられます。
一方で、まだまだ新しい材料のためコストが高く、現状では、戸建て住宅より集合住宅のほうがCLTの普及が進んでいます。また、雨水の侵入を防ぐことはできないため、外構材としての使用には不向きです。
合板は、LVLと同じく原木から切り出された単板(ベニヤ)を使用します。ただ、LVLとは異なり単板を繊維方向が直行するように貼り合わせることにより製造されるため、面として広く、かつ強い木質建材が得られるのが特徴です。
ホームセンターなどでも売られている普通合板、住宅の構造上重要な箇所(床や壁、天井下地など)に用いられる構造用合板、コンクリート型枠用合板(コンパネ)、銘木などを表面に使用しより美しい仕上げとした特殊合板などがあります。
合板は品質が安定しており、また施工性が高いため多くの住宅に用いられているほか、安価に製造でき狂いや反りが少ないことから、フローリングなどの内装材としても広く普及しています。
一方、例えば内装に用いた場合に無垢材のような木本来の質感や調湿性能、香りなどを得られない、薄い単板を貼り合わせているため、一度傷がついたり剝がれたりすると補修しにくい、などのデメリットがあります。
木質ボードは、合板や集成材に用いる単板や小角材よりもさらに小さく破砕された木片や、蒸煮、解維させ繊維状になった木材を接着して板状に成型した木質建材のことを言います。
小さな木片に接着剤を加えて高音高圧でプレスするのがパーティクルボード、繊維状の木材を成形するのがファイバーボードです。ファイバーボードはさらに、成形する木材の密度に応じて、ハードボード(高密度)、MDF(Medium Density Fiberboard;中密度)、インシュレーションボード(低密度)に分けられます。これらは、建築時の下地材や家具造作材、耐力壁などの構造材、断熱材などに幅広く用いられています。
木質ボードは建築解体材や未利用の低質チップ、梱包木材などをリサイクルして製造することができるため、環境負荷の少ない木質建材です。また、均質な大板が得やすいため歩留まりが高く製造コストが抑えられること、製品の厚さや大きさなどの自由度が高いこと、材料が均質なので反りや割れ、狂いが少ないことが特徴です。
一方で、ひとつひとつの木材が細かいがゆえに他の木質建材に比べて強度が低いこと、釘やねじの効きが弱くなってしまうこと、水や湿気に弱いことなどがデメリットとして挙げられます。
木質建材の種類とその特徴をみてきたところで、次に木質建材によく使われる樹種とその特徴をご紹介します。樹種によって木材の耐久性や強度、また色味や意匠性が異なります。樹種ごとの特徴も理解することで、用途や好みにあった木質建材が選択できるようになるでしょう。
ヒノキは、高い強度や耐久性に加えて美しい見た目や香りなどを併せ持つ、日本の高級木材のひとつです。
ヒノキには抗菌作用があり、また水に強いため檜風呂などにも利用されてきました。加工性にも優れており、住まいにおいては無垢材・集成材問わず構造材として広く使われているほか、天井や床、壁などの内装仕上げ材としても利用されています。
スギもヒノキ同様、日本で昔からよく使われてきた樹種です。軽くて柔らかく、強度はヒノキに劣りますが、加工性が高いため、酒樽や曲げわっぱなどの材料として人々の生活の中で広く用いられてきました。
スギは無垢材・集成材として構造材や内装材問わず広く利用されているほか、材積が豊富なため、国産の合板やCLT、LVLの材料としても用いられています。
参考:杉(スギ)|無垢材・一枚板天板在庫情報 | 高田製材所
ナラには、トラの毛並みに似た「虎斑(とらふ)」と呼ばれる特徴的な模様があります。また木目は、はっきりしつつも色合いが淡くやわらかい印象を与えることから、大変人気の高い樹種です。
材質が硬く重たいため、無垢材として床材や建具材に用いられることはもちろん、ナラを突板に使用した複合フローリングや化粧合板は、賃貸住宅などの内装材や家具材としても広く利用されています。
ウォールナットは、世界三大銘木のひとつに数えられており、深みのある濃い色合いが特徴的な樹種です。重厚感があり、クラシックな雰囲気からモダンな雰囲気まで、様々なテイストによくなじみます。
その見た目の美しさや高級感から、無垢材として内装材や造作材に利用されるだけでなく、複合フローリングや天然木化粧合板の材料となっており、内装材や家具材として人気があります。
参考:ウォールナット|無垢材・一枚板天板在庫情報 | 高田製材所
パイン材は、優しくあたたかみのある木目が人気の樹種です。やや重硬で強度のある「イエローパイン」は、構造材のほかに無垢の階段板や床板、建具材や造作材などに用いられます。また、ニュージーランドなどから輸入される「ラジアータパイン」は、材質がやわらかく加工がしやすいことから、DIY用材や家具材、造作材として人気があります。
木質建材やそれらを構成する様々な樹種の特徴を理解することで、自分のライフスタイルや要望にあったものを適切に選択できます。ぜひ本記事を参考に、自分にぴったりの木質建材を選んでみてください。
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