製材所はどんなところ?基本の仕事を解説!丸太の持ち込みはできる?木材販売はしている?などの疑問も解決

eTREE編集室


森に立つ木が住宅や家具として私たちの手元に届くまでに、なくてはならないのが製材所です。

木材利用に欠かせない製材所ですが、一般消費者と関わることはあまりありません。
今回は、多くの人にとって身近な存在とはいえない製材所について、どんな仕事を担っているのか、個人で木材加工の依頼ができるのかなどを解説します。
建築業界や家具業界にいなくても、木材に興味がある人なら製材所について知っておいて損はないでしょう。

製材所とは「丸太から角材や板材を生産する場所」

森林内で伐採された立木は枝などを取り除かれて丸太となります。
製材所は、それらの丸太を製材機械を用いて、建築や家具の材料として使えるように角材や板材に加工する施設です。

生産された材木は「製材品」と呼ばれます。
製材品はさらに、集成材や合板を作る工場で二次加工されることもあります。

なお、製材所は製材工場と呼ばれることもありますが、同義と考えていいでしょう。

製材所での仕事の流れ

製材所の主な仕事は、山から切り出された丸太の状態の木材を、建築材料などの製品として使える状態に整えて出荷することです。

製材所の規模や設備・原料の丸太・材の取り方・目的とする製材品の種類・地域などによって変わりますが、下記のような流れで進みます。

①原木仕入れ・搬入
②皮剥き
③大割
④乾燥
⑤中割・小割
⑥製品選別・検査
⑦仕上げ・出荷

①原木仕入れ・搬入

山から運び出された丸太が競りにかけられる原木市場にて、必要な丸太を仕入れるところから仕事がスタートします。

内部の腐朽・曲がり・節の数などを見極められる力が必要です。

買い付けた丸太を樹種・直径・長さ・材質などで仕分けして、クレーンやフォークリフトで工場の貯木場に積み上げます。

②皮剥き

次に「バーカー」と呼ばれる皮剥き機で、丸太の皮を剥いていきます。
バーカーには、回転する刃物で皮を削るもの、水を噴射して樹皮を剥くものなどがあります。

皮剥きの工程では、山から切り出される過程で樹皮が噛んだ小石や針金が取り除けることも大切なポイントです。
次工程で丸太をカットする際に使う「帯鋸(おびのこ)」の刃を傷めないためです。

樹皮を剥いた丸太は痛みやすく、また、再び小石を噛んでしまうこともあるので、皮剥きは次の工程で製材する直前に行います。

剥いた樹皮をバイオマス燃料に利用する製材所も少なくありません。

③大割

大割(おおわり)とは、帯鋸盤(おびのこばん)などの切断用機械で丸太を大まかに切り分ける工程です。回転する帯鋸に、丸太を送り込んで挽いていきます。

一本の丸太から、どのような材をどのように取るか決めてカットすることを「木取り」といいます。
節の位置や年輪の状態など木の性質を見極めた上で、最も歩留まりよく適材適所で材が取れるようにするには、熟練の技が必要です。

最初の切り分けである大割は、最終製品の品質まで左右する重要な工程とされています。

④乾燥

大割後の木材が、製品になった後に反ったりや割れたりすることを防止するために欠かせないのが、乾燥工程です。乾燥によって、強度も上がるといわれています。
乾燥方法は、屋外に桟積み(さんづみ)して乾かす「自然乾燥」と乾燥機を用いる「人工乾燥」に分けられます。

自然乾燥は木の色ツヤや香りを残しやすいですが、含水率のコントロールが難しかったり乾燥するまでに時間がかかったりする点がデメリットです。
人工乾燥は短時間で乾燥できる一方で、色艶が失われたり設備投資がかかったりします。

人工乾燥前には、木口まわりや化粧面などに割れ止め処理をすることもあります。

⑤中割・小割

大割された材をさらに小さいサイズに加工するのが、中割(ちゅうわり)・小割(こわり)の工程です。

大割された材は中割(ちゅうわり)、中割された材は小割(こわり)の工程を通して、徐々にサイズが小さい製材品を作っていきます。
このように、製材所では一本の丸太から最終的にさまざまなサイズの製材品が取られていくのです。

なお、製材の際にでた端材はチップに加工されて製紙工場やセメント工場で紙の原料や燃料になります。
おが屑は近隣に畜産家や酪農家があれば牛舎の敷床として、無駄なく活用されることもあります。

⑥製品選別・検査

完成した製材品は、曲がりや歪みがないか検品後、サイズ・用途・品目ごとに仕分け・検査されます。

JAS機械等級材などのランク付けが必要であれば選別格付も行われ、強度や含水率が測定されます。

⑦仕上げ・出荷

必要や要望に応じて、カンナ仕上げ、節埋め加工、サネ加工などが施される場合もあります。

完成した製材品は結束し、必要に応じてJASマークなどの表示を行います。
その後は、樹種・寸法・等級などで区分された指定の製品置き場で保管・管理しながら出荷を待つのみです。

注文が入れば、製品を梱包して出荷します。

進む製材所の大規模化・集約化

近年、国内の製材業界では工場の大規模化と集約化が進んでいます。

2021年末の国内製材所の総数は前年比マイナスですが、減少したのは小規模工場のみで大規模工場は増加しています。

また、工場規模別の丸太の消費量は、出力300kW以上の大規模工場が約76%を、さらに大きな出力1,000kW以上の工場が約44%を占めており、生産が大規模工場に集中する傾向があります。

主伐期を迎えた国内人工林の活用や、2021年のウッドショックで顕在化した輸入材の供給リスク回避のために、近年国産材の安定供給が望まれています。
その手段の一つが製材所の大規模化・集約化による生産性の向上や省人化といえるでしょう。

製材所への丸太持ち込みと料金の目安

地場の小規模な製材所は、持ち込んだ丸太を挽いてくれる場合があります。

自宅の庭などで切り倒した樹木を、家具作りや家作りに使いたいという人にはうれしいサービスといえます。
ある程度大きさのある丸太を製材するのは、専用の機械や技術がないと簡単ではないからです。

料金は作業時間に対して単価を決めているところもあれば、丸太のサイズと加工後の板材の厚さを示して参考料金として提示しているところもあります。
丸太持ち込み可能な製材所の多くが、硬い広葉樹や大経木、変形木の加工には追加料金を設定しています。

どちらにしても、持ち込みたい丸太の情報や画像、希望の挽き方を共有して見積もりをもらうことが第一歩となるでしょう。

賃挽き(ちんびき)可能な製材所の例

持ち込まれた丸太を挽くことを「賃挽き(ちんびき)」といいます。
ここでは、賃挽きを受けている製材所を紹介します。
(料金やサービスの詳細は、掲載当時のものとなりますので、実際にお持ち込みの際には直接お問い合わせください)

【有限会社小林製材所】(埼玉)
業者向けと個人向けの賃挽きが可能な製材所で、スギ・ヒノキなどの製材料金は10分当たり3,000円です。

参考:持込み材の製材(賃挽き)ができる材木屋・埼玉県秩父市の小林製材所|有限会社小林製材所

【下北山村製材所】(奈良)
奈良県最南端の下北山村が所有する製材所です。​​
樹種​​と末口直径​​ごとに、時間単位の明確な料金表を掲載しています。

参考:下北山村製材所

【株式会社有賀製材所】(長野)
日常的に賃挽きの依頼を受けています。
料金は丸太の大きさや木取りによるので、最初に問い合わせが必要です。

参考:製材所の仕事|株式会社有賀製材所

賃挽き可能な製材所はそれほど多くないようですが、個別に問い合わせてみるのも手でしょう。

まとめ

山から運ばれてきた丸太を木材として使えるように、板材や角材に加工することが製材所の主な仕事です。
一般消費者であれば製材所とはあまり縁がないかもしれませんが、住宅や家具に木材をふんだんに利用している私たちの生活は、製材所のおかげで成り立っています。

近年大規模化する傾向がある製材所ですが、地域に根差した小規模な製材所では、個人の賃挽きや木材購入を受けているところもあります。
DIYをたしなむ人にはありがたい存在なので、生活圏に製材所があれば上手く付き合えると生活の質が向上するかもしれません。

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