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2022.11.7
夏休みの工作や日曜大工など、DIYでの作品づくりでその出来栄えを大きく左右するのが塗装です。そこで今回、DIYに適した木材塗装のやり方や塗料の種類、特徴をご紹介します。
上記の方におすすめの記事となっています。
皆さんのDIYライフが一層楽しいものになるようにぜひ最後まで読んでみてください。
木材はホームセンターなどで気軽に手に入れやすく、加工もしやすいのでDIYにとても適した材料です。のこぎりでカットしたり、ナイフなどで削ったり、釘やビスを用いて複数の材料を組み合わせて加工したりと、初心者でも比較的簡単に自分の作品を作ることが出来ます。
扱いやすく身近な木材ですが、もともとは自然由来の素材です。自然素材である木材を長持ちさせるために重要になってくるのが木材の「塗装」です。この塗装は、私たちがいうところの化粧によく似ています。木材塗装をしっかりと行って自分の作品をより美しく、より長く保ちましょう。
そもそもなぜ木材塗装が必要なのでしょうか?さきほど、塗装は化粧によく似ていると言いましたが、化粧が素肌の美しさを保つのと同じように、木材への塗装も、見た目をより美しくみせる機能だけでなく、木材の大敵である劣化や腐朽を防ぐなどの大切な役割があります。順にみていきましょう。
ひとつめの機能が、見た目をより美しくする役割です。日本最古の塗料と言われる「漆塗り」がそうであるように、独特の光沢は多くの人をひきつけ、今でも高級な食器や工芸品、建築などに用いられています。
DIYでも塗装を施すことで、作品にツヤや新たな質感を加えることが出来ますし、お好みの色の塗料を使うことで、新品の木材を古材風にしてみたり、お部屋のテイストやデザインに合わせてみたりと、様々にアレンジすることもできます。
木材は自然素材であるので、放置しておくといずれ劣化したり、腐ったりして最終的には土に還ってしまいます。その原因としては主に
などがあるのですが、これらは自然界にごくありふれて存在しているので、完全に原因を遮断することは現実的ではありません。そこで、塗料の力を借りて、これらを遮ったり、防いだり、はじいたりすることによって、木材を劣化や腐朽から守り、作品の耐久性を向上させることができるのです。
塗料の性質を利用することで、木材に新たな機能を付け加えることもできます。例えば、汚れを付きにくくする機能が挙げられます。はじめは綺麗な無垢材のフローリングやテーブルであっても、塗装が施されていないと手垢などの皮脂汚れがついてしまったり、マグカップや植木鉢などの輪染みができてしまったりということもあります。
これらを防ぐことで、木材を長く美しく保ち、手入れの手間を少なくすることができます。また、滑り止めの機能がある塗料を塗れば、階段やウッドデッキの安全性を高めるといったこともできます。
それではいよいよ、木材塗装をどのように進めていけばよいのかご紹介しましょう。木材塗装成功の秘訣は、大きく分けると3つあります。
この3つです。
斜めの土台の上に家を建てても家が傾いてしまうように、木材塗装において下地処理は大変重要です。
土台である下地が悪いと、それだけ仕上がりも悪くなってしまうということです。木材から出るヤニ(樹脂)によって塗料が変色してしまうのを防ぐためにヤニ止めをしたり、表面が凸凹で塗料が均一に塗れないときにはやすり掛けをして木の表面を滑らかにしたり、大きな節や釘などで穴が開いてしまったりしている場合にはパテを使って穴を塞いだりします。
木材に旧塗膜がある場合には、綺麗に剝がさないとそれも色ムラの原因になってしまうので、しっかりと旧塗膜を取り除きます。
下地処理が完了したら、木材に塗料を塗っていきます。この塗料ですが、大きく分けて油性と水性に分けられます。これらの違いは塗料の成分を溶かす溶剤の違いによるものですが、油性と水性どちらも、化学合成によって得られるもの、天然の樹脂(漆の樹液など)や油脂(亜麻仁油など)から得られるものとが存在します。
油性の塗料は、油分の多い木材となじみがよく、木材の内部に浸透することで木材を保護するので「含浸タイプ」と呼ばれます。一方で、水性の塗料は木材にはなじまずその表面に塗膜を作り木材を覆うことで保護するので「造膜タイプ」と呼ばれます。木材を使用する用途や見た目や環境によって適切なものを選びましょう。
きれいに塗装を行うには塗料を塗るハケ選びもとても重要です。ホームセンターなどでは多くの種類のハケが売られており、どのハケを選んだらよいのか迷ってしまうこともあるでしょう。ハケはその形と毛の種類によって分類することができます。取っ手の部分が斜めになっているのは「筋交い」と言って、壁やウッドフェンスなどそのままでは塗布面にハケを垂直に当てにくい箇所によく使います。
一方、取っ手の部分がT字型になっているのは平ハケと呼ばれ、広い面の塗装に適しています。毛の種類で分類すると動物の毛と、ナイロンなど化学原料由来の毛になります。動物の毛にはキューティクルがあり、塗料をよく含むと言われています。
さて、先ほど塗料は大きく分けて油性と水性があり、使用する用途や見た目や環境によって使い分けましょうと言いました。ここでは、
の種類を紹介します。それぞれの塗料の種類や特徴を詳しく見ていくことで、自身の作品にあった塗料は何かを、適切に見極められるようにしていきましょう。
ステイン系の塗料は、厳密にいうと塗膜を形成せず、木材を保護する力がないため、色をつけることが主目的の「着色剤」に分類されます。そのためステインの塗装後には木部保護機能のある仕上げ材を使う必要があります。
そして、このオイルステインとは、オイルをベースに作られているため、木の風合いを生かしつつ、オイルならではのツヤ感や木目の美しさを際立たせてくれる良さがあります。高級感があり、木製の家具やテーブルなどによく用いられます。
同じステイン系でも水を溶剤としたのが水性ステインです。油性ステインはどうしても溶剤のにおいが発生してしまうのに対し、水性ステインはにおいが少なく、屋内でも気軽に作業することができます。専用のうすめ液も不要で、ハケや容器も水で洗い流すことが出来ます。
また、価格も比較的安く、色も豊富にそろっているため、初心者向きの塗料と言えるでしょう。仕上がりは、オイルが用いられていないので、ツヤや光沢のない自然な木そのものの質感になります。
単に水性ニスと言われるものは、木材をコーティングする樹脂にアクリルを用いた「水性アクリルニス」を指します。これは、ウレタンを用いたニスに比べると塗りやすく、汚れを防いでくれる一方で、塗膜がやわらかいので触ったときの木の質感を損なわないという特徴があります。
しかし、塗膜がやわらかいため傷やへこみに弱く、テーブルやイスなど日常的に使用する家具には向かないと言えます。ちょっとした置物など、クラフト作品の仕上げに用いるのがよいでしょう。
水性ウレタンニスは、先ほどの水性アクリルニスに比べて塗膜が硬く、耐久性が高いので、テーブルやイスなどの日常的に使用する家具などにも使える一方で、水性のため扱いやすく、においも少なくハケや容器も水洗いできるというバランスのとれた塗料です。
食品衛生法の安全基準に適合した種類もあり、それらは木製の食器やカトラリー、トレーなどにも安心して使用することができます。食器から家具まで、DIYの場面で幅広く使える塗料ということができるでしょう。
油性ウレタンニスは、硬い塗膜をつくり木材の表面を強力にコーティングしてくれる塗料で、ニス系のなかで最も耐久性に優れています。屋内の木部や日常的に使用する家具、床、ひさしがある屋外にも使用することができますが、耐候性に優れた屋外木部専用の油性ウレタンニスもあります。
飴色の仕上がりとなり木材に経年の深い味わいを生み出してくれますが、溶剤のにおいが強いので塗装中や乾燥中は十分に換気をしなければならないのと、専用のうすめ液を用意しないといけないなど、の扱いには十分注意が必要です。
亜麻仁油は亜麻とよばれる植物の種子からとれる植物油で、食用にも用いることができる自然由来の安心安全の塗料です。「亜麻色の髪」と呼ばれるほどの美しいツヤが特徴で、木材の風合いを活かした、ナチュラルな仕上がりになります。
亜麻仁油は木材に浸透していくことで木材を保護するので、木材が本来持つ調湿機能を妨げずに、亜麻仁油がもつ防カビや防腐、撥水効果を発揮して、木材を長く美しく保つことが出来ます。
クルミ油は、クルミの実をしぼって抽出される油で、亜麻仁油同様自然由来の塗料です。黄緑色で芳香があり、食用にも用いられるほか、油絵具の製造にも用いられます。
クルミ油は亜麻仁油と同じく空気に触れると硬くなる乾性油で、木材に浸透して固まると、防汚効果や撥水効果を発揮するほか、独特の光沢があらわれて自然な仕上がりにすることができます。口に入れても問題がない塗料なので、赤ちゃん向けの積み木やパズルなどの木製玩具やそば打ち道具の手入れなどに用いられます。
ワックスとは端的に言うと蝋(ろう)のことです。ミツバチの巣から抽出する蜜蝋のように動物がつくる蝋もあれば、カルナバヤシという植物の葉からとれるカルナバ蝋のように植物由来の蝋もあります。
いずれにしても、オイル塗装のように木材に浸透して木を保護するというよりも、蝋が木の表面にとどまることで汚れや水濡れなどから木材を保護する塗装となります。ウレタンの塗装のように強力な保護力はありませんが、木の調湿機能を妨げないため木材本来の機能を活かしながら自然な風合いと美しいツヤを与えることができます。
無垢の床材や壁材、テーブルなどに用いるのがよいでしょう。
天然系のワックスは木材本来の風合いを活かすことが出来るため、見た目としては無塗装に近いさらっとした仕上がりになります。
着色ワックスなら、ワックス特有の自然な風合いを残しつつ、自分好みの色を加えることができます。新品の木材で作った作品を、アンティーク調に仕上げたいときなど、この着色ワックスを用いるのが良いでしょう。ただし、蝋が主体のため、イスなどに用いると洋服がこすれたときに色が移ってしまう可能性があるのと、頻繁に水拭きをするものや熱が加わるものには不向きなので要注意です。
古くアメリカ開拓時代に、家具などの着色にミルクに含まれるカゼインを利用した塗料をつかっていたことから着想された塗料です。ミルク由来なので安全で、嫌なにおいもなく、とろっとしたクリーミーな使用感から伸びが良く初心者にも扱いやすいと言われています。
仕上がりはミルクならではのツヤの少ないマットな見た目で、乾燥したあとは耐水性も発揮することができます。全部で十数種類の色味があるので好みに合わせて使うことができるのと、セットでメディウムを使うことでひび割れしたタッチや、漆喰風、くすんだダスト調など、さらに自分なりのアレンジを楽しむことが出来ます。
これまでは、ハケを使用することを前提に様々な塗料の種類や特徴を見てきました。しかし、広い面積を薄く一気に塗りたいときや、形状が複雑でハケではどうしても届かないところやムラができやすくなってしまうところには、スプレーによる塗装も有効でしょう。
スプレー塗装は塗料が霧状に出てくるので塗装を均一に行うことができ、また100円ショップなどでも手軽に購入することが出来るなどのメリットがあります。
水性スプレーは水性塗料が用いられたスプレーです。水性塗料のためにおいが少なく、人体への影響も比較的少ないと言われています。また、速乾性があり、乾く前なら水拭きや水洗いで塗料を落とすことができますが、いったん乾くと耐水性をもち、屋内のみならず屋外で使用するものにも塗装することができます。
このように、屋内でも屋外でも場所を選ばず使用できること、また木材だけでなく鉄やコンクリート、プラスチックや塩ビなど、幅広い材料に使用することができることも特徴です。
耐候性と耐久性に優れているのは油性スプレーです。乾燥には1時間以上かかりますが、乾くと耐水性を発揮するので、屋外で雨ざらしになる部分にも塗装することができます。
油性のスプレーにはシンナーが含まれていることがあるので、プラスチックなどものによっては溶かしてしまい塗れないものもあるのと、においがあり人体に有害であるので使用する際には風通しの良い屋外で作業するようにするなどの注意が必要です。
ラッカースプレーは、皆さんもよく耳にしたことがあるのではないでしょうか?100円ショップなどで安価に販売され、様々な色味を気軽に購入することができるのと、速乾性に優れているので10~30分程度で乾くという特徴があります。
この速乾性を可能にしているのが、溶剤に使われている有機溶剤です。有機溶剤が揮発することで硬くて耐久性のある塗膜を作ることができるのですが、有機溶剤は有害なので、こちらも使用時には屋外での作業が望ましいでしょう。
ウレタン塗料は乾燥、硬化までの時間が2~4時間程度と、ほかの塗料に比べ長い時間が必要になります。その一方で、完成するとその塗膜はとても強靭です。熱にも強く、綺麗なツヤがでて、耐候性や耐久性に優れ色抜けも起こりにくいということで、木材はもちろん車やバイクの塗装にも用いられるほど、保護力の強い塗料です。
乾燥時間がほかの塗料に比べて長いこと、また機能性が高い分、ほかの塗料比べて値段が高くなってしまうことがデメリットとして挙げられます。
塗装をより綺麗に仕上げるために、本塗りする塗料の前に、下塗りを用いる場合があります。これは、プライマーやサーフェイサーと呼ばれ、塗装する素材と塗料との付着性を高める下地処理をしてくれるのが「プライマー」、塗装面の細かな傷を埋めて、滑らかにすることで塗料をより均一に塗れるように下地処理をしてくれるのが「サーフェイサー」と言われています。
仕上がりをより綺麗にしてくれるだけでなく、防さびなどの機能を付加してくれるものもあります。
いかがでしたでしょうか?これまで、DIYをするときの木材塗装について、
といった内容でご紹介してきました。
まず、木材塗装をすることで、木材の耐久性を高めて作品を長持ちさせることができるだけでなく、自分好みの色や仕上げを選ぶことでより見た目が美しくなること、さらに、塗料を用いることで木材に新たな機能を追加できることなどをみてきました。
つぎに、実際に木材を塗装していくときには、下地の処理と適切な塗料選び、そして適切な道具選びが大切になってきます。
そして、塗料には様々な種類があり、DIY作品を使用する用途や、見た目や肌触り、環境などによって適切に使い分けることで、より作品を快適に、長く美しく保つことができることをご紹介しました。
皆さんのご参考にしていただけたでしょうか?
ぜひ皆さんも、木材塗装のやり方やコツをマスターして、楽しいDIYライフを過ごしてくださいね。
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